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今回取材した「THE DAY(ザ デイ)」のアイテムはそんな日常着をとことん追求する2023AW発の新星。しっかり作っているから前述のブランドとはすべてにおいて異なるが、個性を求めすぎない人に違う選択肢があることを知ってもらえると嬉しい。
手がけている河内直哉さんは、誰もが知るメイドインジャパンのファッションブランドに12年在籍。「お洒落着ではなく、日常着として選ぶモノの質が上がればいい」という思いのもと、この「ザ デイ」を立ち上げた。アピールしす
ぎないファッションブランドを作るのは、簡単そうに見えていばらの道。人から見えないところにかなりこだわっても、差が出しにくいからだ(だからこそよく見て感じ取ってほしい)。
河内さんがアイテム作りにおいて、1番時間をかけているのが生地選び。何千もの生地のなかから、使いたい生地を選び、それでなにを作りたいかを考えていくのだという。価格帯で日常着とはほど遠かったり、洗いが難しかったり、耐久性に難があるケースがあるから、上質すぎる生地はあえて避ける。逆に屈強過ぎる生地も日常着として馴染みにくいから今のところ選ばないのだとか。
続いて大切にしているのが製品のシルエット。ここでも究極の日常着を追求。ストレスがないよう、シルエットは基本ゆったりとしており、ファーストコレクションからあるテーラードジャケットとパンツ(右頁のもの)はまさに真骨頂。シャツをタックアウトしてもジャケットから裾が出ない設計が秀逸で、ボタンを上まで留めても首が苦しくない設計のシャツも見事である。
ちなみに河内さんは、多くのメディアでインタビューを受けてきたファッション業界のご意見番のひとり。特に古着には目がなく、USモノも、欧州モノも、ヴィンテージも、アンティークも、Y2Kも、安価なモノも、分け隔てな
し。「どんなものも気に入って買っているけど、ダメな部分を探すのも好き。この時代はこういう素材だったけど、今ならこういう風に作ったほうが面白いかなって考えたりします」と話す。
河内さんのこだわりは、製品にだけ宿っているわけではないのがブランドの面白いところ。通常ファッションブランドは年に2シーズン、まとめてアイテムを並べ展示会を行なうが、「ザ デイ」は顧客に対してより親切にという思いから、年に4シーズン展示会を行う。2シーズンの展示会でオーダーしたものが半年後くらいに納品されるのに対して、4シーズン展示会を行っているのは、2〜3ヶ月で納品し、できるだけホットな気持ちのままアイテムを手に入れて欲しいから。当然これは従来のやり方より倍以上の労力が必要となる。しかも一般的な展示会期間と違うため、バイヤーの予算が残っていないことも大いにしてあり得るのだ。
街の個人セレクトショップが年々厳しさを増すが、「ザ デイ」がそういったショップにも寄り添っているのがその姿勢から見て取れるだろう。1回目の展示会を終えた直後に、取扱店は10店舗を超え、内に秘めた強い思いは各地に着実に届き始めている。シンプルで手に取りやすく、それでいていいモノを求める人は、この究極の日常着のアップカマーにぜひ一度頼ってみて欲しい。
洋服や時計、雑貨類で、ハイブランドから大量生産品まで、ユニークな目線でコレクトしている河内さん。今回は「ザ デイ」の服作りに合わせ、日常使いしているアイテムを拝見。お馴染みのブランドの稀有なバッグに、なかなか見ない企業メイドの筆記用具、アクティブな写真“フィールドレポート”が見られる1990年代のブランドカタログなど、愛用品から河内さんの“好き=真髄”を探ってみる。
10年以上コレクションしているパタゴニアアイテム。フードを再利用してつくられたサコッシュや、シュイナードネームのウエストバッグなど、写真に写るものはどれも国内で手に入らないモノばかり。
名のあるモノもちょっとした海外モノにも目がない河内さん。ディスカバリーチャンネルのペンケースや、アマゾンで買えるリーズナブルなノート、フランス刻印入りのウィチャードのオールドカラビナ。
目立たない服が好きというだけあって、家中、黒い靴しかないという河内さん。アディダスのスタンスミスは海外限定モノ。「ザ デイ」でも黒のモノは絶対に作っているから、同じ世界観のヒトは要チェック。
カリフォルニア州サンフランシスコ郊外に工房を構える自転車ブランド、リヴェンデル バイシクル ワークスの貴重な初期カタログ。よく読み写真や文面などからインスピレーションを受けているという。
中面にある通称・フィールドレポートの写真がすこぶるカッコいいという90年代頃のパタゴニアのカタログ。前述のバッグ類や、写真のカタログのみならず、パタゴニアのコレクションは国内有数である。
