名古屋の都会に緑のオアシスとして位置する熱田神宮(あつたじんぐう)です。創祀1900年以上の歴史があり、長い時を経て多くの参拝者を見届け、多くの願いに耳を傾け寄り添ってきました。

皇室ともゆかりが深く格式高いお宮です。また、源頼朝、織田信長、徳川家康など有名な武将たちも篤く信仰、神宮の歴史にも注目します。

この記事では、名物ひつまぶし発祥のお店も合わせて紹介します。

熱田神宮

由緒・由来

祭神

  • 熱田大神(あつたのおおかみ)

相殿/五柱

  • 天照大神(あまてらすおおかみ)
  • 素盞嗚尊(すさのおのみこと)
  • 日本武尊(やまとたけるのみこと)
  • 宮簀媛命(みやすひめのみこと)
  • 建稲種命(たけいなだねのみこと)

熱田大神とは、草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を依代として宿っている天照大神をさします。

「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」は、三種の神器の一つです。素盞嗚尊が出雲国で八岐大蛇(やまたのおろち)を倒して得た天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を天照大神に献上し、天孫降臨の際に大神が皇位継承の御璽(みしるし)として八咫鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を一緒に授けられました。

景行天皇(けいこう/記紀上では第12代天皇)は皇子日本武尊に東夷征討を命じます。尊が遠征の際、草原にて賊の罠に遭い、火を放たれるという絶体絶命の危機。伊勢神宮にて叔母の倭姫命(やまとひめのみこと)から授かった天叢雲剣で草を薙ぎ、ひうち石で向い火をつけ、窮地を脱しました。この時より天叢雲剣は「草薙神剣」と呼ばれるになります。

景行天皇43年(113年)に尊は近江国伊吹山の討伐中に病で亡くなります。妃の宮簀媛命(みやすひめのみこと)に「草薙神剣」が預けられたままでした。宮簀媛命は「草薙神剣」を熱田の地に祀られ、奉斎に身を捧げました。これが神宮の創祀になります。

天智天皇7(667年)新羅(しらぎ)国の僧侶に神剣を盗まれたこともあり、一時期神剣は皇居にて管理されるも熱田に返還されました。平安末期以降、源頼朝(1147~1199)の母が大宮司千秋季範(すえのり)の娘であることから、崇敬。その後は、足利・織田・豊臣・徳川は、崇敬から社殿の修造等を担います。

明治以降は、神宮号の宣下、伊勢神宮と同じ神明造(しんめいつくり)に社殿を改造。昭和20年(1945年)の空襲で多くが被災し、戦後に復興。平成21年(2009年)には創祀1900年を迎え、本宮と神楽殿を修造しました。

境内のスポットと武将たちの痕跡を散策

本宮

草薙神剣が祀られている社殿です。本殿は、神明造で、屋根が銅板葺(どうばんぶき)です。

一之御前神社

天照大神の荒魂(あらみたま/神の勇猛的で荒々しい姿)を祀っています。

お清水

三度水をかけて祈願すると願い事が叶う言い伝えや、この水で肌を洗えば綺麗になるといわれています。女性にとっては、打付けのパワースポットです。

信長塀

ここは、地元民でも知らない人が多い名所です。永禄3年(1560年)織田信長(1534~1582)が桶狭間の戦いの出陣の際に、熱田神宮に願文を奉げました。結果、今川義元(1519~1560)に大勝利を治めた感謝として奉納した塀。土と石灰を油で練り固め、瓦を厚く積み重ねて出来ています。

絶体絶命のピンチから大勝利を治めた若き武将信長がとても歓喜した思いを感じることができます。

大楠

この大楠は熱田神宮のシンボルであり、パワースポットです。弘法大師(774~835/真言宗の祖であり、名は空海)が植えたと伝えられ、樹齢1000年以上ともいわれています。大楠にヘビが生息しており、滅多に姿を現させないので目撃した人はとても幸運です。

上知我麻神社

知恵の文殊さま と呼ばれ、学業成就の信仰が伝わる社です。ぜひ受験生は、合格祈願を!

