■目覚まし時計のスヌーズ機能を知らない人がいる!



 



最近、友人と朝の目覚め方の話をしていたとき、「スヌーズ機能ってなに?」と言われてビックリしました。話をよく聞くと、目覚まし時計すら使わずに起きているとのこと。決めた時刻になると自然に目が覚めるため、目覚ましアラームはいらないらしいのです。



 



どうしてこんなことができるのでしょうか? まずは、眠気を起こすメカニズムについて見てみましょう。



 



 



■眠気のメカニズム:体内時計と睡眠物質



 



時間を知る手がかりがない真っ暗な洞窟の中で生活しても、人間はある程度、規則正しく眠ったり目覚めたりします。これは、体に組み込まれている「体内時計」のリズムに従って生きているからです。体内時計は、脳にある中枢時計と、体中のあちこちにある末梢(まっしょう)時計があり、私たちの中枢時計の1日は24+αの周期で回っています。



 



体内時計の周期に従って、夜眠くなり朝になると自然と目覚めるリズムを、「概日リズム(サーカディアンリズム)」といいます。概日とは「およそ1日」の意味です。徹夜明けの朝に、眠気が少し軽くなるのは、この概日リズムによるものです。また、人間は睡眠だけでなく、体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌、免疫なども概日リズムの影響を受けています。目覚まし時計を使わずに朝起きられるのは、主に体内時計がしっかりしているからです。



 



一方、目覚めていると脳が働く時間と量に比例して、脳に「睡眠物質」がたまってきます。現在、睡眠物質としては、プロスタグランディンやサイトカイン、神経ペプチドなどが知られています。日本は睡眠物質研究の最先端の国のひとつです。



 



睡眠物質が増えすぎると脳が壊れてしまうので、睡眠物質の生産を止め、さらにこれを分解するために、脳の働きを止めて眠る必要があります。このメカニズムを、「恒常性維持機構(ホメオスタシス)」と呼びます。徹夜明けのときに深く長く眠るのは、主にこのメカニズムによるものです。



 



 



■若い人でも1割は朝型



 



朝に強くなければ、目覚まし時計なしでは起きられません。夜型の人はまず、朝型になる努力をしましょう。それでは、朝型の人はどのくらいいるのでしょうか。ある全国的な調査では、大学生で8%、20代社会人で15%、30代で18%、40代で33%、50代で54%でした。若い人でも結構いるものですね。



 



一方、強い夜型は大学生で23%、20代社会人で5%、30代で5%、40代で4%、50代では0%でした。年齢とともに夜型が減り、朝型が増えていきます。特に、大学生で約4分の1を占めた夜型が、社会人になると激減しているのは、社会的な制約や本人の意志によるものと考えられます。夜型から朝型へ変われるかどうかは、環境や本人の意欲が重要なポイントのようです。



 



 



■朝型になるにはまず早起きから



 



夜型を朝型に変えたいときには、早寝から取り組まず、少しずつ早起きすることが成功への近道です。人間は頑張れば起きられますが、いくら頑張っても眠れないときには眠れないのです。特に、いつも寝床につく時刻の1~2時間前は、眠気が少ない時間帯です。この時間に布団にいても眠くならないと、逆に焦りが生じてしまいます。



 



また、光は、体内時計を調整する最強の因子です。眠る前の1時間は、睡眠ホルモン「メラトニン」を減らしてしまうブルーライトを避けるため、電子メディアの画面を見ないようにしましょう。朝、起きてから30分~1時間は、2000ルクス以上の光を浴びることも大切です。専用の「高照度光療法装置」もありますが、カーテンを開けて窓のそばにいるだけでも十分です。



 



サプリメントでは、光の体内時計調整力を高めてくれる「ビタミンB12(メコバラミン)」と「メラトニン」がお勧め(1日1.5~3mg を3回に分けて飲みます)です。また、メラトニンは睡眠薬として使われている国もあるので、個人輸入で入手することもできます。ただし、飲む時刻によって効果が違うので注意が必要で、目標とする就寝時刻の5時間前に3~5mg 服用するのが一般的です。



 



 



■起きたいときに起きられる「自己覚醒法」とは?



 



朝型人間になったら、次は「自己覚醒法」に挑戦しましょう。



 



「明日の朝6時に起きよう」などと、眠るときにあらかじめ起床したい時刻を決めておいて、目覚ましなどの外からの刺激を使わずその時刻に自分で目覚めることを「自己覚醒(self-awakening)」と言います。



 



実はこの自己覚醒、多くの人が実行可能なのです。海外の報告では、日常的に毎朝、自己覚醒している人は、21~81歳の約50%に上るとされています。また、日本での自己覚醒の調査によると、65歳以上の高齢者では約75%の人が、大学生でも約10%ができると答えています。若い人でも結構、目覚まし時計を使わずに起きられる人がいるのですね。



 



なぜ、自己覚醒ができるのかは、まだ研究中です。睡眠が浅くなったときには、目覚めるべきか眠り続けるべきかの判断をしている、という専門家もいます。この仮説に従えば、自己覚醒しようとしているときは、体内時計の時刻を確認する頻度が多く、正確さが高いのかも知れません。



 



 



■自己覚醒法を使って目覚ましアラームなしに起きる



 



自己覚醒法のやり方は、とても簡単です。



 



眠る前に、目覚めたい時刻を強く意識するだけです。具体的な数字を挙げて、何時間後に起きたいのか、あるいは何時何分に目覚めたいのかを決めます。そして、その時刻を、心の中で3回は強く念じましょう。口に出してつぶやいたり、枕にお願いしたりするのも良い方法です。



 



ただし、自己覚醒しようという意識が強すぎると、睡眠の質が悪くなってしまいます。時刻どおりに目覚めること自体がストレスになってしまい、眠っている間の睡眠が浅くなったり、途中で目覚める回数が増えたりしてしまうからです。



 



体内時計がしっかりしていると、睡眠だけでなく心臓やホルモン、免疫力も順調に働いてくれますから、まずは朝型を目指し、次に自己覚醒法を習得して、健やかな毎日を過ごしてください。


情報提供元: citrus
記事名:「 目覚ましをかけず「念じるだけ」で好きな時間に起きる方法