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さて。問題です。
Q.以下の 駅で 売上の高い順に並び替えてください。
う〜ん、上位5位は「新宿」「東京」「渋谷」「品川」「池袋」……ってところか? いやいや、ちょっと待て!「上野」もけっこう侮れないぞ。若者に人気のスポット「恵比寿」や「原宿」は何位くらいなんだろ? 高齢化社会を考えれば案外10位以下だったりするのか……? とりあえず最下位は、日本一のソープランド街を有するとはいえ「鶯谷」で決まりでしょ! ん? なんで「新宿」が二つ入ってるの!? 巧妙な引っ掛け? それとも単なる打ち間違え?「問題」の文章も日本語的には微妙におかしいし……。
……なんて、脳天気に頭を悩ませている場合ではない。この“クイズ”、高感度なアンテナを持つのcitrus読者諸兄ならすでにご存じであろう。サントリーグループの子会社『ジャパンビバレッジ』の支店長が2016年に「全問正解で有休チャンス」なる但し書き付きで従業員に送ったとされる、れっきとした“ビジネスメール”なのだ。
『ねとらぼ』によると、この「有休チャンスクイズ」メールの画像は、ブラック企業ユニオン(総合サポートユニオン)のTwitterアカウントが8月17日にツイートしたもので、驚くことに「有休は取れないのが当たり前という空気のなか、それでも有休を取りたいから、みんな真剣に答えていた」……らしい。そして、その後日にまた送られてきた「Re:有休チャンス 回答です」というメールでは、「残念ながら全員はずれでした。よかった。よかった」と従業員たちの鬱屈した心情を逆なでする、火に油を注ぐようなメッセージが添えられていたという。
当然のことながらネット上では
「有休チャンスとかいうパワーワード」
「従業員はおもちゃじゃない」
「労働基準監督署に訴えたら一発でアウト」
……ほか多数、批判の声が殺到。ジャパンビバレッジサイドは
「当該支店長へのヒアリングを含めた調査を実施したところ、当人がおおむね事実と認めたため、厳重注意を行うととともに、今後、会社規定にのっとり適切に処分いたします」
……と『ねとらぼ』の取材に回答している。
いくら偏ったテーマでも「完璧な白黒」をジャッジしづらい、賛否両論の「非」の意見が必ず数%は生じてくる昨今のネット社会において、コイツはさすがにどう頑張っても“被告側”を擁護する“反論”を捻り出すことができない、「100%アンタ(ら)が悪い!」と断じるしかない、ある意味“稀”な案件だと言えよう。つまり、ネット住民たちにとっては、際限なくけちょんけちょんに叩ける“ガス抜き”には最適な案件でもあり、こういうケースでは私も“炎上”などを気にせず、安心して筆(パソコン)を進めることができるわけだが、なんで「部下に有休を取らせないこと」に対し、微塵とも「申し訳ない…」という気持ちを抱かずにいられるのか、そこが不思議でたまらない。しかも「全員不正解でよかったよかった」などと“茶化し”までかませる、その強靱すぎるメンタルには、もはや「呆れ」を通り越して感動すら覚えてしまう。
いまだ数あるブラック企業には、ブラック企業なりの「ブラックにならざるを得ない」のっぴきならない理由があるのだろうけど、「ウチはウチ!」と開き直れないご時世ゆえ、その劣悪な労働条件を恥じ、徹底的な情報管理のもとでひた隠すくらいの“小心さ”は持ち合わせていたいものである。