大国主社/事代主社

商売繁盛の神様である「だいこくさま」、「えびすさま」が祀られています。

別宮八剣宮

和銅元年(708年)に鎮座し、祭神は本宮と同じ熱田大神(あつたのおおかみ)。織田信長、豊臣秀吉(1537~1598)、徳川家康(1542〜1616)などの武将が篤く信仰した社です。

熱田神宮宝物館(熱田神宮文化殿)

熱田神宮宝物館は、昭和41年(1966年)に開館。収蔵品は皇室をはじめ、将軍・藩主・一般に及ぶ広い層から寄贈された資料約6,000点を収蔵。特に古神宝、刀剣、和鏡、舞楽面、古文書などに貴重品も多く、国宝・重要文化財・愛知県文化財に177点が指定されています。草薙神剣を奉斎する所以から、刀剣類も多く、名刀の宝庫といえます。展示室は、定期的に入れ替え、公開しています。

奉納された宝物(ほうもつ)は、寄進された伝来など詳細な情報が不明なことも多いです。それだけ昔の人々から熱田神宮への信仰の篤さを物語っています。

お守り

男守(ますらお)

ますらお(益荒男)とは、強く堂々とした立派な男性を意味します。ますらおのように知恵、力、勇気が持てるようにと祈願されたお守りです。

女守(なでしこ)

なでしこ(女性らしさ)のように真心、輝き、やさしさを持てるように祈願されたお守りです。この2体のお守りは、人気があります。カップルでお守りを持つのはいかがでしょうか。

アクセス

  • 住所:愛知県名古屋市熱田区神宮1丁目1-1
  • 電話:052-671-0852(熱田神宮文化殿)
  • 交通機関:地下鉄熱田神宮伝馬町駅から徒歩約5分/地下鉄熱田神宮西駅から徒歩約5分/名鉄神宮前駅から徒歩約3分/JR熱田駅から約徒歩13分 (*グーグルマップを参考)

https://www.atsutajingu.or.jp/

ひつまぶしの発祥「あつた蓬莱軒」

明治6年(1873年)に料亭として創業。 ひつまぶし発祥 のお店であり、名古屋を代表とする名物です。

創業以来150年以上継ぎ足した秘伝のタレ によって味付けされたウナギを職人の技によって美味しく焼き上げます。ウナギを贅沢に使い、とても美味しいです。名古屋に訪れた際には、ぜひ食べてください。

https://www.houraiken.com/

ひつまぶしの食べ方

  1. そのままウナギの味を味わって食べる
  2. 薬味を入れて食べる
  3. お茶漬けにして食べる
  4. 最後は自分の好みで食べる

アクセス(神宮前店 熱田神宮から徒歩10分程度)

  • 住所:愛知県名古屋市熱田区神宮2丁目10-26
  • 電話:052-682-5598
  • 営業時間:11:30~14:30/16:30~20:30
  • 定休日:毎週火曜日/第2・4月曜日(祝日は営業,振替休みあり)
  • 交通機関:地下鉄「熱田神宮伝馬町駅」から徒歩約3分

https://www.houraiken.com/jingu/

名古屋に訪れたら、熱田の森へ

古来より名古屋の地を見守ってきた熱田神宮。1900年前から始まり、戦国三英傑(さんえいけつ)である織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が信仰し、今なお人々の心のより所として受け継がれつつあります。古(いにしえ)より脈々と守られてきた境内を散策するのはいかがでしょうか。

https://www.veltra.com/jp/japan/aichi/ctg/169298:%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B/?sid=1554

参考・出典


文本つばき

余暇プランナー

webライター×webデザイナー。本業は、大学勤務。 大学で専攻した日本史を得意とし、主に城、神社仏閣、文化財、史跡、美術品、博物館、武将など専門性の高い記事を数多く執筆しています。また、元巫女という異色の経歴持ち、着付け・茶道の師範を持つ母の影響を受けて、日本茶や着物を好みます。 京都には月1ペースに訪れ、京都ゆかりの神社仏閣には特に詳しいです。日本の歴史や文化の魅力を専門的な立場から発信します!

【名古屋】天下人 織田信長と徳川家康が篤く信仰した熱田神宮|基本情報と名物ひつまぶしとは?

情報提供元: YOKKA
記事名:「 【名古屋】天下人 織田信長と徳川家康が篤く信仰した熱田神宮|基本情報と名物ひつまぶしとは?