八ヶ岳の南麓、山梨県北杜市に“みそぎ”のための「身曾岐神社」があります。

“みそぎが大事”というのが、こちらの神社が伝える古神道です。さらに注目は、誰もが知るCMで話題となった能舞台があり、「ゆず」とご縁があることでも有名な神社です。

それではゆるりとご紹介していきます。

“みそぎ”を伝える神社

“みそぎ”とはきれいになること

“身曾岐”と書いて“みそぎ”と読みます。漢字に意味はなく当て字です。御祭神・井上正鐵(いのうえまさかね)翁が伝える古神道の奥義、みそぎの修行と徳を広く伝えようとする神社です。

ここで言うみそぎとは“きれいになること”を意味します 。きれいになることの例えに、公式サイトで鏡のエピソードが書かれていました。

“頬に墨がついて鏡を見た時、墨を取ろうとして鏡を拭きますか?”という問いかけです。“自分の頬を拭わないと、鏡をいくら拭いても頬の墨は取れない”ように、何事も他者や環境に改善を求めても、根本的な解決には至らないので、まずは自分を見つめ直すことからしましょう、という教えです。自分自身をきれいにしないと、本当の意味できれいにならないよ、と言われれば確かにそうだなと思います。

日本神話における“みそぎ”

私たちが参拝するとき、手水舍で手と口を洗うのもみそぎ作法の一つですが、 日本神話には有名な、みそぎエピソードがあります

イザナギが、黄泉の国(死者が住むとされる地下の国)へ、死んでしまったイザナミを迎えに行くエピソードがあります。しかし、イザナギはイザナミの言うことが守れず、最終的にイザナミの姿に恐れおののき、一人で逃げてしまいます。やっとの思いで戻ってきた イザナギは、身を清めるため海で“みそぎ”を行います

そのときに生まれたのが、 天照大御神(あまてらすおおみかみ)と月読命(つくよみのみこと)と須佐之男命(すさのおのみこと)の三貴神 です。イザナギは、この誕生に大変喜び、自分がこれまで治めていた国を全て子供達に任せ、天に還ります。

“みそぎ”をすると想像を超えた運びに巡り会う

神社の公式サイトにも書かれてあるように、 みそぎをすると思いもよらぬ運びへつながるそうです。

“何かを得るには、何かを手放すことから”と言われることもありますが、それに近い意味のようで、実は、みそぎをちゃんとすれば、想像もしていないような“お導き”が訪れるということだと思います!

本格的なみそぎをしたい方は、 神社に一泊二日籠って“みそぎ・はらい”の修行ができます。 水を被ったり、浴びたりはせず、伝統的な日本の精神や、行と教えを学べます。これは「初学修行座」で、 さらなる本気の「九族鎮魂」という修行は、初学を受講後に、自宅で100日間かけて行うそうです。 100日欠かさずに行えば、確かにきれいになりそうですね。気になる方は問い合わせてくださいね。

https://www.misogi.jp/syugyou/

開放的な境内に見どころ満載の建物

タクシーの中で富士山を望む

電車でのアクセスは最寄りがJR小淵沢駅です。 そこからはタクシーに乗ります。約5分で片道料金は2,000円弱ぐらいだったかと。窓から富士山が見えてテンションが上がりました!ただ、地元の運転手さんは毎日見ている景色なので珍しくなさそうでした。温度差……。笑。

運転手さんに「身曾岐神社まで」と伝えると、ゆずの北川さんの話が出てきました。神社の絵馬にも「ゆず絵馬」があり、ゆずと縁があることは有名なんですね!

https://www.misogi.jp/access/

ちなみに「高天原」という地名なのがすごいです。日本神話では神々が住む国を「高天原」と言います。

御神鳥「烏骨鶏」

境内は、広すぎず狭すぎずちょうどよい大きさでした。 お参りだけするなら10分ぐらいの大きさ だと思います。

ちなみに本殿に向かう途中に、白と黒の烏骨鶏が数羽います。めっちゃ鳴いています。「コケコッコー!」が境内に響き渡っています。

三つの社が並ぶ御殿

中央の本殿には天照大御神、向かって右側が神社創建に関わってきた神職の御霊、左側が神社の崇敬者のご先祖の御霊が祀られているそうです。 お賽銭箱からは遠くにあり、近づけません。

