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先日発表された「ZOZO(ゾゾ)」のスーツが話題を集めています。少しややこしいのですが、採寸ボディスーツの「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を使って体のサイズを計測し、そのデータをもとにビジネススーツがオーダーできるようになったということです。
■安すぎる…本当に「フルオーダー」のスーツ?
実はゾゾスーツが発表された段階で、将来的にはフォーマルなオーダースーツも展開されるだろうと多くの人が予想していました(ブランドゾゾやゾゾスーツに関しては2月の記事『予想を上回る革新性…「ゾゾスーツ」がもたらすのはオシャレで損をする人がいない世界?』もご参考に)。それが半年も経たないうちに実現したというわけです。
注目を集めている理由は、驚異的な価格設定。比較のため大まかに整理すると、一般的なオーダースーツの価格帯は下記の通り。
一般的なオーダースーツの価格帯
生地やディテールのセレクトによって価格は変動しますが、目安はこの程度。オーダーの種類は、スーツを仕立てる際に必要な型(紙)をどう調達するのかが大きな違いです。“フルオーダー”はその人専用の型を製作し、“イージーオーダー”はその人に近い体型の型を調整。“パターンオーダー”は既製の型を修正するという具合です。上位のオーダーほど自由度が高いので体型を選ばず、より多くの人にフィットするスーツが仕立てられるということになります。
そして、ゾゾのスーツは下記の通り。
「ゾゾ」オーダースーツの価格
定価で比較した場合、パターンオーダーとしては標準的。フルオーダーとしては格安ということになります。そこで、本当にフルオーダーなのか?と専門家などから疑惑の目が向けられています。商品の紹介ページにはこのような説明があります。
このアイテムは「カスタムオーダー」です。
お客様の体型に合わせ1点1点ゼロから作り上げる完全オーダーメイド製品です。アイテムによって7〜20日程度お届けにお時間をいただきます(「ゾゾタウン」 より )
ゾゾタウンを運営する株式会社スタートトゥデイの前澤友作社長も発表会で「ひとつひとつを型から起こす完全カスタムオーダー」だと名言していました。Tシャツやジーンズは膨大な型を準備したパターンオーダーなので体型や状況次第ですぐに発送することも可能な一方、今回のオーダースーツはフルオーダーなので完成まで時間を要するという主旨の説明もありました。
ゾゾのオーダースーツが、アパレル業界における厳密な区分のフルオーダーに当たるのかどうかは今のところ不明です。これまでにない手法だったり体型によって使い分けていたりするので明確に区分できない可能性もあります。実はオーダーの名称に関しては、各ブランドやメーカーが独自の呼び名を使っているため、世間的にも区分がわかりづらいのが現状です。
■生地は1種類だけ?
重要なのは、自分にフィットするスーツが出来上がるのかどうか。フォーマルなスーツに関してはミリ単位と言えるくらいのフィット感が重要なのです。的確なサイズのスーツは、無駄なシワのないエレガントな佇まいとストレスのない着心地をもたらしてくれます。
極論を言えば、既製品のスーツにジャストフィットする体型であれば、オーダーする必要性はあまりありません。ゾゾのスーツは、既製品やこれまでの簡易なオーダーメイドでカバーできなかった個性的な体型の人にも対応しているという点が大きな魅力。それは、ゾゾが掲げる“Be unique. Be equal.”というコンセプトからも明白です。
袖のボタンやベントなどのディテールも数種類から選べます。生地は色や柄のバリエーションはあるのですが1種類に限定されています。その特徴は以下の通り。
しなやかで美しく、手触りの良いスーパー110’sのウール生地を使用することにより、綺麗なボディラインと、着疲れしない心地の良さを実現しました。また、裏地には光沢があり上品さを演出してくれる、キュプラを使用しております。さわり心地が滑らかで、袖通しが良いだけでなく、吸湿性や放温性に優れたキュプラの裏地により、着用時の快適さを追求しました(「ゾゾタウン」より)
選択肢の多い状況は自由で便利な反面、どれを選んで良いのかという苦悩を生む場合もあります。今後は生地の種類が増えていく可能性もありますが、ゾゾは生地の選択肢を絞ることでオーダースーツの敷居を低くし、初心者でも注文しやすい状況を生み出したのではないでしょうか。
■どこにメリットを感じるかで検討を
いずれにしてもゾゾのオーダースーツは人気を呼び、ゾゾスーツやシャツとのセットを中心に、ゾゾタウンのランキング上位を独占するほどの状態が続いています。その理由を改めてまとめると、このようなことが言えそうです。
「ゾゾ」のオーダースーツの魅力
私も試しに早速オーダーしたいと思ったのですが、実は採寸するための「ゾゾスーツ」がまだ届いていません。2017年11月の発売初日に注文したにも関わらず、仕様の変更などもあってまだ手元に届いていないのです。現状、発送予定は7月5日〜11日となっていますが、本稿執筆時点の13日朝になっても発送の確認はできていません。
仕様が変更となってからのゾゾスーツは計測の方法が面倒という声も聞きますし、採寸データの誤差が数センチ程度のレベルで発生したという実験記事なども目にしました。オーダースーツがいくら優秀でも、その前提である採寸用ゾゾスーツの供給や精度が追いつかない限り、魅力は半減してしまいます。
個人的には、ゾゾでネクタイがオーダーできるというところにも注目しています。組み合わせはカラー16種類×長さ6種類×幅6種類で、価格は2,500円。これまで本当に納得できるネクタイに出会うことができなかったので、わりと楽しみにしています。8月上旬の発売開始予定ということですが、スケジュールが遵守されることを期待しています。