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早食いの人は肥満になりやすいといわれるのは、満腹中枢から「もう食べるのをやめる」という指令が出される前にたくさん食べてしまうからです。満腹中枢に信号を伝える役目を果たしているのはさまざまな種類のホルモン。そのなかには脂肪細胞が作り出す「レプチン」もあるのです。
満腹中枢に信号を伝えるホルモンとしては、インスリンがよく知られています。インスリンは血糖値を下げる働きをする大切なホルモンで、食事が進んで分泌量が増えると満腹中枢に働いて摂食抑制系を刺激するのです。
インスリンは食事を始めて15分ほどたってから分泌が本格化します。このため、早食いの人は満腹中枢が刺激される前にたくさん食べてしまうというわけ。これが早食いの人が肥満になるメカニズムです。
インスリン分泌が収まって運動や仕事などで体を動かすと、脂肪細胞内に蓄積された中性脂肪が分解され、血液中に遊離脂肪酸が放出されます。遊離脂肪酸はエネルギーとして使われると同時に摂食中枢を刺激。食欲を高めるのです。
そして近年の研究で、満腹中枢を刺激するホルモンを脂肪細胞自身が分泌することがわかってきました。このホルモンはレプチンと呼ばれ、体脂肪率が25%を超えるあたりから分泌が盛んになります。
すなわち、体内に脂肪が増えすぎてきたため、それを改善しようとするレプチンを脂肪細胞自身が行っているということ。肥満の張本人とされる脂肪細胞ですが、じつはむしろ食欲を抑制して脂肪を減らそうと働いているわけです。
このほか、脂肪細胞は健康を維持する数々の作用を持つ「アディポネクチン」を分泌しています。このため脂肪細胞は、臓器に似た働きをもつ重要な器官との見方が定着してきているのです。
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