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新シーズンを迎える前にやっておきたいのが、長い冬を一緒に乗り越えてくれたヘビーなギアたちのメンテナンス。自宅で適切なケアをしてから収納すれば長持ちするだけでなく、自分だけの経年変化=アジもしっかり楽しめる。
まずはキャンプに山と酷使しまくったブーツを休憩させてやろう。ケアするのは、アウトドアブーツの定番であるダナーをチョイス!
レクチャーしてくれるのはSTUMPTOWN BOOTS&RECRAFTINGにて、主にブーツのリペアを担当するリフラクターとして勤務する清水淳平さん。あまり構えずに行えるよう、必要最小限のアイテムで済むケア方法を教わった。
2シーズンほどノーケアで履いていたダナーのマウンテンライト。全体的にホコリっぽく、ヒール周辺やシューレースで隠れていた部分は特に汚れが酷い。
とはいえ、オールレザーのモデルなのでメンテナンスは比較的やりやすく、結果も一目でわかるため手入れし甲斐大!
最低限必要となるのは、これだけ。水を含め6種類だが、基本アイテムがセットになったダナーのブーツケアキット(¥11000)で対応するのも間違いない。
まずはシューレースを解いて、ブーツだけの状態に。そして、ホコリや砂など、表面についた汚れをブラッシングで払う。ブラシはさまざまな種類があるが、オールマイティなのは柔らかい馬毛。「豚毛だと硬いため表革を傷つける恐れが。逆にスエードやバックスキンは硬い毛が向きます」(清水さん)。
スポンジにクリーナーを含ませ、水に浸して泡立てる。軽く水を切ったらダイレクトにブーツの表面をゴシゴシと。ブラッシングが不十分だとホコリを押し付けることになるので注意。「食器用スポンジだと硬くて泡立ちにくく、力加減が難しいです。なるべく靴用を」(清水さん)。
また、クリーナーは絶対にシューズ専用のものを。キッチンに置かれた中性洗剤では必要な油分まで落とし、レザーにダメージを与えてしまう。「ローションタイプのクリーナーも人気がありますが、水で伸ばすタイプの方が細かいところまで入り込んでくれますよ」(清水さん)。
ちなみに、レザー×ナイロンのコンビの場合も基本はオールレザーと同じメンテナンスが可能。ただ、ナイロン部はしつこい汚れにヤラレがち。スポンジで落とすのが難しいようなら、硬めのブラシや歯ブラシなどで掻き出すように洗うと良い。
全体をクリーニングできたら、清潔なコットンクロスで泡と水分を拭き取る。レザーは水を吸ってそのままだと乾燥し、ヒビ割れてしまう場合が。素早く行うのが理想。「ダナーではあまり聞きませんが、乾燥による縮みで型崩れすることもあります」(清水さん)。
ブーツドレッシングやオイルを指で隅々まで塗り込む。保湿と適度なツヤ出しが狙いだ。有名なのはミンクオイルだが、革を柔らかくする効果が強く、万能ではない。植物性オイルの方が安定して使えるそう。「指を使うと伸びが良く、ムラなく塗れますよ」(清水さん)。
ドレッシングとオイルは成分に違いがあるがほぼ同義。ただ、前者の方が気温問わず伸ばしやすい傾向にあり、後者は硬めだが防水性に優れるとされる。スエード系の起毛レザーには両方とも使えないので、ケアするなら専用消しゴムやブラシのみで対応を。
仕上げに、過剰な油分を乾拭きして排除。「ツヤ出しミトンのようなキメ細かい専用クロスが望ましいですが、乾いた布なら大丈夫。より光沢が欲しい場合は使い古しのストッキングで磨いたり、靴墨を塗ったりするのも有効です」(清水さん)。
奥はメンテナンス前で、手前が後。汚れが取れたので引き締まった印象になり、ツヤも加わって履き込んだシワが映えるように。一層魅力が増すだけでなく、このまま収納したってヒビ割れや汚れの染み込みが起こる心配なし。良いこと尽くめなのだ。
上がおよそ10年履いているダナー マウンテンライトⅡで、下は約5年モノのダナー エクスプローラー。ともにSTUMPTOWNのスタッフが丁寧に愛用しているだけに、絶妙なエイジングが見られる。タフなアイテムだからこそ、キチンと面倒を見てやれば応えて成長してくれるという好例だろう。
Photo/Sousuke Shimizu