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ネット版の『女性自身』が、「ダレノガレ明美“オーガニック野菜食べない理由”を明かし話題に」なるタイトルの記事を配信していた。とりあえず、その内容のあらましは、以下のとおり。
モデル兼タレントのダレノガレ明美(28)が6月18日、自身のTwitterを更新。オーガニック野菜を食べない理由を明かし反響を得ている。
ダレノガレは「オーガニックの野菜のが体にいいのに何で普段から食べないの? って言われて…」とある人から質問されたことを報告。
続いて「私はオーガニックじゃない野菜を昔から食べてたし、食べれる事に感謝しなきゃいけないから何でも食べるんです!」と理由を答え、質問者から「珍しいモデルだね!」と言われたと明かした。
最後に「私はやっぱり食べ物に感謝していきたいから何でも食べるわ!」と持論を展開した。
さて。「オーガニック信仰」の是非を論じる前に、私はこの記事の見出しに致命的な誤り、もっと穿った見方をするなら、確信犯的な“誘導”の意図を感じてやまなかったので、そこをまずは指摘しておきたい。
ダレノガレは「オーガニック野菜を食べない」と記してあるが、事の顛末を原稿に沿って冷静に噛み砕いてみると……別に彼女は「食べない!」と言っているわけじゃない……ですよね? 「オーガニックじゃない野菜も(積極的に)食べる」と言っているだけじゃないのか? (おそらく)「オーガニック派vsアンチ・オーガニック派」のわかりやすい二律背反の構造に仕立てあげたいメディア側の狙いは理解できなくもないけど、本文もろくに読まずにセンセーショナルな見出し“だけ”を見てキーッとなったオーガニック原理主義者によるヒステリックな攻撃を、ダレノガレが一身に受け負うのはちょっと可哀相な気がする。現に、同投稿は2000を超える「いいね!」が付き、その大半は好意的な意見で占められているとのことだが、なかには、
「あなたは将来子供を産むかも知れない。その子供に毒を与えますか?」
「そんなこと言ってるから 今の子はアレルギーが多いんだ」
……など、偏った反論も散見されている……らしい。「珍しいモデルだね!」って言い草も相当に嫌な感じだし……。
私は、ダレノガレのオーガニック野菜に関する感性は、極めて一般的なものだと思う。日本人のおおよそは、
「そりゃあ、たしかにオーガニックであるに越したことはないわいな…でも、オーガニック野菜って値段が高いし、なかなか近所で売ってもいないから取り寄せたりするのも面倒だし、徹底するのはちょっとなぁ…」
……みたいなスタンスなのではなかろうか。私もけっこう料理はするが、自炊の頻度が増えれば増えるほど、収入から換算した食費に充てる予算は限定されてくるし、「一円でも安い野菜を購入したい」という計算もおのずと働いてしまう。メニューもほとんどがその日まかせで、明日の献立に備えてオーガニックな野菜をオーダーするようなヒマも精神的な余裕もない。
中年男性カップルの二人暮らしを、日々の食卓の風景を中心として描かれたドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)が好評を得ているが、西島秀俊演じる主人公(の一人)のシロさんが、スーパーの店頭で大安売りの値札を見ながら10円を惜しんで「う〜ん、う〜ん…」と悩むさま、そしてペットボトル入りの大量生産されたダシ醤油をドバドバ使うシーンには、昨今の加熱するいっぽうの健康志向に対するアンチテーゼも、さり気なく含まれているのかもしれない。