脳神経外科医の立場から、健康法やメンタルケアに関するさまざまなノウハウをわかりやすく解説し、多くの著作をも世に送り出しているドクター菅原道仁と、これまで5000人以上の若者を取材し、今なお「永遠の思春期」を自称するカリスマライター山田ゴメスとの“夢のコラボ”企画!ドクター菅原による脳科学に裏付けられた冷徹な分析と、ゴメスが25年のライター業で蓄積してきた膨大なデータをMIXした、死角ナシ&最強の「恋愛相談」をアナタにお届けします!!



 



 



【LOVE BRAIN アラフォー女性編】



#Case09 「ダンナを変える」ではなく「アナタが変わる」!






【本日のお悩み】



28歳で結婚して17年。東京郊外にマイホームを建て、子どもも二人います。とくに家庭上での大きなトラブルはありませんが、どうも最近、夫に愛情を感じることができなくて……。友情的なものはなくもないので、離婚までは考えたことがないんですけど、このまま死ぬまで夫と一緒にいなければならないのか……と想像すれば、気が滅入ってしまいます。これって贅沢な悩みなのでしょうか?(K代さん:45歳・専業主婦)




 



■ロミオとジュリエットは、あのまま結婚していたら100%離婚している?



 





ドクター菅原(以下、菅原):これはズバリ「馴化」というヤツです。



 



山田ゴメス(以下、ゴメス):「じゅんか」って読むんですね。具体的にはどういう現象なんでしょう?



 



菅原:たとえば、毎日同じエッチなビデオを観ていても、慣れてきたら興奮しなくなる。中学生のときだと、エロ本でパンチラが見えただけでドキドキしていたのに、今じゃピクリとも反応できない……みたいな(笑)?



 



ゴメス:やさしすぎるナイスな例え、ありがとうございます。



 



菅原:「馴化」は脳の特性の一つであって、いちいち新しい刺激に驚いていたら脳は疲れてしまうため、その対処法として、だんだんビックリしないようになってくるわけです。



 



ゴメス:なるほど。脳による一種の防衛本能のようなものかぁ……。ちなみに、この「馴化」は人間以外の動物、チンパンジーとかにも起こりえるんですか?



 





菅原:そりゃあ、少なからずあるでしょう。ただ、「恐怖」などの感情を抑え込む機能を持つ前頭葉が人間ほど発達していないので、その速度は断然遅いはず。したがって、人間が身近にいるパートナーに馴れてしまうのは当たり前、しょうがないんです。そして、そういう状態を「愛情が無くなった」と表現するのはどうかと僕は思う。単に「ドキドキ」「ワクワク」といった感情が薄くなってきただけ。「安心感」も立派な一つの愛情、愛情の質が変わっただけなんです。ごはんがちゃんと食べられて、二人で寄り添って楽しく笑えることだって立派な愛情じゃないですか!



 



ゴメス:ならば「夫に愛情が無くなった」じゃなくて「夫に馴化してきました」と言い換えればいい。それだけでもだいぶニュアンスも変わってきますし……。でも、いっぽうで、これは男性も同様なんですが、たまには「ドキドキワクワクしてみたい」って願望も捨てきれないわけです。そういうヒトはどーすれば……? 不倫とかすればいいの?



 



菅原:不倫はダメですよ! ちゃんと家庭内で解決しなきゃ。



 



ゴメス:派手な下着を着てみるとか?



 



菅原:前回と同じ解決法じゃないですか(笑)。それも一つの手だとは思いますけど……。あと、寝室の照明を赤に変えてみるとか?



 



ゴメス:え〜! 10年も20年も生活を共にしてきた奥さんが、いきなり派手な下着つけてたり、照明を赤にしたりしてきたら、正直引いちゃうんですけど……。「カンベンしてよ〜」って(笑)。



 



菅原:そこが良くない! せっかく相手が変わろうと努力してくれているのを否定しちゃダメだってば。



 



ゴメス:まあね……理屈じゃわかるんだけどさ……。



 



菅原:一般的に「恋愛結婚」で籍を入れたカップルは、減点法で相手をジャッジする。MAXの状態で結婚に到るわけですから。対して、我々の両親や祖父母世代のように「見合い結婚」が珍しくない、誰と結婚するかわからないような時代は加点法でジャッジする。実際、ウチの病院に診察に来るおじいちゃんやおばあちゃんは、すごく仲良しですよ。



 





ゴメス:じゃあ、せめてまだ結婚していない方々にはお見合い結婚をオススメしましょう!



