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徐々に肌寒くなるシーズンに入ってきているので、今年から来年にかけてのメンズファッションの流行キーワードや着こなしなどを総まとめし、ピックアップしてご紹介していきます。
ストリートの観測や業界関係者とのトーク、雑誌の傾向、巷の洋服店に並ぶファッションアイテムなどから流行りのメンズファッションを選んでいきます。本質的な部分である「そもそも流行とは何なのか」、「今、どんなファッションブランドがアツいのか」も併せてご紹介。
ファッションに関わらず、流行には大きく分けて2種類の伝わり方があります。1つは『業界や広告会社が主導となるもの』。「今、これが流行っている!」、「次はコレが来る!」と煽ることで真っ先に飛びつきたい人達を扇動し、全く実態のないところから急激に流行を作りあげていきます。雑誌やTV、ニュースメディア、ファッションショーなどがあたります。近年では「ステマ」と揶揄されやすいのがこれ。
もう一つは『ストリート発信』のもの。SNSや口コミで徐々に広がりを見せていき、それがメディアの目に留まることで一気に流行へとのし上がるパターン。こちらもインフルエンサーと呼ばれる人たちに広告費が発生している場合もあり、時によって「ステマ」と言われることがあります。
しかし、どちらが主導のブームにおいても共通するのは「今流行っているいるものを継承していくスタイル(延長線上)」のものか、「全く目新しいもの」であるかどうかが大事となります。最近だと江南スタイルチックで目新しさもある「ペンパイナッポーアッポーペン」が大流行しそうですね。
また、メンズファッションにおいてはレディースで先にトレンドになってから流行するのも最近多いパターンです。
音楽やファッションの流行はたいてい15年~20年周期で繰り返すと言われています。これに明確な理由付けを行うのは難しいですが、最近流行したものを例に挙げていくと、「メンズのクラッチバッグ」や「ニットのプロデューサー巻き」、「MA-1」、「スカジャン」、「女性の派手めのメイクやカラータイツ」、「ユニクロブーム」などが挙げられます。どれも90年代に流行したものです。クラッチバッグ(セカンドバッグ)もニットのプロデューサー巻きも2000年代に入り急激に廃れ、ユニクロは2000年代前半にこの世の春を謳歌してから、2002年を機に一度大きな「冬の時代」を迎えています。それから15年余りが経ち、再び脚光を浴びていたんですね。
音楽で言えばEDMがブームになりましたが、これも90年代のハウスブーム、ディスコミュージックブームをより新しく洗練させたものになっているのがわかります。同じく90年代ブームだったパンク、メタルが今、再び復活の兆しを見せています(最近では「ベイビーメタル」の世界的人気もありますね)。
これらの現象は流行のメインターゲットとなる18歳~20代前半の層が完全に社会人になり、流行を作り出す(提供する)側に回っているという「世代交代」と、若い人たちにとって全く目新しいものに見えることも挙げられるかもしれません。
一方で、最近では流行の周期が短くなっていると言われています(情報伝達のスピードが急激に上昇し、流行りモノが陳腐化しやすくなったため)。
厚底ブーツ/ミュール/カラータイツ/ユニクロ/レザージャケット、レザーパンツ/ニュートラ(お嬢様、お坊ちゃま風ファッション)/Gジャン/FILA、GAPなどの「ロゴ」ファッション/腰パン/劇場版ポケモン/サザンオールスターズ/キムタク(ドラマ「ビューティフル・ライフ」)/ハリー・ポッターと秘密の部屋(小説)/サントリー「DAKARA」(健康志向ブーム)。
現在のファッションは80年代~90年代のリバイバルと言われていますが、今後5年くらいの間に2000年初頭にブームになったものが再び復活するかも知れません。2000年代序盤の流行について一度調べてみるのも面白そうですね。ファッションにおいてはレザージャケットやGジャンはもう定番アイテムです。
「流行を追いかけないこと」が流行の1つにもなっているほど多様化した現代ですが、ファッション好きを魅了し、今現在の着こなしの流れを作っているホットなブランドはこちら。これらのブランドのコレクションを多くのファッションブランドが取り入れ、更に購入しやすいファストファッションブランドが真似ることで一般化し、流行となります。
なお、ノームコアのブームはすでに終了しつつあり、個性的なファッションアイテム、スケーターやスポーツ要素のある着こなしがトレンドになりつつあります。
ショートパンツのレイヤードやダークトーンで統一されたファッション、近未来的なデザインのスニーカーなどを流行させたのはアメリカ人デザイナーが1997年にスタートしたRickOwens(リック・オウエンス)。アンダーグラウンドな文化とラグジュアリーなスタイルを融合させた功績は大きく、近年になってこれまでトップメゾンだったグッチ、ジバンシイ、ディオール、ドルチェ&ガッバーナなどと肩を並べたと言える存在です。
2014年にスタートした新興ブランドながら、わずか1,2年で世界中のセレブやファッション好きを魅了し、大ブームを巻き起こしているOFF-WHITE(オフ・ホワイト)。デザイナーは世界的セレブでファッションアイコンのKanye West(カニエ・ウエスト)のスタイルアドバイザーであるヴァージル・アブロー。
アイテムに施されている「WHITE」の文字と、縦に入ったストライプ(バーティカルストライプ)がデザインの特徴。高価なブランドでありながらブランドを身近に感じられる安価な小物類や他ブランドとのコラボレーションなど多彩に展開し、商才も光ります。
今最もホットと言われているブランドがパリコレ初のVETMENTS(ヴェトモン)です。デザイナーは元マルタン・マルジェラのデムナ・ヴァザリア。
ビッグシルエットのほか、袖の長すぎるTシャツやパーカー、カットオフされたデニムなど、ファッション界に新しい波を巻き起こしています。スキニーデニムのブームをディオール・オムが作ったように、ファッションの「型・スタイル」を変革している非常に影響力の高いブランドだと言えます。
世界的なファッションアイコンであるカニエ・ウエストとアディダスが協業でリリースしているファッションブランドYEEZY(イージー)も若者を熱狂させるブランドの一つ。3万円程度のスニーカーが20万円前後で取引されるなど、特にスニーカーが人気のほか、アースカラーを使ったレイヤードスタイルや一見古着や道端で拾ってきた服のように見えるダメージ加工&無地でアースカラーのファッションアイテムのトレンドを生み出しています。
同じくカニエ・ウエストが手掛けているPABLO(パブロ)も入手しづらいファッションアイテムのひとつ。
とんでもない価格で取引されるYEEZYのスニーカーたち。
ロシア発のファッションブランドとして非常に高い人気を誇るのがGosha Rubchinskiy(ゴーシャ・ラブチンスキー)。ユース・カルチャーをテーマとし、原色系の色遣いや90年代に流行した「FILA(フィラ)」の復刻、タックインや少々野暮ったく見えるシルエットなど、近年のスケーター系ファッションブームに乗り注目度が俄然高まっているブランド。大人が着こなすにはやや難しいものの、近年停滞気味だったファッション界に大きなうねりを生み出しています。