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電化製品をインターネットにつなぎスマホでコントロールできるようにした住居「スマートホーム」がじわじわ人気を集めている。McKineyの調査によると、利用世帯は2015年の1700万軒から17年には2900万件まで増加。一般家庭も最新のテクノロジーの恩恵を受けられるようになった反面、犯罪に巻き込まれる可能性が増える、との指摘も少なくない。
■子ども用玩具がハッキングされる日
カジノのロビーにある水槽の温度計がハッキングされ、「太客」のリストが盗まれてしまう――。そんな奇妙な事件が2017年に北米で起こった。一見無関係な水槽の温度計と顧客リストがなぜつながったのだろうか。
家庭や企業に浸透してきたIoT(インターネットに接続できる)家電だが、肝心のセキュリティ対策はほとんど行われていない。まだまだハッキングに対して無防備だ。
何かをハックすると、同じネットワークにつながった別の電化製品にアクセスできるようになる。これがIoT家電の特徴だ。冒頭の例で考えると、攻撃者はスマート温度計を突破口に、同じネットワークにつながったパソコンをハッキングしたわけだ。
米マカフィーが公式サイトで公開した「2017年版 もっともハッキングされやすいギフト」によると、ノートPCやスマホ、タブレットに次いでハッキングされやすいのは、「ドローン」「AIアシスタント」「インターネット接続が可能な子ども用玩具」「ネットワーク家電」だという。
子ども用玩具に一体どんなリスクが…と思うだろうが、「有害な画像などを表示させられてしまう」といった心理的攻撃は警戒しておかなければならない。
■誰もいないのに玄関のインターホンが鳴る
スマートホームやスマート家電には、どのようなリスクがあるのだろうか。企業なら、機密情報や顧客情報の外部流出。家庭なら、スピーカーをハックして家の鍵が開けられたり、車のブレーキが遠隔操作されたり、といった被害が想定される。
最近はドメスティック・バイオレンス(DV)にスマート家電が使われる例も増えている。たとえば、誰もいないのに玄関のインターホンが繰り返し鳴る、ドアの解除コードを何度も変えられるといった監視行為だ。
オーストラリアのNPO法人がDV保護センターの従業員を対象に行った調査では、98%が「テクノロジーによるストーキングや虐待を受けた被害者がいた」と回答している。
■Wi-Fiつなぐ前によく考えて
ハッキングの危険からスマート家電を守るにはまず、接続するWi-Fiや連携するサイトが安全かどうか調べる。同時に、ソフトウェアを最新の状態にアップデートするのが大事だ。
また、パブリックなネットワークにデバイスをさらさないようにしたり、デバイスごとに接続するネットワークを変えたりすることも有効のようだ。もちろん、トレンドマイクロ社の「ウイルスバスター for Home Network」など、スマートホーム用のネットワークセキュリティを活用するのもいいだろう。
低価格化が進むスマートホームは今、一般家庭にどんどん普及している。スマホで簡単に管理できる反面、外部から操作されるリスクもある。日本国内でも今後、トラブルが増えていくだろう。被害が自分の身に及ぶ前に、今すぐセキュリティ対策を施してほしい。