 



菅原:うん。それも悪くない。「熱愛の代表」にロミオとジュリエットがありますよね? あの二人がもし結婚できていたとしたら間違いなく離婚してますから(笑)。



 



ゴメス:大爆笑



 



菅原人間は障害があればあるほど、それを乗り越えたくなる願望が強くなる。これを「心理的リアクタンス」と呼びます。洋服屋で「残り一着しか残っていません」と言われたら、無償にそれが欲しくなるのも心理的リアクタンス。「予算が足りなくてもつい買ってしまう=障害を乗り越える行為」ですから。



 



ゴメス:いささか今日の相談に対する回答とはかけ離れてきてません?



 



 



■「相手のため」ではなく「自分のため」、あえて夫にお金や労力を費やしてみる



 





 



ゴメス:ところで宇多田ヒカルや辺見えみりは、なぜ何度も離婚を繰り返すんでしょうかね? その原因になにかヒントが潜んでいるような気がするんですが……?



 



菅原:なんなんでしょうね(笑)? ファミコンのリセットボタンを押す感覚? 離婚って、途轍もないパワーを要するじゃないですか。やはり、常人よりも漲るエネルギーを秘めている人が離婚に踏み切れるのでは? 普通なら別れたくても、ぐっと堪えて「ちょっとでも相手の長所を見い出して現状維持に努めよう」とする心理作用が働くので。



 



ゴメス:わかります! が、くどいようですけど、世の多くの既婚男女はどこかでドキドキワクワクしたがっているわけです。理想を言えば「不倫抜き」で……。



 





菅原:最良の方法は、日常生活に非日常を取り入れること。いつもはやらないことをやってみる。旅行に行くのも良し、ちょっと奮発したレストランでディナーを食べるも良し。たまたま自宅の近所に洒落たレストランがあったとしても、そこはあえて外して、ある程度は遠出したほうがベター



 



ゴメス:え! そのココロは?



 



菅原:人間は、仮にまったく同じ料理が出たとしても、隣のレストランで食べるのと、クルマで1時間かけて行ったレストランで食べるのとでは、後者のほうが美味しく感じるものなんです。「なにか行動を起こして得た結果のほうが価値がある」と、脳は認識しがちだから。「わざわざここを選び、時間までかけて行ったんだから美味しいに違いない」と。これを「認知的不協和」と呼びます。ポイントは「アナタのためにわざわざ選んだんですよ」の「わざわざ」の部分で……。



 



ゴメス:OK! 相手に「わざわざこのプレゼントを10万円も出して買ってきたのよ」と思い込ませることが大切ってことですね?



 



菅原:違います!「相手に〜」じゃなくて「自分が〜」です。



 



ゴメス:はあ?????



 



菅原「自分がわざわざ10万円も奮発してプレゼントを買ってきただけの相手と私は結婚しているのよ」と改めて自覚するのが重要ということ。自分がそれだけの行動を苦労して起こしたということは、相手がそれに相応しい人だった……ってことじゃないですか。そうすれば自然と相手に愛着も湧いてくる。



 



「釣った魚にエサを与えない」のは最悪。「釣った魚にはエサを与えまくる」のが結婚生活を長く続ける最大のコツ。「相手を変えるより、まずは自分を変える」という発想です。



 



ゴメス:おお! 一見、当たり前なようでじつに斬新なロジック!! 僕、はじめて先生のことを本気で尊敬しちゃいましたよ! 



 



 



■夫の嫌な部分は「3ない」でスルーせよ!



 





菅原:さらに付け加えるなら、夫婦仲が円満な夫婦は女性が頼り上手な傾向にあります。



 



ゴメス:また、どこにでもありそうな助言ですな……(笑)?



 



菅原:いやいや、頼り方にもいろいろあるでしょ。一例を挙げれば「あそこの高い棚にある荷物を取ってよ」っていうのは、とても有効。手伝った男性側が「このヒトのことが好きだから、オレは手伝ったんだ」と勝手に脳への刷り込みをしてくれるからです。これも相手に認知性不協和を呼び起こす応用法の一つ。気をつけなければいけないのは「私が面倒臭いからアナタやってよ」じゃダメってこと。女性にとって肉体的に不利な部分をフォローしてもらうお願いのほうがいい。「この荷物、重いからアナタ持って」にすれば、男性側も果然手伝いたくなる。「精神的依存」ではなく「肉体的不利の依存を最大限に利用せよ」ってことです。



 



ゴメス:う〜ん、そうやって「まずは自分から変えてみよう」というくだりは理解できました。だけど、どんなに頑張っても、ダンナが全然変わってくれない……ってケースだってあるのでは?



