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■「カレーライス」の名前の起源は、食品メーカーでさえ特定できない!?
国民的料理のひとつである「カレーライス」。これの語順を入れ替えて「ライスカレー」と呼んでみたとき、みなさんは違和感を覚えるでしょうか? それとも、すんなり受け入れられるでしょうか?
さらに掘り下げれば、そもそも「カレーライス」と「ライスカレー」は同じ食べ物なのか、あるいは別物なのか……という疑問だって出てきますよね。
こんなとき頼りになるのが、カレーを取り扱う食品メーカーはどんな見解を示しているのかということ。
「S&Bカレーの王子さま」などの商品で知られるエスビー食品は以前、「ライスカレーと、カレーライスとどちらの言い方が正しいのですか?」という質問に、公式サイトで次のように答えていました。
「俗には、御飯の上にカレーがかけてあり、それこそソースやしょう油をふって食べる大衆的な雰囲気のものがライスカレー、御飯とは別の容器にカレーが入って出てくるややハイカラなイメージのするものをカレーライスと呼ぶ、と言われています。しかしどちらの呼び方が正しいとは決められません」(原文ママ)
これに従うなら、ご飯の上にカレーがかかっているものが「ライスカレー」で、ご飯とカレーが別々に出てくるものが「カレーライス」。
……おや? みなさんが一般的に思い浮かべる「カレーライス」は、本来であれば「ライスカレー」だったのでは……?
これに対し「カレーライス」は、エスビー食品いわく“ややハイカラなイメージのするもの”だそうですが、今となってはハイカラというより、むしろ庶民的な食べ物ですよね(笑)。
カレーが日本に伝わったのは明治時代のことで、かつて「少年よ大志を抱け」の名言を残したクラーク博士は、札幌農学校(現・北海道大学)に赴任した1876年(明治9年)に、「生徒は米飯を食すべからず、但し“らいすかれい”はこの限りにあらず」という寮の規則を作ったといわれています。
クラーク博士が「ライスカレー」の名付け親というわけではないのですが、博士には「生徒はただお米を食べるだけではダメだが、ライスカレーだったら栄養が摂れる」という思いがあったようでした。確かにカレーは肉も野菜も入って具だくさんですし、博士がこんな規則を定めた狙いもわかる!?
一方、1906年(明治39年)には「カレーライスのタネ」という即席商品を発売した会社も登場。この頃からすでに「ライスカレー」と「カレーライス」は混在していたわけですが、先述したエスビー食品の推測によれば、1964年の東京オリンピックあたりで「カレーライス」という呼び方が主流になったのではないかとのこと。
高度経済成長によって国民の食生活が大幅に変わるなか、即席カレーのみならず本格的なカレーも各地で売り出されるようになり、「カレーライス」が台頭していったというのです。うーん、納得できるような、できないような……?(笑)
結局、「カレーライス」と「ライスカレー」は使い分けがあいまいなまま、いつからか一緒くたに呼ばれるようになってしまった様子。国民的料理なのに謎が多いというのもまた、カレーの魅力なのかもしれませんね。