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ウェブ版の『女性自身』によると、お笑いコンビ・NON STYLEの井上祐介(38)が2月6日、自身のTwitterを更新。「イジり」と「イジメ」の境界線についての持論を語ったところ、「かっこいい!」「ムッチャええこと言うやん」……ほか、多くの称賛の声が寄せられている……らしい。その「ムッチャかっこいい持論」とは以下のようなものである。
「イジりとイジメは紙一重」(と前置きしながら)「僕も、誰かをイジることはある。その数十倍イジられることがある」
(続いて)「笑いのためにイジることは必要だと思うし、笑いのためのイジメはあってはならない」
「難しい線引き」(としながら)「要は、イジる側もイジられる側も、お互いを尊重しあえるかが大切。信頼関係こそ笑いの原点だと思う」
(次のツイートで)「さぁ、フォロワーの皆さん!! これからも、ドンドン僕のことをイジってくださいねぇ」(と呼びかけた)
「信頼関係」というふわっとした言葉を結論に使うのは、いささかズルい気もしなくはないけどw、井上が主張するとおり「紙一重であるイジりとイジメの境界線」がそういった曖昧な概念によって漠然と区画されているのも、また紛れない事実であり、ならばこの井上のツイートは、やはり“名言”と見なしてもかまわないのではなかろうか。
私も、メタ認知的視点(※自身の思考・感情や周囲の状況を客観的に評価すること。自分の言動を空の上から神様の目線で俯瞰で眺めること)から自己分析すれば……わりに「イジられキャラ」の部類に属する男だったりする。年上だろうが年下だろうが男性だろうが女性だろうが、私の息子や娘でもおかしくない年齢差の若い衆ですら「ポンコツオヤジ」扱いで、ガンガンと容赦なくイジってくる。
ノンスタ井上が言うところの「信頼関係」が築かれている間柄なら、それはそれでむしろありがたい話なんだが、問題なのは、そのさまを見倣い安易に乗っかってイジり倒してくる、初対面レベルの「まだ信頼関係が築かれていない間柄」な輩である。
私だってもうイイ大人なので、そんなことにいちいち目くじらを立てたりはしない。でも、こういった周囲の空気にすぐ流される、いわゆる「用心深さと思慮深さに欠けたマウント気質の人間」って、その性格が仕事に支障をきたさないのかしら、ビジネス上での上下関係で“下”にあたる受注側や部下・後輩をイジっているつもりでイジメたりはしてないのかしら……と、他人事ながらつい心配になってはしまう。心配しておしまいなんですけど。イジられキャラ(=イジられる立場)のヒトってそこらへん、冷静にすご〜くよく観察してますから。
ちょっと油断しすぎなのではないか? イジられる側はそういうたぐいの人間をそのスタンスから正確に炙り出し、炙り出したら最後、永遠に「信頼」の感情を抱かない。もし、なにかの拍子に上下関係が崩れたりしたら(たとえばこれまで“上”の立場、発注側にあったヒトがいきなり会社をクビになったりしたら)、相手はいきなり手のひらを返すかのごとく態度が豹変し、そしてそれは散々イジ(メ)られてきた側のリベンジであり、無防備にイジってきた側にとっては自業自得でしかないのだ。
では、今から挙げる事例は、はたして「イジり」と「イジメ」、どちらなんだろう?
拙書『「モテ」と「非モテ」の脳科学』(菅原道仁共著/ワニブックスPLUS新書・税別900円)の2月8日発売にあたって、現在こんなポップが書店に飾られているという。
「え〜! よりによってオレがスマホデビューしたばっかのころ、キャバ嬢に送ったLINEの文面がメインビジュアルですかぁ!? 聞いてないよ〜!」
……と、思わずダチョウ倶楽部張りにツッコミを入れたくなった。しかし、同書の担当編集者サンとは知り合ってからの期間こそ大して長くはないものの、執筆・入稿・下版……の段階における繰り返しのやりとりを通じ、濃密な関係を築き上げているわけで、したがってコレはれっきとした「愛のあるイジり」だと、私は解釈する。版元も著者である私も「本を売りたい」という利害と願望が完全に一致しているがゆえ、まさに「これからも、ドンドン僕のことをイジってくださいねぇ」って感じなんである。