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「夫の買い物について行ったら、店員が妻の自分に向かって夫のスーツの話をしてきて違和感があった」というTwitter投稿が話題となりました。ウン十年前にアパレル販売員として働き、最近まで接客業界に携わっていた私が、一見不可解なこの店員の行動を解説しましょう。
■「お母ちゃんが大蔵省!」
投稿主は「私に聞かれても……」と戸惑っている様子です。きっと旦那様が自立したおしゃれさんなのでしょう。ただ、世の旦那さんの多くは自分の服なのに他人事だったり、奥さん頼みだったりします。
買い物についてくるだけまだマシで、奥さんが専属スタイリストとなり、買ってくる服を着るだけのビジネスマンも少なくありません。奥さんが「彼や夫をカッコよくプロデュースしたい♪」「変にこだわりがあるより、全部任せてくれた方がマシ!」と考えているパターンもありますね。
今の時代も、衣食住、家計、生活に関することは、なんだかんだ妻のテリトリーです。昭和のサラリーマンは「お母ちゃんが大蔵省!」とか言ったものでしたが(笑)、それって平成が終わる今でも案外変わってないんですよねぇ。
家族は会社みたいなもの。“決裁権”を持っている人に直談判したい! と思うのは、優秀なセールスマンの考え方なのではないでしょうか? まぁ、聞かれたところで、彼本人が答えればいいことですからね。
■「私も持ってます~」は注意報
続いて、元アパレル販売員として、注意したい販売員の言葉をお伝えしましょう。
まず、アパレル販売員からやたら褒められたり、勧められたりしたときこそ冷静に判断したいもの。「勧めるってことは、在庫が余ってるのかも?」と思った方がいいでしょう。彼女たちは、開店前の朝礼で「213402-090 白、在庫6です」などと品番・カラー・在庫数を読み上げ、どの商品がどれくらい売れ残っているか全体に共有します。
販売員が着ている服はだいたい売れ残りなので「私も持ってます~」「私も今着ているんですけど~」はあいさつだと思いましょう。店頭のボディ(マネキンのこと)が着ているコーディネートは、売れ筋や今季のおすすめであることが多いです。もちろん、おだてに乗せられないようにすればいいだけ。自分の目で自分に似合うものを着るべし!
■いきなり店員任せは危険
ちなみに、自分に似合う服が分からないから店員に相談……というのはアリといえばアリ。某老舗デパートのメンズ館で働いていた私の元部下は、リピーターに対して、自分の勤めるお店でスタイリングするのはもちろん、館内の他店に連れて行ってコーディネートしてあげることもあったそうです。
でも、初めて飛び込んだお店でいきなり店員任せにするのは危険です。「売れ残りを売りたいだけ」の販売員が多い中、顧客名簿をつけて手持ちの服を把握し、コンシェルジュのようになってくれる親身な販売員を探すのは至難の業かも……。
それならパーソナルスタイリストに買い物同行をお願いして、本当に似合うものを聞いた方が手っ取り早いでしょう。私の結婚相談所では、婚活ファッションのファッションコンサルを実施していますし、セルフブランディングのためにスタイリストをつける方は意外といらっしゃいます。
■デートでは販売員を味方につけよ
最後に、恋愛の専門家として、デートでアパレル販売員を利用するコツをお伝えしましょう。
実は私、結婚相談所の女性会員さんに「『自分の服を買いに行きたい』とショッピングデートに誘ってみましょう」とよく言っているんです。初々しい時期のデートなら、映画や観劇の前に少し余裕を持って集合し、「ちょっと時間があるから買い物に付き合ってもらえる?」なんて誘ってみてください。
男性は女性向けのレディースフロアやアパレルショップに入ると場違い感から緊張してしまいますが、気にせず自分のお気に入りの服(できれば、背中にファスナーがあるかわいいワンピースかなにか)を手に取って、試着室へ向かいます。
それを見逃さないのが、腕のいい販売員です。あなたが試着室に入ったとたん、手持ち無沙汰になった彼に、「素敵なカップルですね~、憧れちゃいます! カノジョさん、スタイル良いですよね! もしかしてモデルさん!?」なんて、大げさに褒めてきます。メンズの販売員はあまりそういう接客をしないので、彼は「彼女って世の中的にもけっこうイケてるのか」と真に受けてくれます。
■「間接褒め」の恐るべき効果
追い打ちで、「恥ずかしいんだけど、背中のホックを止めてもらえる?」なんて甘えてみてもいいですね。着替え終わったら鏡の前でポーズ&ターン(笑)! 販売員はすかさず「わぁ、かわいい~~! お似合いですぅ」なんて言って拍手してくれるので、彼も鼻高々になるはず。
私はかつて販売員に、「カップルが来店したら、フィッティング中の彼女を“間接的に”褒めなさい」とよく指導していました(笑)。
人は直接褒められると照れたり疑ったりしますが、人づてに褒められると真に受けやすい、という心理的効果があります。「あなたは素敵ですね!」と目の前で言われるより、「●●さんが、あなたのことを素敵だなって言ってたよ!」と間接的に言われたほうが意識してしまうことってありますよね。ぜひ心理テクニックとしても使ってみてくださいね。