 



菅原:ゴメスさんは「シロクマ抑制目録」という言葉をご存じですか?



 



ゴメス:知りません。



 



菅原:人間は「シロクマのことは考えてもいいけど、シロクマ以外のことは考えないでください」と言われたら、逆にシロクマのことを考えずにはいられなくなる脳の習性をこう呼びます。ダイエットしているときに「食べない」と目標を立ててしまうと「食べる」に「ない」が付いているため、「食べる」が先のイメージとして湧いてきてしまう。ゆえに、なにをするにも否定で目標を立てるべきではないんです。



 





ゴメス:ほう。で、コレを夫婦仲に応用するには?



 



菅原:夫の嫌な部分を忘れたいと考えてしまったら、逆にその嫌な部分ばかりを思い出してしまう、頭が支配されてしまう……そういうことです。



 



ゴメス:じゃあ、どうすればいいの?



 



菅原:嫌な部分を無きものにしたいなら「思い出さない・気にしない・触れない」の「3ない」が正解。そこにはもう「目をつぶる」しかない。



 



ゴメス:かなり難易度の高いマインドコントロール術ですね……。「ダンナの足が臭い」だったら、どうすればいいんだろ? 「この匂いも馴れたらイイ匂い」……とか?



 



菅原:怪しい性癖の話になってきそうなので、このへんでおしまいにしましょう(笑)。



 




【今日の結論】



「アナタ、帰りにコンビニでビール1ダース買ってきて。私じゃ重くて持てないから」と夫に甘えてみるのが第一ステップ!




【プロフィール】



菅原 道仁(すがわら みちひと)



1970年埼玉県生まれのA型。現役脳神経外科医。クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門として救急から在宅まで一貫した治療システムの提供を目指し、北原国際病院に15年間勤務。現在は菅原脳神経外科クリニック院長。その診療体験をもとに「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする治療を行う。「恋愛とは病気の一つ」をモットーとするが、本人は「すぐ恋に落ちてしまう反面、フラれたらすぐ忘れてもしまう」という至って健康体?



 



山田 ゴメス(やまだ ごめす)



1962年大阪府生まれのB型。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、さらには漫画原作に省庁仕事まで…記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味とするライター&イラストレーター。かつては『Hot-Dog PRESS』の恋愛・SEXマニュアルも担当していた「恋のマエストロ」。「百の恋愛には百の戦略がある」をモットーとし、「いまだ現役」の実体験から得た千差万別のデータに基づいたリアルなLOVEテクニックは他の追随を許さないが、自分の色恋沙汰になると案外ポンコツな一面も時折かいま見せる。



 



 



【脳科学恋愛研究所 Vol.01】50歳を過ぎてから、急にモテなくなった…それは、なぜか? 



【脳科学恋愛研究所 Vol.02】「プロ=水商売」の女性の落とし方を脳神経外科医と真剣に考えてみた



【脳科学恋愛研究所 Vol.03】合コンで他の男性と差をつけるノウハウ、脳神経外科医にご伝授いただいた!



【脳科学恋愛研究所 Vol.04】「モテる男のLINEとは?」を脳神経外科医とあらためて考えてみた!



【脳科学恋愛研究所 Vol.05】「モテない中年男性」のザンネンすぎる共通点とは…脳神経外科医が鋭く指摘!



【脳科学恋愛研究所 Vol.06】女性編スタート! アラフォー淑女のあらゆるモヤモヤを、脳神経外科医と海千山千ライターが解きほぐす!!



【脳科学恋愛研究所 Vol.07】「結婚」と「仕事」の狭間でモヤモヤする独身キャリアウーマンに脳神経外科医が物申す!



【脳科学恋愛研究所 Vol.08】「結婚諦めモード」に突入中の30代後半女性に脳神経外科医が珠玉のアドバイス!


情報提供元: citrus
記事名:「 【脳科学恋愛研究所 Vol.09】夫に愛情を感じられない結婚歴15年以上の妻に、脳神経外科医が目からウロコの金言!