建物は「神明造り」と言い、余計な装飾のないシンプルな美しさで、伊勢の御正殿と同じ造りです。派手さはないけど、神聖な佇まいを感じます。

お参りするときの唱える言葉として「とほかみえみため」と書かれていました。 恥ずかしがらずにぜひ唱えてみてください。私は周囲に人がいなかったので試しにやってみました!

CMでも話題となった池に浮かぶ「能楽殿」

もしかしたら能楽殿は、この神社のメインスポットなのかも!と思うほど目を引く場所でした。本殿に向かう前に登場します。誰もが知るケータイ会社のCMの撮影所としても有名な能舞台です。

本殿から続いた構造になっているのと、能舞台の下が池なのが特徴的だなと思います。満月の夜に訪れると、池に反射する月が神秘的で美しいだろうなと感じます。

こちらで毎年8月3日と4日に、神様にお能を奉る最も大きなお祭りが行われます。ちなみに、 結婚式も挙げられます。ゆずの北川悠仁さんと高島彩さんが挙げられたことでも有名です。

「火祥殿」と「水祥殿」

境内には火を祀る「火祥殿(かしょうでん)」と水を祀る「水祥殿(すいしょうでん)」があります。古神道には「神は火水なり」という言葉が残され「火」と「水」と書いて「カミ」と読むそうです。

ちなみに「火祥殿」の火は、オリンピックの聖火と同じように太陽の光を集めた火のようです。ライターとかマッチとか使いません。想像しただけですごいです。晴れなかったらどうしているのだろう……と素朴な疑問も抱きますが。

こちらでは 立春の2月4日の早朝に神事を行ない、一年中火を祀っているそうです。 普段は祈祷殿として存在していて、毎月「2」のつく日(2日、12日、22日)の午後2時に、火の神事を行っています。お願い事を書いたお札を炎に乗せて、天の神様にお届けしてくれます。1本500円です。ここぞ!という願い事のときにぜひやってみてはいかがでしょう。

お参りの後はお茶のサービスでひとやすみ

「養生館」というお土産屋さんにいくと「野草茶」という健康なお茶が無料でいただけます。 私が行ったとき、今秋初めて八ヶ岳に雪が積もったと言われるほど寒かった日なので、お茶のサービスは心も体も温まりました。お土産としても売っているので、気に入ったら自宅でも楽しめます。

今回「中村キース・ヘリング美術館」に行く目的があり、たまたま地図で見かけたので立ち寄る参拝でした。そんな軽いきっかけだったのが、想像以上に素敵な神社で、お参りしてよかったと本当に思います。 八ヶ岳の大自然に抱かれる立地、空気の良さも相まって、まさに浄化されたような気分になりました。

八ヶ岳に行かれる際には、ぜひお参りしてみてはいかがでしょう。

https://www.instagram.com/misogi.shrine/

出典・参考


mami

余暇プランナー

旅ライター。普段は、東京と関西各地を行ったり来たり。最近は、日本神話の世界と重ねて神社巡りをすることが趣味です。空いた時間ができると、何か読むか、美術館に行くか、坐禅をしています。これまで、美術館を求めてヨーロッパ各地を旅したこともあり、死ぬまでにしたいことは世界中の気になる美術館を全て巡ることです。体験型の旅行が好きで、旅先ならではの出逢いを大事にしています。思わず行ってみたくなるような、そんな記事をお届けしていきたいと思います。

【山梨】CMでも話題となった能舞台のある神社〜“みそぎ修行”のできる身曾岐神社〜

情報提供元: YOKKA
記事名:「 【山梨】CMでも話題となった能舞台のある神社〜“みそぎ修行”のできる身曾岐神社〜