2月11日、『歌のゴールデンヒット〜昭和・平成の歴代歌姫ベスト100〜』(TBS系)なるタイトルの特番が放送され、そこで7位に選ばれたシンガーソングライターの宇多田ヒカル(36)が、2月15日に自身のツイッターを更新。「歌姫ってなんなん」と、「歌姫」という言葉に素朴な疑問を投げかけた。これがファンを中心に大きな反響を呼び、著名人が次々と「○○ってなんなん」とのツイートを投稿しているという。音楽専門のニュースサイト『MusicVoice』によると、その数例とは以下のとおりである



 



武井壮「百獣の王ってなんなん」(※「お前が自分で名乗っているだけだろ」とネット住民からツッコミが入る)



 



吉田沙保里「霊長類最強女子ってなんなん」



 



西川貴教「声量おばけってなんなん」



 



つるの剛士「イクメンってなんなん。笑」



 



ホストのROLAND「現代ホスト界の帝王ってなんなん」



 



ひょっこりはん「ひょっこりはんさんってなんなん」



 



この「なんなん」──よくよく噛みしめれば……なかなかに奥が深い、哲学的な問いかけではないか。「○○ってなんなん?」と自問自答してみると、日々の繁雑事に忙殺されがちな自己のレゾンデートルってやつを、あらためて見つめ直す絶好の機会を得ることができる。



 



たとえば、「山田ゴメスってなんなん」と自問自答してみる。



 



ペンネームである。まだ駆けだしのライターだったころ、当時仕事をしていた某雑誌(※暴走族の専門誌『ティーンズロード』)の編集長から「お前もゾクに負けないくらい怖い名前にしろ。よし、顔が南米系だからゴメスだ」と、まるでビートたけしが「たけし軍団」団員の芸名を考えるかのごとく、適当に命名された。語呂も良く、けっこう覚えられやすい名前なので、今もなんとなくダラダラと使い続けている。そもそも私は「ペンネームを何日も徹夜して必死に捻り出す」といった行為がおのれの美学に反しているため、この安易さを意外と気に入っている。ただ、ゴメスは本来ファミリーネーム(もしくはクリスチャンネーム)ゆえ、正確には「山田田中」みたいなもの。でも、「松尾スズキ」ってペンネームもあるのだから別にかまわないだろう……と、こんな感じだ。



 



たとえば、50歳を超えたあたりから私を紹介する際の枕詞として、方々のメディアが多用する「永遠の思春期ってなんなん」と自問自答してみる。



 



同世代の男性は、部長だとか取締役だとかに昇進して持ち家のローンも終わりに近づき、息子や娘もすでに成人して幸せな家庭を築いているのに、アンタ(=私)は借家で貯金もロクになく、相変わらずまだ娘ほどの年齢の女子の尻を追っかけてるんかい! でも、脳と筋肉と男性器がまともに機能しているかぎり、そういう人生もまたアリかもしれない……と、こんな感じだ。



 



たとえば、私の肩書きを限定できないメディアが好んで(しょうがなく?)表記する「マルチライターってなんなん」と自問自答してみる。



 



「マルチ」ということは裏を返せば「専門がない」ということ。この年にもなって、なんの特化した知識もないって、どーなのよ? でも、「専門がない」も突き詰めれば、一つのれっきとした専門性になりうるのでは? そう。なにに関しても“素人”であることのプロになればいいのだ……と、こんな感じだ。



 



親愛なるcitrus読者の皆さまにもゼヒ一度、自身に与えられている愛称やキャッチフレーズに「なんなん」をくっつけて、自分の半生を振り返ってみることをオススメしたい。


情報提供元: citrus
記事名:「 宇多田ヒカルから始まった「なんなん」の輪。アナタの「なんなん」はナニ?