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こないだ勉強会で日本のピル事情の話になったとき、講師の先生が「先進国ではよりリスクの少ないピルが認可されていますが、日本ではユーザーが不利益を被っています」ということを言っていて、先生、完全に日本は後進国扱いでした。でもこの分野では残念ながら後進国と言わざるを得ない
—タビトラ (@tabitora1013) 2018年10月31日
日本はピル後進国であるとSNSで話題になっています。実際、先進国とはどのような差があるのでしょうか。ピルの現状について内科医の山本佳奈さんにお話をうかがいました。
2015年の国連の統計によると、世界各国のピルの服用率(15-49歳女性)は、フランスは39.5%、ドイツは37.4%、英国は28.0%、米国は16.0%。これに対し、日本のピル服用率はわずか1.1%。韓国の2.0%、中国の1.2%も下回っているのが現状です。
日本がいかに「ピル後進国」であるかは、こちらのデータを見ても一目瞭然です。
ピルは、避妊目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症に対する有効な治療薬として使用されるとのこと。ではなぜ、日本ではピルの普及が進まないのでしょうか? 考えられる理由は3つあるそうです。
1.承認が遅かったこと
低用量ピルが日本で承認されたのは1999年。国連加盟国の中では日本の承認が最も遅かった
2.医師による処方が必要であること
低用量ピルをドラッグストアで購入できる国が多い中、日本では医師が処方しなければ、低用量ピルを手に入れることができない。アフターピルについても、アメリカやEU圏内の23カ国で、既に安全性が確認されたとして市販化されており、多くの場合、薬局で購入可能。価格帯も5000円未満が相場で、若者には無料で提供する国も少なくない
3.避妊目的で低用量ピルを内服する場合、保険適応外であること
保険適応ではないため、費用は自己負担。ただし、子宮内膜症に伴う月経困難症と機能性月経困難症の治療目的であれば、低用量ピルの一部は保険適応になっているが、保険であっても自費であっても、あまり差がない
低用量ピルを内服し、月経をコントロールすることで、体調管理している女性が徐々に増えてはきているものの、まだまだ理解が追いついていないのが日本の現状だという山本先生。ちなみに、低用量ピルを内服することのメリットとしては、
- 月経周期が規則正しくなり、月経不順が解消される
- 月経前症候群(PMS)の症状が軽くなる
- 月経痛や月経量を軽減してくれる、他にもニキビの改善効果もある
という3点だそう。山本先生自身も、日本におけるピルの理解の低さを実感した過去があるようで…
医師として働くようになった頃から、飲み忘れが多くなってしまったため、医局の自分の机の上に置くことにしたら、ある日、「ピルを机の上に置かないで」と同僚の医師から注意を受けました。頭痛薬などの常備薬を机の上に置いているようなつもりだった私は、どうしてダメなのか?と尋ねると、「ピルを机の上に置くのは、コンドームを置くようなものだ」と言われてしまって。これが日本におけるピルに対する理解の現状なんだと実感しました。
低用量ピルや月経に対する正しい理解が広まり、またピル入手までのアクセスが改善させることを切に願っていると語ってくれました。