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雷電山の山頂で休憩して体力を回復した4人は、ハイクコースを順調に進んでいく。大自然のなか、遠くから聞こえてくるのは鳥のさえずりくらいで、静かでゆっくりとした時間が流れている。
すると、目の前に「辛垣城跡登り口(急坂)」という、ちょっと気になる道標が登場。どうやらコース本線とは異なる、寄り道ルートがあるらしい。
キャン「500m先で本線に合流って書いてあるけど、どっちのルートでいきます?」
辻井「何度か歩いているけど、城跡ルートは行ったことないですね」
大桃「じゃあ、せっかくだし城跡ルートにしましょうか」
赤沢「いやいや、急坂って書いてあるじゃないですか!(笑)」
“急坂”に反応する赤沢さんを「ビールのために」と説得して、アドベンチャールートで「辛垣城跡」に向かうことに。しかし、いきなりハードな岩場に直面。このあたりから巨岩が少しずつ増え始めた。道標の言葉に偽りなし?
さらに、急勾配のつづら折りもあり、グイグイ登っていく。もはや遊歩というより登山状態で、あまりの険しさに、ちょっと後悔してそうな4人。しかし、いまさら戻るわけにもいかず、黙々と登っていく。
その甲斐あり、15分ほどで辛垣山(からかいさん)の山頂に到着。しかし標高が書かれた簡易的な標識があるだけで、展望もなくスペースもかなり狭い。はたして「辛垣城跡」とは?
山頂からちょっと先に進むと、岩や盛土に囲まれた窪地に降りてきた。どうやらここが城跡になるらしい。想像していた景色と違い、かなり鬱然としているが、じつはそれにはワケがある。
辛垣城は戦国時代の「辛垣の合戦」で敗れた三田一族の、最期の砦となった場所。劣勢になって立て篭もった要害ながら、北条氏に攻められて落城。ここで三田一族は滅亡した。
さらに江戸時代後期に石灰石の採石場として利用されたため、城の遺構はほとんど残っていない。それでも、かろうじて堀切や堅堀の一部を確認することができる。
再び険しい山道を歩き、ハイキングコースのメインルートに合流。あまり変わり映えしない景色が続くなかで、アクティビティ的に楽しめる城跡コースは、ちょっとしたアクセントになったかも?
なんてことを話していたら、やっと少しだけ眺望が開けた場所に到着。ずっと鬱蒼とした林間を歩いていたから山深く感じられたが、青梅丘陵が身近な里山であることを再確認できた。
同時に、ゴールの居酒屋までは、まだまだ距離があるということも……。
それでも少しずつ標高が下がっているらしく、木漏れ日が差し込むほど視界が広くなってきた。なだらかで歩きやすい道が続くため、足取りも軽くなり会話も弾む4人。これくらいのテンションが“遊歩”になるのかも?
辻井さんが首から掛けているタオルは、新たなブランド、ルーのアウトドライヤー。一般的なコットンタオルの4.5倍の吸水力があり、ストレッチ性にも優れている。道中で汗を拭くのに大活躍していた。
辻井「これ、めちゃくちゃ伸びるんですよ。しかも国産のコットン素材だから肌触りがバツグン。最近ハマっているアイテムです」
途中、展望台らしい場所も通過したが、雑木に覆われ景色が見えなかったのでスルー。そのまま、ほどよく整備された林道を進んでいると、東屋が設置された「矢倉台」に到着した。
ここは、辛垣城が現役時代に「物見櫓」があった高台。北条軍の動きをチェックして、異変があれば狼煙を上げて知らせていたらしい。
美味しいビールを味わうための遊歩も、残りあと僅か。しかし午前10時から3時間以上歩き続けているため、ちょっと小腹が空いてきた。
ということで、風通しがよくて涼しい東屋で休憩しつつ、行動食でエネルギーを補給することに。
辻井さんはハイドロフラスクのフードコンテナに冷凍ブドウを持参。さらにオリエンタルナッツのカシューナッツも用意。
早速、みなさんにお裾分け。もちろん、どちらも大好評だったのは言うまでもなし。
大桃「またしても、貰ってばかりですいません(笑)」
赤沢「ブドウ、冷たくて美味しい……。これは生き返る!」
一方、キャンさんがバッグから取り出したのは、なんとマクドナルドのダブルチーズバーガー。しかも粒マスタードやケチャップを、ワイルドに後掛けするスタイル。
キャン「マックのハンバーガーって、1日くらいなら余裕で常温保存できるから、行動食に最適なんですよ」
大桃「マジすか? 山にマックってありなんだ!」
キャン「アメリカのハイカーがロングトレイルするときに、大量に買ったりしますよ。ポイントはソース抜きで注文すること。そのほうが、より長く保存できます」
さらに、もうひとつ間食用の持参したのが、井村屋のつぶあん。しかもトッピングで使うチューブ仕様。
キャン「つぶあん、大好きなんですよ。これはハンバーガーにトッピングしないけど(笑)。でも、どっちもハイカロリーだから、登山やロングトレイルと相性いいと思います」
四次元ポケットばりに、いろんなアイテムが出てくるキャンさんのバックパックは、山と道のミニ2。他にも牛乳パンや駄菓子、凍らせたお茶などもあり、道中でみんなに配っていた。
ちなみに、ブドウを食べている赤沢さんが貼っている冷えピタシートも、キャンさんが熱中症対策に持ってきたアイテム。部長、頼もしすぎる!
