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近年、爆発的な人気を集めているソロキャンプ。多人数でのキャンプでは味わえないマイペースな楽しみ方ができるうえ、ソーシャルディスタンス的なメリットもあって、今年は特に盛り上がりをみせています。
しかし一口にソロキャンプと言っても、シーンやスタイルは人それぞれ。どう楽しむかによって持っていく装備も異なります。
そこで、おしゃれアウトドア的な5人の外遊び人たちに、この秋のソロキャンプの楽しみ方と必携ギアを伺いました! 初回はありのままの“山”を堪能するお二方のスタイルをご紹介。
アウトドアブランドatelierBluebottle(アトリエブルーボトル)で日々バックパックを縫製中。デイハイクから縦走まで、各地の山々を渡り歩く大の山好き。軽量コンパクトなギアを最小限持ち歩くULスタイルでキャンプを行っている。山の景色をフィルムカメラに収めるのが趣味。https://atelierbluebottle.shop/
辻岡さんは、フィルムカメラ片手に各地の山々を登り歩くマウンテニアであるとともに、15年来のソロキャンパー。
「山遊びを始めた頃に賛同してくれる友人がいなかったため、止むを得ずソロに。一人がゆえに口は開かず、風景や食事を文字通り噛み締めて味わえるのが醍醐味でソロはソロでいいものですよ」。
今シーズンは秩父の国立公園が70周年なこともあり、奥秩父の山でのキャンプを計画中だそう!
一泊二日の山行を想定した辻岡さんのソロキャンプ装備。
自身のブランド「アトリエブルーボトル」のザックを中心に、アルコールストーブやキューベンファイバー製のスタッフサックなど、UL (ウルトラライト) 系のアイテムで統一したミニマムなパッキングながら、携帯ウォシュレットや救難信号の発信機など、山登りのマナーにはしっかり則った必要最低限の装備となっている。
そのうえで、フィルムカメラでの撮影を楽しむスタイルは、まさに山遊びのお手本といえる。
「山では衣・食・住を最低限の装備でこなし、より自然を身近に感じることが重要ですから、できるだけ軽くてミニマムな装備にしています。あとは、中判カメラでの撮影を誰にも邪魔されずに楽しめれば最高です」。
数多くの写真家に愛された伝説的モデルであるマキナ67。ニコン製高品質レンズのニッコールを搭載し、80’s中判カメラのなかでもトップ人気です。現在では中古でしか入手できないため、稀少性もかなりのレベル。
「ヤフオクでゲットしたお宝をオーバーホール。写真は山に行くときぐらいしか撮りませんが、アジのある仕上がりとアナログな手間が好みなので、こだわって選びました。カメラバッグはこのマキナに合わせて製作しました。意外と色々なカメラにフィットし、クッション性も十分で、想定以上に便利なんです」。
山での食事は、トレイルデザインのアルコールストーブとエバニューのポット、ミュニークの風防からなる3点セットで。ポットはチタン製だから軽量かつ丈夫。過酷な環境でも安心して負担少なく携行できるのが魅力。
「軽くてコンパクトなクックセットを突き詰めると、この面子がベストなんです。このストーブは何がイイってとにかく静か。山の中だとバーナーのゴーッっていう音が結構気になるんですよ。径が変えられる風防もすごく便利でお気に入り。これ一つでいろんなストーブに対応できるので、いろんな場所で助けてもらっています」。
アトリエブルーボトルの代表作といえる、UL系バックパックの最新型「PAC-03R」。一泊の山行をメインに想定されたサイズ感となっており、破れにくいメッシュポケットや、棒状アイテムが固定できるループコードなど、使いやすいギミックをたっぷり備えている。
