昔から黒マスクが怖かった。もう2年以上前の2017年9月には、ここcitrusでも

 




だって、黒マスクして歩いてたり電車に乗ったりしているヒトって、無茶苦茶おっかないじゃないですか。私が黒マスク人間に抱くイメージは「肩が触れただけで相手を刺しちゃうようなヒト」「非合法というワードを全身で体現している人」「口のまわりにタトゥーが入っているヒト」「半グレ」「ウシジマくん(の登場人物)」……ほか諸々、ロクなもんじゃなく、たとえばコンビニのカウンターで背後に黒マスク人間が並んでいたら、その列を抜け、もう一度最後尾から並び直す。洒落じゃなくて、黒マスクからただならぬ殺気がただよってくるのだ。小銭をうじうじ数えてたりしようものなら、いきなり腎臓あたりをブスッとイカれてしまいそうで……。citrus読者の皆さんも大なり小なり黒マスク人間に対して、私に似た恐怖を味わっているはず……と、私は確信する。






……みたいなことを書いている。しかし、新型コロナウイルスが猛威を振るう昨今、マスクはもはや外出に欠かせない“必需品”となり、色・柄・形・素材……など多様性を増しつつはあるものの、同時に、やれ黒が嫌だピンクは可愛いだの……と、文句を垂れる余裕もないほどの“品不足”が世界レベルの深刻な問題となっている。もちろん、私もこのたった数ヶ月で黒マスクに抱いていた嫌悪感なんぞ、きれいさっぱり吹っ飛んでしまった。あらためて冒頭で紹介したコラムを読み返してみると、あのころの“のどかな空気”にノスタルジーさえおぼえてしまう。



 



そんななか、『X JAPAN』のYOSHIKI(年齢非公表)がオリジナルマスクの制作に取り組んでいることを4月20日、自身のインスタグラムに投稿。実家が呉服屋であることから2011年に立ち上げてプロデュースする着物ブランド『YOSHIKIMONO』によるデザインで、黒地に赤とピンクの薔薇をあしらったマスクの画像とともに公開し、「今、デザイン中だよ!」と報告した(※販売するかどうかは未定)……という。



 



そのマスクの画像を掲載していた某記事には「らしさ全開!退廃的&ゴージャスすぎるYOSHIKIマスク」とあった。このご時世に「退廃的」なんはあかんやろ、とツッコミたくはなったが(笑)、たしかに「(YOSHIKI)らしさは全開」で「ゴージャス」な外見であることに間違いはない。品格と妖しさにキュートさが加わった、一見ではアバンギャルド風な、でもある意味「アカデミック」とも表現できなくはない、絶妙なバランスのデザインだと言えよう。



 



はたして、我々がまたマスクを外して、普通に街を歩けるのはいつになるのだろう? 仮に、順当な流れでゴールデンウィーク明けには非常事態宣言が解除され、外出自粛の風潮がいささか緩和されたとしても、マスクの着用率はおそらく、ほぼ変わらないのではないか? つまり、これから(しばらく)は「マスクもファッションの一環としてコーディネイトする時代」──慢性的な需要過多の状況において、そんな物理的かつ精神的な“遊び心”を楽しめるようになるにはまだ少々の時間を要するのかもしれないけど、そういったトレンドを予見するアンテナの鋭さと行動力に発信力、それにビジネス感覚は「さすがYOSHIKI!」と唸らざるを得ない。日替わりのチャーミングなマスクで都民、いや全国民をほのかに癒している小池都知事なら、すぐさまMy コーデに取り入れてくださるに違いない?

 


情報提供元: citrus
記事名:「 YOSHIKIデザインの「退廃的&ゴージャスすぎるマスク」が予見するマスクファッションの進化