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弘法大師空海は平安時代初期に実在したお坊さん です。 遣唐使として中国に渡って密教を学び、帰国後に真言宗を開き、高野山に金剛峰寺を創建 しました。774年に讃岐国で生まれ、若い時は大学で学問を学び、21歳の時に空海と名乗りました。
遣唐使として中国へ渡ったのは31歳の時です。その際に仏教や書道、建築・土木といった様々な技術を学んでいきました。帰国後は学んできた技術を活かして、日本各地で布教活動と文化活動に貢献していきました。
835年に高野山で61歳の生涯を終えたのですが、その後の 諡号として「弘法大師」 という名が与えられました。中国に渡って様々な知識を学び、日本の発展に大きく貢献した人物であることは間違いありません。
https://otent-nankai.jp/category/topic/220725_kouboudaishi-kukai_755
日本全国各地の温泉地へ行くと、「弘法大師が開湯した・・・」というエピソードをよく聞きます。
弘法大師・空海は、遣唐使で中国へ渡った際に、世界的にも発展の進んでいた長安という都で、 仏教だけでなく建築や土木の技術も学んできました。現在では意外に思いますが、昔の建築・土木の技術はお坊さんが一番詳しかったのです。 空海も中国から帰国後は、その知識を活かしてため池や港湾の整備などの技術指導に尽力しました。その活動が全国に普及していき、温泉発見の由来につながっていきました。
空海が開湯したとされる温泉は全国で20か所以上 にものぼります。ただし、これは実際に空海が発見したという確証がなく、あくまで伝説になっています。
ちなみに 温泉以外も含めた空海の伝説は5,000か所 にものぼるそうです。
https://neco.cafe/n/n7e3cc71a1b8b
川場温泉(かわばおんせん)は群馬県北部に位置する利根郡川場村にある温泉です。
日本百名山のひとつである武尊山をはじめとする山々と薄根川の流れる平たん地に数件の宿を構える温泉地です。開湯は1200年間、 弘法大師が旅の道中に水を求め、当地にある老婆の家へ訪れた際に、水を提供してくれたお礼に地面を杖でたたくと、湯けむりが上がり温泉が湧出したのが川場温泉の始まり といわれています。
泉質は アルカリ性単純温泉 で、 源泉の温度は39℃ とややぬるめです。 美肌の湯 としても知られていて、肌触りが良い優しい入り心地が特徴です。
神経痛や筋肉痛、冷え性、皮膚病、婦人病など幅広い効能があるといわれています。また古くから脚気に効果がある温泉としても伝えられています。
https://kanko.vill.kawaba.gunma.jp/hot_springs/
法師温泉(ほうしおんせん)は、群馬県北部にある利根郡みなかみ町にある一軒宿の温泉です。 国民保養温泉地にも指定 されています。
開湯の歴史は約1200年前、 弘法大師空海が当地を訪れた際に、杖で地面を突いたところ、霊泉が湧き出たと伝えられています。 先述した川場温泉にも同様の伝説が残っているのですが、法師温泉の近くにあります。
また 法師温泉の「法師」は弘法大師から由来 しています。
江戸時代の頃は整備されていた三国街道が近くにあり、多くの旅人に利用されていました。明治時代以降は与謝野晶子、若山牧水、川端康成といった文人が湯治に訪れています。
一軒宿である法師温泉長寿館は明治時代の温泉宿建築として貴重なことから国登録有形文化財に登録されています。
泉質は ナトリウム・カルシウム硫酸塩泉 で無色透明、 源泉の温度は43℃ でちょうど良い温度です。
効能としてはリュウマチ性疾患、火傷や切り傷、胃腸病、動脈硬化などに効能があるといわれています。
https://www.hitou.or.jp/provider/detail?providerId=626
修善寺温泉(しゅぜんじおんせん)は、静岡県にある伊豆半島の中央部にある伊豆市にある温泉で、 伊豆半島で元も歴史のある温泉 です。
温泉名の発祥の地で、弘法大師空海が開基したとされる修禅寺を中心に温泉街を形成していて、温泉街めぐりも楽しむことができます。日本百名湯にも選ばれています。