「自分が一泊の山登りをするうえで、本当にちょうどいいと思えるサイズ(36L)です。必要最低限のディテールを心がけたシンプルな構造なので非常に使いやすいんですよ。X-PAC仕様なので軽量ながら耐久性もあって、我ながらいいバランスのバッグだと思います」。
今季よりスタートした新鋭ガレージブランド、ミタリワークスのデザイン担当。本業であるジュエリーデザイナーらしい緻密なデザインの焚き火台は早くもキャンパーの間で話題に。暇があれば山梨の山に所有する300坪の土地でライトなブッシュクラフトを堪能中。インスタグラム:@kyng_gw、@mitariworks、HP:https://www.mitariworks.com/
10年のファミリーキャンプ歴に加え、ここ2〜3年でソロキャンプも楽しむようになったという小川さん。「僕にとってソロキャンプの醍醐味は焚き火。熊や猪などと遭遇するかもしれない緊張感のある山で、暗闇の研ぎ澄まされた感じがたまりません」。
長野県上田の方に狙っている山があるそうで、この秋はそこを手に入れて、焚き火をメインにソロキャンプを楽しむ予定だとか。
ミタリワークスの焚き火台をデザインしているだけあって、大型のノコギリやハチェット、グローブなど焚き火を満喫するための装備が充実した小川さんの山籠り用ギアラインナップ。その他にも、ミリタリー系のジャケットやザック、ビーンブーツ、そして直火で黒焦げたステンレスボトルにコッヘルなど、ヘビーデューティなギアが揃う男らしいスタイルに。
大学生の時から乗っているという20年以上前の日産ステージアを足に、誰もいない山中へ焚き火しに出発。積み込むギアにこだわりはなく、自分の感性に引っ掛かった逸品を選んでいるそう。
「ブランドやメーカーは限定しておらず、カッコ良くてコストパフォーマンスの良いものが大好きですね」。
ミタリワークスが手がけた第一弾ギアにして、アイコンモデルとなる焚き火台。3枚のプレートとロストルによるシンプルな構成で、スピーディに設置&撤収できる。別売りのプレートや天板を追加できる拡張性の高さや、個性的なデザインも魅力。
「9月にリリースさせてもらったばかり。デザインは私が担当しました。もっとも小さいSは大きな薪だと入らず、灰も溜まりやすい。正直、手間がかかるのですが、その具合がちょうど良いんです。細かく面倒を見なきゃいけない分、没頭できますよ」。
動物を避けるために必ず携行するという、ブルートゥーススピーカーとポータブルラジオ、モバイルバッテリーのトリオ。スピーカーはJBLのCharge 4で、最長20時間の連続再生が可能なうえ、IPX7等級の防水機能まで備えるアウトドアに最適なモデルだ。
「野生動物との遭遇を避けるため、山中では音の出せるラジオが必需品。さらに、人の話し声で人間の存在を動物へしっかりアピールできるよう大きなスピーカーが必要ということ、信頼できるJBLをチョイスしました。また、暗闇の中で音を聞きながらお酒を飲むのも好きなので、そういった点でもラジオはマストですね」。
小川さんが現在進行形で試行錯誤しているギア用スタッフサックは、タフで疎水性があるパラフィン加工の帆布を使用。最終的な市販モデルもアウトドアに対応したタフなスペックを目指している。
「イーグルプロダクツのケトルとゼブラの鍋、ナルゲンのステンレスボトルなどを入れるための試作品です。思いのほか使いやすく、帆布の感じもカッコいいため、すでにお気に入りに。私が個人的に欲しいギアを作るラインのONE by MWからリリース予定となっています」。
シリアスに山と向き合うお二人だけに、ハイスペックなギアが多い印象。目的は違えど、どちらも必要最低限の装備に自分のこだわりのアイテムを織り交ぜることで個性のあるスタイルを実現していました。それぞれのシーンに合わせた統一感のある装備は、ぜひともソロキャンプギア選びの参考にしたいところ!
次回は、よりファッション要素の強めなお三方のソロキャンプスタイルをご紹介します。
Photo/Takuma Utoo