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年季と言う名のシワが刻まれた顔。穏やかで重厚な声と演技。その圧倒的存在感で作品に重みを加えてくれる名優モーガン・フリーマン。今年で82歳という高齢ながら未だ第一線で活躍する彼の代表作をプレイバック!
■『ドライビング Miss デイジー』[1989年]:アカデミー主演男優賞ノミネート
1980年代の後半から徐々にハリウッドで頭角を現し始めたモーガン。そして、87年の『NYストリート・スマート』での巨悪なポン引き役でアカデミー助演男優賞にノミネート。続く89年の本作でもアカデミー主演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブでは主演男優賞を受賞している。
1948年、ユダヤ系の老婦人デイジーは、息子の勧めで渋々アフリカ系黒人の運転手ホーク(モーガン・フリーマン)を雇うことになる。当初は成金に思われたくない気持ちからホークにつらく当たっていたが、徐々に二人は互いに人生でかけがえのない友人になっていく…という筋書き。
公民権運動やKKKなど、黒人、そしてユダヤ差別など渦巻くアメリカ南部アラバマ州。自分は差別などしないと思っていたデイジーが、無自覚な社会システムに眠る差別感情に気づかされる様はハッとさせられる。しかしそれを超え、友情を築いていく二人の様には、思わず和やかな涙がこぼれてしまうはずだ。
■『セブン』[1995年]:ブラピとコンビで猟奇殺人犯を追うベテラン老刑事を熱演
90年代に入ると、傑作感動映画『ショーシャンクの空に』での名演で名実ともに高い評価を得たモーガン。1995年のサスペンススリラー『セブン』では、ブラッド・ピット演じる若き刑事を導く老刑事を好演し、世界的大ヒットとなった。
雨降りしきる大都会で、キリスト教の七つの大罪になぞらえた連続殺人事件が起きる。退職まであと1週間と迫ったベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)は、事件解決に躍起になる新人刑事ミルズと共にこの事件を追っていくが、それは想像を絶する悲劇への道だった…。
鬼才デイヴィッド・フィンチャーの描く鮮烈なビジュアルと、凶悪な殺人犯ジョン・ドゥのインパクトは絶大。そんな殺伐とした世界で、主人公ミルズを諭し続けるモーガン演じるサマセットの“師匠感”は、視聴者に安心感を与えてくれる存在だ。
■『ドリーム・キャッチャー』[2003年]:精神を病んだ狂気の軍人を見事に怪演
最後に筆者が推したいのは、モダンホラー小説の巨匠スティーヴン・キング原作のSFスリラー『ドリーム・キャッチャー』だ。精神を攻撃してくる宇宙人の脅威に、少年時代に超能力を授かった4人の男たちが立ち向かう本作で、モーガンはキャリアでも珍しい狂気の悪役を演じている。
片田舎メイン州に住むジョンジー、ピート、ヘンリー、ビーバーは、あるときダディッツという風変わりな少年をいじめから救い、彼から不思議な能力を授かった…。それから数十年後、大人になった4人は山小屋で久しぶりの再会パーティーを開く。しかしときを同じくして、近くの山に凶悪な持つ異星人の船が墜落し…というストーリー。
キングの持ち味である「特殊能力」「トラウマに入り込む邪悪な存在」、そして「少年時代の友情」が渾然一体となった快作。モーガンは宇宙人の一団を排除するためにはどんな犠牲も厭わない、凶悪な軍人を怪演している。いつも穏やかな自身のイメージを払拭するように「私が狂犬だ! 怪物なのだ!」と叫びながら、戦闘ヘリで爆進するモーガンが見られるのは本作だけである。必見。