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新入社員のうちは大目に見てもらえることでも、人に教える立場になったり、先輩と呼ばれる立場になったりしますと、笑ってすますことのできない「言葉の間違い」がトラブルにつながることもあります。気持ちがこもっていれば腹の立たない誤用もありますが、相手に誤解を受けたり、相手の気分を害してしまったりするような誤用は避けたいものです。そんな、うっかり誤用してしまいがちな敬語、言葉づかいをあらためて見直してみましょう。
■アラフォー世代でもうっかり誤用しがちな敬語三選
1「目上の方のお宅を訪問するときのお持たせにお勧めなのが〇〇のお菓子です」
2 「田中さんとは、いつ頃お会いしたのですか」
3「お顔にたっぷりなじませて使ってます」
いかがでしょうか? もしかしたらうっかり使っていたかも?と感じたり、そういえばよく耳にするという言葉もあるのではないでしょうか。相手を怒らせてしまう類の誤りではないかもしれませんが、知らないと恥をかく言葉もあるものです。
1の「目上の方のお宅を訪問するときのお持たせにお勧めなのが〇〇のお菓子です」は、「お持たせ」の使い方がおかしいですね。「お持たせ」とは、「御持たせ物」の略で、本来は、お客様を敬い、お客様が持ってきた土産物をいう言葉です。最近では、お客様が持ってきた土産物に対して言うのではなくて、例文のように「お持たせにもお勧めなお菓子」のように、自分が持って行く物・手土産の意味で使っている例が非常に多いようです。
そのためか、最近では辞書の解説でも補足や近年の例として、そのような使用例も見られるという解説が加わることもあるようですが、本来は全く逆の意味ですね。本来の正しい使い方としては、お客様が持ってきた手土産を、そのお客様の前で開けて勧めるときに「お持たせで恐縮ですが…」のように使う言葉です。いくら、誤った使用例も増えているとはいえ、本来の意味を知る人から見れば「あれっ?」と感じる誤用です。
2の 「田中さんとは、いつ頃お会いしたのですか」は、「お会いした」が誤用です。「部長は(田中さんとは)いつ頃会ったのか」ということを敬語で言う場面でよく耳にする誤用です。「お会いする」は、自分が会うという謙譲語の表現ですから、これでは部長を高めるどころか部長が会うという行為を謙譲語で表してしまっています。正しくは「いつ頃お会いになったのですか」(または「会われたのですか」)が〇。
3の「お顔にたっぷりなじませて使ってます」は、「お顔」が問題です。美化語という意味では誤用と言い切れない部分もありますが、自分の体を「お体にも良いので毎日使っています」がおかしいのと同様に、不自然なものです。お客様に使用方法を話す際に「お体だけでなく、お顔にもお使いになれます」ならば正しい表現です。
2は、尊敬語と謙譲語があやふやになってしまっている誤用で、1と3は、意味を知らずに上品に表現したいと思っての誤用なのか、3の「お」の付け過ぎや不自然な使用例も案外多く見られます。これは美化語とも呼ばれ、使用の個人差もありますから〇×とはっきり分けにくい語もあります。おビールなどは、接客、商業言葉として、お酒、おビールのように使われ出して定着したものなのでしょうが、おワイン、おジュースなどと、本来はカタカナ語に「お」や「ご」は付かないものです。アラフォー世代ならば、言葉の本来の意味を知り、場面によりふさわしい使い方をすることが、マナーといえるでしょう。