■車間距離不保持での摘発は年間7000件近く



 



煽り運転には様々な種類があるが、その最たるものが「前の車にパッシングして煽ったり」「前の車にピタッとついて無言のプレッシャーを与えたり」して車間距離を詰めて煽る……いわゆる「車間距離不保持」という行為である。実際、高速道路における摘発内容の第3位はこの「車間距離不保持」違反だ。平成28年度、高速道路において「車間距離不保持」で摘発された件数は速度違反(39万8345件)、車両通行帯違反(6万7890件)に続く第3位で6690件もあった。もちろん、速度違反に比べればわずかな件数ではあるが、煽り運転によるトラブルや衝突事故も増えている昨今、取り締まりが強化されることも十分考えられる。なお、車間距離不保持の違反は、反則点数1点で大・中型車は7000円、普通・二輪車は6000円の反則金が科せられる。



 



 



■煽られる側に非がある場合も? 追い越し車線を走り続けるのは「通行帯違反」!



 



もちろん「煽られる側」の車に非がある場合も少なくない。それは、80-90km/h程度のノロノロとしたスピードで追い越し車線を走り続け、渋滞発生の原因を作ってしまっているようなケースだ。煽り行為は良くないけれども、実際、追い越し車線を周りの交通のことなど一切考えず、ノロノロ走る車はホント迷惑だ。走行車線側に車が詰まっていて車線変更できない場合は仕方ないが、追越し車線は追越しのための車線である。実際、追い越し車線ノロノロの車は、自分の車が後続車や周囲に交通に迷惑をかけているという認識がない。その認識があれば当然、走行車線に戻っているだろう。



 



以前もこちらのコラムで書いたことがあるが、追い越しが終わっても走行車線に戻らず、おおむね1.5~2キロ程度、追い越し車線を走り続けると「車両通行帯違反」という違反を取られる場合もある。(筆者が2017年1月に新東名でやられた。ノロノロ走って後続車に迷惑をかけていたわけではないが)注意されたし。



 



 



■車間距離不保持のためのスゴイ新兵器があった!



 



ところで、車間距離を詰めて煽る車はどのように摘発されるのだろうか?煽られている車に乗っている人が警察に通報して警察が来る?なんてことも考えたのだが、実は取り締まりをやっているらしい。かつては、覆面パトカーによる「目視」が主流だったようだが(現在も目視で摘発されるケースもある)、車間距離不保持のための「ホークアイ」なる凄い新兵器がなんと2002年に登場していた。



 



この装置は栃木県警が開発したもので、車間距離を瞬時に測定できる「レーザー距離計」と違反状況を撮影する「CCDカメラ」、違反場所の特定が可能な「GPS機器」などで構成されており、車間距離をつめて走る違反車両の斜め後方(パトカーの助手席)から、違反車両の前を走る「煽られている車」の後部にレーザー光線を照射して距離を測定し、走行状態の写真も同時に撮影する。警察官による「目視」と違って、日時、場所、車間距離が記された写真が瞬時にプリントアウトされるため、違反の動かぬ「証拠」となる。



 



 



■適切な車間距離とは?





それでは適切な車間距離とはどれくらいなのか?一般的には、「前の車が急ブレーキを踏んでも安全に回避できる距離」とされている。高速道路では時速100キロでの走行なら100m、時速80キロなら80mという車間距離をとるようNEXCOや警察では指導している。高速道路には車間距離の目安となる看板がところどころに設置されているが、それがない場所では道路の白線を目安にするのが良い。



 



東名や名神などの高速道路では、8mの白線と12mの空白区間の計20mで構成されている。100mの車間距離なら白線と空白区間が5セットでok。車間距離不保持で摘発されるのはおおむね30m以下と言われている(●m以下という明確な距離が定まっていない)それにしても車間距離100mとは、かなりの距離だ。それだけ開けていたら、絶対間に入られそうだが。



 



ちなみに車間距離不保持や、通行帯区分違反は、速度違反の代わり?の理由で摘発されることも実際は少なくない。速度違反で測定を始めたが違反車が気づいて減速をするなどして、速度違反での検挙が難しくなった場合など、高速道路でありがちな別の違反にすり替わって違反を取られる場合もある。



 



※情報は2019年1月27日時点のものです


情報提供元: citrus
記事名:「 煽り運転摘発の新兵器にご注意! 煽る側も煽られる側も知っておきたい「車間距離」問題