ブランドは成長してきてから知ることがほとんどゆえ、立ち上がった当初のコレクションを見る機会はどんな業界にいても意外に少ない。「ザ デイ」の記念すべき1stコレクション“2023 Autumn”をご紹介。
WOOL LONG TAILORED JACKET ¥53900
ウールとポリの混率をアップデートした生地を使用。オールシーズン着用可能で、高級感がありながら素材の持つ表情と軽さを活かした仕立て。襟を立てても着てもハマるパターンが魅力。
MOLESKIN LONG TAILORED JACKET ¥63800
着用するたびに肌に馴染む経年変化を楽しめるブリティッシュモールスキン。肩肘張らずに着られるリラックスフィットで、安心感のある優しい着心地。セットアップでの着用もおすすめ。
MOLESKIN COAT ¥88000
歴史のあるブリティッシュモールスキン。襟の位置を低くボタンレス仕様にすることで、装飾を削ぎ落としたデザインを追求。羽織るだけでサマになる包み込まれるようなシルエットも特徴。
TSURI URAKE CREWNECK SWEATSHIRTS ¥24200
1時間に1mほどしか編み立てられない吊り編み機で製作した吊り裏毛スウェットは、肉厚で柔らかな風合いが魅力。肩が落ちるゆったりしたシルエットが絶妙で、胸ポケット付きで重宝間違いなし。
MOCK NECK LONG SLEEVE T-SHIRTS ¥15400
着心地の良い超長綿“スーピマコットン”のスムース生地で製作したモックネックTee。首や袖口が窮屈じゃないつくりでコート、ジャケット、シャツなどのインナーとしても使いやすい万能アイテム。
STANDARD SHIRT ¥28600
シルクのような光沢とカシミアのような肌触りのブロードシャツ。細かな運針で時間をかけて作ることで、繰り返しの洗濯にも耐える。トップボタンを締めても窮屈にならないシルエットが◎。
MOLESKIN WIDE PANTS ¥42900
シルエットとレングスにこだわり、革靴、スニーカーを問わず、どんなコーデにもハマる万能パンツ。穿くほどに馴染むブリティッシュモールスキンの両面起毛で、素肌に触れる気持ちよさは格別。
WOOL WIDE PANTS ¥37400
ウール×ポリエステルのヴィンテージライクな生地で製作。トラディショナルなスラックスのような上品な光沢に加え、軽くて歩くたびに揺れる美しいシルエットも楽しめる。オールシーズン対応。
2023 Autumnの発表から休む間もなく、それから3ヶ月後に登場した2023 Winterコレクションは、前ページの秋物とともに各取扱店と、WEBサイトで絶賛発売中。売り切れも出ているので、早めにチェックを!!
NYLON STRETCH COMFORTABLE JACKET ¥68200
滑らかなコットンのような風合いを持つ高密度ナイロンストレッチジャケットは、着心地に優れアクティブな活動にも対応。ウールをベースにしたナイロンポリ混紡素材の裏地で保温力も高い。
BORDER LONG SLEEVE T-SHIRT ¥18700
1865年、南フランスで生まれた度詰め天竺を再現。漁師や船乗りのユニフォームとしても重宝されたタフな生地は、何度洗濯してもへたりにくい。ロンT以上、スウェット未満のいいとこ取り。
GABARDINE COAT ¥82500
超高密度に織り上げた、最高峰のコットンギャバジンを使用。台襟付きのAラインシルエットで首元はシャープに引き締め、コート全体にはドレープを効かせることで、重たさを感じない工夫が。
GABARDINE TUCK WIDE PANTS ¥40700
玉虫のような上品な光沢が特徴で、落ち感がよくなるようにパターンを細かく調整している。世界中のメゾンから信頼されているコットンギャバジンの生地ゆえ、その穿き心地は言うまでもない。
SOFT FLANNEL CARDIGAN ¥33000
生地を裏使いすることで、淡い色味ではなく濃色を際立たせた魅せないギミックが秀逸。メランジヤーンを用いたイタリアの上質なフランネル生地は、丈夫でシワになりにくく、肌触りもバツグン。
SOFT FLANNEL SHIRT ¥29700
右のカーディガンと同じく、上質なフランネル生地を使用した、裏使いで仕立てているシンプルながら技ありなシャツ。洗いざらしでの着用が可能で、冬~春にかけて重宝する万能アイテム。
(問)ザ デイ theday-official.com Instagram:@the_day_official_
The post 【ブランドピックアップ〜THE DAY〜】外見はマイルド、秘めた“心”はエッジィ。 日常着の質を高める、新星ブランド。 first appeared on GO OUT.