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源氏物語は、約1000年前の平安時代に書かれた恋愛大長編小説です。物語の構成が2つ大きく分かれています。
前半は、才色兼備に恵まれた帝の第二皇子である光源氏(ひかる げんじ)が幼き頃に亡くなった母親の面影を求めて、数多くの女性との恋愛模様を描いています。
後半は源氏の死後の世界で、 子孫たちによる恋愛模様 がメインとなり、舞台は京から 宇治 へ。物語は54帖(じょう)から構成され、 帖 は巻数をさします。
作者は、漢学者・藤原為時の娘である 紫式部 です。紫式部は、当時の権力者である藤原道長(966〜1027)に抜擢され、一条天皇(在位986~1011)の中宮・藤原彰子(988~1074/道長の娘)の女房として宮仕えを始めました。道長の強力的な支援もあり、大長編作を書きあげることが出来たのです。
葵の上(光源氏の正妻)は懐妊し、気晴らしに葵祭の見物へ。見物の牛車で混雑し、葵の上の従者は、見物の場所を巡って六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ/故東宮の妃、光源氏の愛人)の従者と争いになります。御息所の牛車は破損。祭に参列する源氏の姿を見たくてお忍びで見物に来たのにもかかわらず、市井に醜態を晒す結果となり御息所のプライドはズタズタに。
まさに正妻VS愛人の戦いですね。ちなみに御息所は、この醜態で怨みを募らせて生霊となって、葵の上を呪います。女の怨みは怖いです。
陽気が心地よい毎年5月15日に葵祭は行われます。上賀茂、下鴨両神社の例祭で、祇園祭、時代祭とともに京都の三大祭のひとつです。
古代、凶作に見舞われ飢餓疫病が流行ったため、欽明(きんめい)天皇が勅使を派遣して祭礼を行ったのが起源です。勅使が両神社で天皇の祝詞を読み上げ、お供えを届けるのが目的の祭です。行列は、長さ約1kmにも及びます。平安時代中期には、隆盛を極めるも鎌倉時代以降は衰退へ。
元禄期(1680~1709)に再興されるも、明治維新で行列は中止。明治17年(1884年)に復活しましたが、第2次世界大戦で中止となり一部の神事のみが継続。
戦後、昭和28年(1953年)に行列が復活しました。
ご利益は、厄除、開運、雷除、災難除、必勝、八方除(はっぽうよけ:家相、地相、方位、日柄等からくるすべての悪事災難を取除く祈願の事 引用:大國魂神社「八方除について」)、電気産業守護等です。賀茂別雷神が「神山(こうやま)」の頂点に降臨したことが由来と伝えられています。
天武天皇六年(677年)に現在の社殿の基が造営。桓武天皇よる平安京遷都(794年)以降は、皇居の守り神、山城国一之宮として歴代天皇が行幸・奉納。
明治から終戦までは、伊勢神宮に次ぐ格式の高い神社でした。平成6年(1994年)には、境内一帯が世界文化遺産として登録。
賀茂建角身命は、神武天皇が熊野から吉野に入る際に八咫烏(やたがらす)に変身して、先導した功績が伝えられています。
玉依姫命(たまよりひめのみこと)が禊(みそぎ)中に流れてきた矢を広い持ち帰り、矢が男神に変身。結婚・懐妊した神話です。
相生社(あいおいのやしろ)は、縁結びとして祀られ、絵馬には特別な参拝方法になります。詳しくは、公式ウェブサイトをチェック。
また、下鴨神社は、世界遺産です。楼門、舞殿(ぶでん)、神服殿(しんぷくでん)、四脚中門(しきゃくちゅうもん)等31棟は、重要文化財に、本殿2棟は国宝に指定。参拝の際は、社殿にも注目してください。
https://www.shimogamo-jinja.or.jp/
正妻葵の上が亡くなり、光源氏との距離が遠くなった六条御息所が娘の斎宮(さいくう/いつきのみや)と一緒に伊勢へ下ることを決心。御息所がいる野々宮へ光源氏が訪れ再会。しかし、御息所は、心が揺れるも「恋の終わり」を悟り、源氏に別れを告げるのです。
恋人との思いを断ち切るために遠方へいく女性の悩ましい苦悩が描かれています。
六条御息所は、生霊となるまでに光源氏との恋に苦しみ、また世間からも誹謗中傷され、プライドがズタズタに。絶望の淵にいる御息所の決心がとても切ないです。どの時代も男女の色恋には悩みはつきものですね。
野宮神社は、皇族の女性が天皇の代理として伊勢神宮に仕える斎宮として、伊勢へ下る前に身を清めたところでした。
野宮の場所は各天皇の即位ごとに定められ、現在の地が使用されたのは、嵯峨天皇(在位809~823)の皇女が最初とされています。斎宮制度は後醍醐天皇(在位1318~1339)の時に南北朝の戦乱で廃絶。その後は神社として勅祭が行なわれるも、衰退しました。
その後、後奈良天皇(在位1526~1557)、中御門天皇(なかみかどてんのう/在位1709~35)などから綸旨(りんじ/天皇の意志が伝達される文書)が下され、保護によって再興へ。
野々宮神社は、何度かいったことがありますが、常に参拝者であふれています。
また、毎年行われる斎宮行列は、当時の様子を再現した行事です。地元以外の人でも応募は可能なので、ぜひ参列してはいかがでしょうか?
源氏物語ゆかりの神社を紹介しました。長編すぎて源氏物語が読めない人には、 田辺聖子著『新源氏物語』 をオススメします。
紹介していないゆかりの地を巡って、源氏物語の聖地巡礼もいいですね。
参考・出典
余暇プランナー
webライター×webデザイナー。本業は、大学勤務。 大学で専攻した日本史を得意とし、主に城、神社仏閣、文化財、史跡、美術品、博物館、武将など専門性の高い記事を数多く執筆しています。また、元巫女という異色の経歴持ち、着付け・茶道の師範を持つ母の影響を受けて、日本茶や着物を好みます。 京都には月1ペースに訪れ、京都ゆかりの神社仏閣には特に詳しいです。日本の歴史や文化の魅力を専門的な立場から発信します!
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