昨今「チョークアート」なるトレンドが、日本のグラフィック界においても静かに押し寄せつつある。



 



チョークアートとは、読んで字のごとく「学校にあるような黒板とチョークを使ったアート」のことで、オーストラリア・イギリス・カナダほか、おもに欧米諸国の飲食店の看板などでよく見られる鮮やかなイラストやレタリングは、多くがこの手法によって描かれている。



 



「チョーク」とは言っても、学校にあるチョークみたいに2〜3色しかないソレとは違い、色数は100色以上にもおよぶ絵画専用の本格的なもの。通常のチョークと比べ、油分が少々多めに含まれており、パステルよりもしっとりとした質感を表現でき、クレヨンよりも混色がしやすくグラデーションも付けやすい──といった特性を持つ。



 



チョークアート専用のチョーク


“キャンバス”となるのは、おもに「板」で、それに特殊なインクを塗って、黒板調に仕立て上げるらしい。「第7回全日本国民的美少女コンテスト」でマルチメディア賞を受賞したこともある(※ちなみに、この年には上戸彩が審査員特別賞を受賞している)女優兼タレントで、日本では第一人者とされるチョークアーティストでもあるMoecoさんは、こう語る。



 



Moecoさん



「白ではなく黒に描く。まず、その逆の発想にイマジネーションが刺激されます。さらに、描いた後に指で触って色をボカしたりノバしたりていく──「直(じか)に触る」という行為が、作品により魂を込めるのではないでしょうか。私としては『鶴の恩返し』の機織り(はたおり)みたいなイメージですね」




 



“キャンバス”は黒い板。まずチョークで描いて、指で直接触れながらグラデーションをつける


以下のような「お手軽さ」から、イラストを描いてみたい“初心者”にもチョークアートをオススメするMoecoさん。



 



・  用意する物はチョークと板と(黒の)特殊インクだけ



 



・  小さい板に描くなら机の上でも大丈夫



 



・  絵の具のように乾き待ちをする必要がない



 



・  絵の具のように水洗いする必要もない



 



・  油絵やマーカーのように匂いが部屋につかない



 



机の上で描くこともできる


しかし、Moecoさんが描く作品、その世界観は、一見では「チョークを使っている」とはわからないほどに繊細で、独自の背徳観を醸し出す。ラインストーンやホログラム、ラメなどをふんだんにコラージュとして取り入れ、絵の表面に樹脂コーティングを執拗に施すことも……。キラキラな素材やコートの艶で“色香”を加えたいからだという。



 





 




「どんどん時代がデジタル化するなか、その便利さゆえ、アナログなものが減っていって……だからこそ、たとえば手書きの手紙がレアで、気持ちもいっそう伝わってくる。チョークアートならではの“触れて描く”という特性、人間の暖かみを、誰もが知らず知らずに求めてるのだと私は思います」(Moecoさん)




 



この6月21日から、Moecoさんの個展『秘花』が東京都中目黒にて開催される。ぜひ一度は足を運んでみて、Moecoさんが黒いキャンバスを愛撫するかのごとく奏でる縦横無尽なフィンガータッチのエロス──「秘密の花弁」を、一枚ずつじっくりと解きほどいてみてはいかがだろう。



 



 





■  Moeco’s solo exhibition『火花』-Hibana-



ほどけていく、秘密の花。チョークアーティストMoecoが、前作『艶画』から日本では約2年半ぶりとなる全描き下ろし大型個展。今回の個展では、有名アーティストたちとのコラボ作品も展示。



期間:2019年6月21(金)~ 7月6日(土)



会場:MDP GALLERY(東京都目黒区青葉台1-14-18 1F)



時間:11:00~19:00 ※最終日は18:00まで/日・月・祝日休廊



電話:03-3462-0682 



※  レセプションパーティーは6月21日(金)の18:00~21:00(自由入場)


情報提供元: citrus
記事名:「 日本における先駆者!? 美しすぎるアーティスト・Moecoが語る「チョークアート」の世界