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8月26日に鈴鹿サーキット(三重県)で「鈴鹿10時間耐久レース」が開催された。鈴鹿サーキットでは1966年から「鈴鹿1000km」という耐久レースを行っていた。2006年から2017年まではSUPER GTのカレンダーに組み込まれており、夏の風物詩だった。鈴鹿の耐久レースは今年から模様替えをしたことになる。
補足までに説明しておくと、SUPER GTの夏のレースは富士スピードウェイに移り、8月5日に「富士500マイル(約800km)レース」が行われた。
鈴鹿サーキットの夏の風物詩としては、2輪の「8耐」が定着している。「鈴鹿8時間耐久レース」で、初回は1978年の開催。今年は7月29日に決勝レースが行われた。鈴鹿サーキットとしては、2輪の「8耐」と並ぶ名物イベントとして4輪の「10H」を育てていく意向を抱いている。そのために仕切り直しを行ったということだ。
そのSUZUKA 10Hは、「インターコンチネンタルGTチャレンジ」の一戦として行われた。第1戦はバサースト12時間(オーストラリア)、第2戦はスパ24時間(ベルギー)、そして第3戦が鈴鹿10時間である。10月28日には最終戦のラグナセカ8時間(アメリカ)の決勝レースが控えている。世界各地を転戦するシリーズの一戦が日本上陸を果たすという意味で、鈴鹿サーキットで開催するF1グランプリや、富士スピードウェイで行うWEC(世界耐久選手権)と似ている。
■鈴鹿に限り、日本チームがスポット参戦できる
インターコンチネンタルGTチャレンジの鈴鹿10時間がF1やWECの日本戦と決定的に異なるのは、シリーズに参戦するヨーロッパを中心とした強豪チームに対し、日本のチームがスポットで参戦することだ。1976年に富士スピードウェイでF1が日本で初めて開催された際、日本人ドライバーや日本製マシンがスポット参戦した。鈴鹿10時間はその構図に似ている。
「日本にだって優れたドライバーやチームがいることを見せつけてやる」というサムライ魂でもって、世界の強豪と日本の土俵ならぬサーキットで対峙するわけだ。この世界の強豪対日本のチーム&ドライバーも、鈴鹿10時間の見どころのひとつだ。計35台が参戦したが、うち14台がスポット参戦組だった。
インターコンチネンタルGTチャレンジの参加車両は「GT3」である。FIA(国際自動車連盟)が定める車両規格のひとつで、市販車をベースにしている。日本ではSUPER GTのGT300クラスやスーパー耐久選手権に参戦している。
鈴鹿10時間にスポット参戦する日本のチームに関しては、GT3に限らず、GT300にのみ認められているJAF-GT300車両や、スーパー耐久ST-X車両の参戦が認められている。世界を転戦するGT3と日本のGTの対決でもあるわけだ。参戦チーム&車両の一例を挙げてみよう。
名門マンタイレーシング(チームの国籍はドイツ)のポルシェ911 GT3Rと、クラフトバンブーレーシング(香港)の911 GT3Rは、インターコンチネンタルGTチャレンジの参戦車両である。マンタイのR・デュマは2013年に911 RSRでル・マン24時間レースでクラス優勝を果たし、2016年にはポルシェ919ハイブリッドで総合優勝を果たしている。
クラフトバンブーのL・バンスールとK・エストレは、今年のル・マン24時間でポルシェ911 RSRをクラス優勝に導いたコンビだ(ドライバーは1チーム3名で構成。ほぼ1時間ごとに交代する)。ポルシェの2台を取り上げただけでも、申し分のない実力の持ち主が鈴鹿にやってきたことがわかる。
日本の底力を見せるべく、2台のポルシェ911 GT3Rを持ち込んでスポット参戦したのは、SUPER GTなどに参戦しているD’stationレーシングだ。このうち7号車はSUPER GT GT300に参戦する藤井誠暢とS・ミュラーに、2015年と2017年に919ハイブリッドでル・マン総合優勝を果たしたE・バンバーの組み合わせである。
やはりSUPER GT GT300に参戦しているチームグッドスマイルはメルセデスAMG GT3を持ち込み、谷口信輝、片岡龍也、小林可夢偉の日本人トリオで臨んだ。カーナンバー2はJAF-GT300(マザーシャシー)のロータス・エヴォーラ(日本人トリオ)。Honda Team Motulは鈴鹿10時間耐久に向けて結成されたスペシャルチームで、ホンダNSX GT3の実力を示すべく参戦を決めたという(日本人トリオ。NSXは計3台参戦)。
初開催(夏に行われる鈴鹿の4輪耐久レースとしては47回目)の鈴鹿10時間耐久レースは、日米欧の高性能スポーツカー(ベースのレース車両)の競演であり、世界で活躍するレーシングチームと日本のレーシングチーム、世界で活躍するレーシングドライバーと日本のレーシングドライバーの競演でもある。お祭りっぽい要素もあるが、プライドとプライドのぶつかり合いでもある。
なんとも豪華な顔ぶれであった。そして、インターコンチネンタルGTチャレンジ勢は強かった……。