温泉の歴史は、 空海が修善寺温泉を訪れた際に、川原で病んだ父親の体を洗う少年を見つけて心を打たれ、手に持っていた独鈷で河原の岩を打ち砕いたところ、霊泉が湧出した という伝説が残っています。
現在もその場が「独鈷の湯」として残っていて、修善寺のシンボルにもなっています。
また修禅寺では毎年8月20日・21日に秋季弘法大師大祭が催されて、屋台や打ち上げ花火で地元や観光客の人々を大いににぎわせています。
泉質は無色透明、無味無臭の アルカリ性単純温泉 で、冷え性や関節のこわばり、不眠や自律神経不安定症などに効能があるといわれています。
またアルカリ性のため、古い角質を落とすクレンジング効果があり 「美肌の湯」 とも呼ばれています。
https://www.shuzenji-kankou.com/
湯村温泉(ゆむらおんせん)は山梨県中心地である甲府市にある温泉で、信玄の湯・湯村温泉とも呼ばれます。甲府市の中心地から北西に行った場所にあり、大型のホテルや旅館が立ち並ぶ温泉街を形成しています。
戦国時代には「信玄公の隠し湯」の一つでもありました。
温泉の開湯は約1200年前、 弘法大師空海が東北巡業の帰り路に湯村温泉に立ち寄り、道の真ん中を大石が塞いでいたのですが、空海が杖を使った法術で大石をどかすとそこから温泉が湧き出てきた という伝説が残っています。この温泉が湧出した場所を「杖の湯」と呼び、現在も「弘法湯」が自家源泉として利用しています。
また温泉地内にある厄除け地蔵尊塩澤寺では、弘法大師が彫った仏像を秘仏として、毎年2月に厄除け地蔵尊大祭が開かれ、多くの人々が参拝に訪れます。
泉質は 弱アルカリ性のナトリウム塩化物泉 です。お湯がやわらかく、長く入っていても心地よいのが特徴です。
「美肌の湯」 としても知られていて、湯上りにはお肌がすべすべになります。長く浸かっていられるので、湯ざめがしにくく体がぽかぽかになります。 源泉の温度は約40.8℃ とちょうど良い湯温で、源泉かけ流しの温泉が多く見られます。
https://kofu-tourism.com/feature/yumuraonsen/top
鹿塩温泉(かしおおんせん)は、長野県南信地域である下伊那郡大鹿村にある温泉です。現在は2件の温泉旅館が営業を行っています。
標高750mの山中を流れる塩川沿いにあり、山中にもかかわらず海水と同じ濃度の塩水が湧き出ており、その不思議な塩水を温泉利用しています。
温泉の歴史は諸説ありますが、 弘法大師空海がこの地を訪ねた際に、山奥で塩のない生活をしていた村人を憂いて杖を突いたところ、そこか塩水が湧き出てきた という伝説が残されています。なぜ塩水が湧き出てくるのかというと、鹿塩温泉の真下にはフィリピン海プレートが潜り込んでいて、そのプレートが海水を持ち込んできていて、その海水が中央構造線という断層を通って湧き出ているとされています。
泉質は 含硫黄・ナトリウム塩化物冷鉱泉 で、 源泉の温度は14℃ と冷たいです。塩分濃度が4%と海水と同じ濃度で塩辛いですが、湯質は優しくなめらかです。
神経痛や婦人病に効能があるといわれています。
今回は関東エリア周辺にある弘法大師空海ゆかりの温泉を5か所紹介させていただきました。
面白いのはいずれの温泉も「弘法大師が杖や独鈷で突いたら温泉が湧き出る」というエピソードが共通しているところです。これは温泉発見の際に掘るといった土木技術作業が杖で突くといったイメージに変化したのではないかと推測されます。
いずれの温泉も泉質が異なり、さまざまな効能が期待されます。
今度の温泉旅行は弘法大師ゆかりの歴史ある温泉で浪漫を感じながらのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか?
余暇プランナー
元旅行会社勤務で今は山の中の観光施設で働きながら旅ライターをしています。元々旅行好きで大学も地理学専攻と根っからの地理マニアです。大自然の絶景と寺社仏閣などの歴史建築が大好きで、連休などあればすぐに車中泊で出かけてしまいます。その他登山やランニングなどとにかく家に引きこもっていることが苦手で、常に自然の中で過ごしていることが私の癒しになっています。