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■昆布は「海草」ではなく「海藻」
まずは、昆布についての基本的な説明からいたしましょう。藻の仲間である昆布は、陸上の植物のように茎や根の区別があり、海中で花を咲かせる「海草」ではなく、「海藻」というグループに属しています。
海藻は、海で生活しているのは同じでも、種子によって繁殖する海草とは違い、胞子によって繁殖し、茎や根の区別もありません。海藻の根のような部分は「付着器」といい、養分を取り入れるためではなく、岩場に身体を固定するためのもの。栄養は身体全体で吸収しながら、光合成を行っているのですね。
葉の色により、緑藻・褐藻・紅藻の3種類に分かれる海藻のなかで、昆布は褐藻に分類されます。世界中には、約2万種の海藻類が存在しているといわれていますが、食材として用いられるのは褐藻が多く、全部で約50種類ほどだそうです。
■生きているから出汁が出ない!?
深さ5~7メートルの海中で、光合成を行いながら成長し、大きくなる昆布。そうして生きているうちは、出汁が出てしまうことはないのだとか。
つまり、今回の記事タイトルにした疑問の答えは、ずばり「生きているため」といえるでしょう。昆布が生命活動を行っているときには、出汁の成分となるアミノ酸の一種・グルタミン酸が昆布自身の栄養となっているため、外へ出ていかないよう、細胞膜がしっかりと守っているそうです。
しかし、長時間乾燥させられたり熱湯に入れられたりして、昆布が死んでしまうと、細胞膜の働きがなくなるので、出汁を取り出すことが可能になるというわけなのですね。
■出汁を取ったあとの昆布を捨ててはいけない
このようにして、溜め込まれていた栄養を出汁として抽出したあとの昆布は、捨ててしまうという人も多いことでしょう。
しかし出汁を取り出したあとの昆布にも、水に溶けない抗アレルギー成分や、食物繊維といった、身体にいい成分が大量に含まれているといいます。なので、食べずに捨ててしまうのは、とてももったいないことなのです。
そのまま料理に使ってもOKですし、3センチ程度の大きさに切ってからラップで包めば、冷凍して取っておくこともできます。インターネット上には、出汁を取ったあとの昆布を利用した佃煮や塩昆布、昆布のふりかけといったレシピがたくさん公開されていますし、手軽に作れるものも多いので、一度試してみてはいかがでしょうか。