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GW前の話になってしまうのだが、タレントの鈴木奈々(30)が、4月27日の楽天-ロッテ戦(楽天生命パーク)の始球式に登場。雨が降りしきるなか、マウンド上で何度も「いきます!」と気合いを入れたが、大役の緊張からか、なかなか投球動作に入らず。一度モーションに入りながらもやめてしまう場面もあり、試合開始が4分ほど遅れてしまう……という事件(?)が勃発。ネット上には
「あの始球式はひどいです。ふざける場じゃない」
「始球式はあなたのショータイムではありません」
「見ててイラつく」
「試合前にリズムを狂わされた楽天のピッチャー(この日の先発は美馬)はイイ迷惑だな」
……ほか、批判のコメントが殺到。「タイシデー」と銘打った同イベントを、スポンサーとしてバックアップしていた太子食品が翌日の28日、公式ツイッターで
「当日の始球式が遅れ、皆様にご迷惑をお掛けした事、大変申し訳ございませんでした。
私達スポンサーの準備・説明不足であったと深く反省しております」
……と、謝罪する大問題へと発展。鈴木本人も、自身がレギュラーを務める5月4日放送の『田村淳の訊きたい放題!』(TOKYO MX)で
「本当にあの始球式で、皆さんにご迷惑をかけて申し訳ない気持ちです」
「もう次とかダメ…本当に申し訳ない」
……と泣き出しそうな表情で謝罪する事態にまで追い込まれた。
私は今回のこの騒動──「プロ野球の始球式」の是非をあたらめて問い直す良い機会になったのでは……と考える。
世間的には「そこまで目くじら立てるほどでも…」的な論調の意見もあるという。さっき私は「大問題へと発展」と書いたが、おそらく騒いでいるのは、日本人の全人口からすれば「一部」にしかすぎない野球ファンと、やはり「一部」の無記名評論家気取りなネット住民が大半……なのではなかろうか。
だが、「一部の野球ファン」だけの注目が集まる興業としての「プロ野球」に、鈴木のような“異分子”を安易に介入させたことによる“失態”に怒りを爆発させてしまう心情は、野球を心から愛する一人である私としても、十分に理解できる。これがたとえば、一般的には好感度の高いDAIGO(※メンタリストじゃないほうの)だとか石原さとみだったとしても、鈴木と同じような真似をマウンド上でやからしたら、私をはじめとする野球ファンは同様の罵声を、遠慮なく浴びせたことだろう。
始球式に、話題づくりの一環としてタレントやらアイドルやらの有名人を呼ぶのは別にかまわない。でも、せめて呼ぶなら「野球に対するリスペクトがある有名人」って縛りだけは、どうか徹底してほしい。樽美酒研二やメンディ関口や稲村亜美が魂を込めた渾身の直球をキャッチャーめがけて投げているさまは、観ている側も気持ちいいし楽しい。仮に野球未経験者であっても、野球好きであればマウンドでの仕草や投球フォームにリスペクトは滲み出てくるものだ。「野球へのリスペクトに溢れる有名人」が始球式の回数に追いつかないのなら、その回数を減らせばいい。毎度やる必要なんてないではないか。ある意味、鈴木奈々は、そんな惰性的に行われ続けている、近年の「リスペクトの有無を無視した有名人の始球式」といった“悪しき慣習”の犠牲者なのかもしれない。