東屋でゆっくりと休憩していたら、気がつけば居酒屋がオープンする15時まで、あと1時間ほど。少しでも早くビールにありつきたい4人は、最短ルートで向かうことに。
「青梅丘陵ハイキングコース」は、矢倉台から先は街との距離が近く、すぐに下山できるエスケープルートが何本もある。そこで、青梅駅の手前1kmくらいの場所で街に下ることにした。
あまり使われていないルートなのか、下山用の脇道を進んでいくと倒壊した木のトンネルや蜘蛛の巣があったが、わずか20分ほどで民家の側道に辿り着いた。
目の前にはJR青梅線の踏切も。予定よりスピーディに下山できてテンションがおかしくなっているのか、電車に向かって嬉しそうに手を振るキャンさんと辻井さん。
ここからは、昔ながらの情緒が漂う「七兵衛通り」を、青梅駅方面に向かって歩いていく。もちろん、こうした街ブラも遊歩の醍醐味。
大桃「青梅の街ってこんな雰囲気なのか……。でも山と違って街中は暑いですね」
辻井「ますますビールが美味しく感じられそう。 早く飲みたい!」
そしてついに、青梅駅の近くにある居酒屋「やきとり銀嶺」に無事に到着。城跡に立ち寄ったり休憩しながらゆっくり歩くこと5時間半、約12kmほどのコースとなった。
キャン「外観がめちゃくちゃシブい! こういう大衆居酒屋、大好きです」
辻井「15時から営業しているのもいいですね。朝イチから歩くと、ちょうどいい時間ですよ」
ということで早速店内に入り、念願の生ビールで乾杯。今日はこの一瞬のために歩いてきただけに、最高に美味しいのでは?
赤沢「んー、いままで飲んだ生ビールで、1番美味しいかも!」
大桃「……これはヤバいっすね。五臓六腑に染み渡りますよ〜」
辻井「やっぱり歩いたあとは、冷えたビールに限りますね!」
キャン「いやホントに最ッ高! 歩いた甲斐がありましたよ」
「やきとり銀嶺」は、1949年から続く老舗酒場。その歴史を感じさせるレトロな佇まいで、昔からずっと女将さんが1人で切り盛りしている。
地元の人たちから愛されている名店だが、里山や駅からも近いため、ハイカーたちが下山後に立ち寄ることも多いとか。
名物料理のやきとりを堪能しつつ、今度は瓶ビールをハイスピードで空けていく4人。そしてほろ酔いのなか、今回の遊歩を振り返ってもらった。
キャン「今回は“メシ”がテーマでしたが、行動食の交換も楽しかったですね。プリングルスも、塩スイカ飴も、冷凍ブドウも、山では新鮮だし美味しかったです。もちろん、このお店の料理も!」
大桃「ジブンはチーズバーガーが衝撃でした。今度、山に持って行こうと思います。あと、ボクも扇子か団扇が欲しい(笑)」
辻井「行き慣れたコースだったけど、歴史を知りながら歩いたおかげで、新たな発見も多かったです!」
赤沢「今回は“遊歩”ってより、ひたすら“歩”でしたね……。でもゴールが居酒屋だから、終わってみたら“遊歩”かも(笑) とりあえず、歩いてからのビールは最高。こんなハイクもありかも!」
ということで今回のGO OUT遊歩倶楽部は、ビールを美味しく飲むために「青梅丘陵ハイキングコース」を歩いてみた。お酒が好きなら居酒屋やバーをゴールに定めた、こんなハイクを楽しんでみては?
もちろん目標はスイーツでもいいし、温泉でもいい。そこに向かう道中を徒歩にするだけで、ちょっとリフレッシュできるし、ゴールの達成感や余韻が、目的地での感動をより高めてくれるはず。
“遊歩”は誰もが気軽に楽しめる、最も身近なアクティビティなのだ。さて、次はどこを歩こうか。
Photo/Fumihiko Ikemoto
♯01前編はこちらから
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The post 人生最高の1杯? 極上のビールと焼き鳥を目指し、青梅の里山を歩く。【GO OUT 遊歩倶楽部/青梅編#02】 first appeared on GO OUT WEB.