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永平寺は、福井県の山奥にある禅寺です。鎌倉時代の僧・道元が開いた曹洞宗の本山です。
週末や連休には多くの参拝客が訪れますが、元々は 悟りを開くため の修行僧の道場で、お客に見せるためのものではありませんでした。
鎌倉仏教には曹洞宗や臨済宗といったいわゆる「 禅宗 」、親鸞が開いた「 浄土真宗 」などがあります。ほとんどの宗派の本山は京都に集まっていますが、道元は 人混みや政治の影響などを嫌って 、わざわざ京都から離れた山奥に拠点を作りました。現在曹洞宗の寺院は全国におよそ1万4000ヶ寺あります。
福井の平野部から永平寺へは 車で約30分 ですし、近くにパーキングもありますが、おススメは電車かバスで向かうことす。来年には金沢からの北陸新幹線が延伸して、福井駅はもちろん、あわら温泉駅、越前駅など県内を縦断していきます。
現在でも名古屋からは特急「しらさぎ」、大阪からは特急「サンダーバード」が出ていて、どちらも約1時間強で福井駅に到着できます。
福井駅東口から特急バス、 永平寺ライナー が出ています。乗車時間は30分です。
現在は新型コロナウィルス感染対策で一部減便されていますが通常は行き、帰りとも約1時間おきくらいで運行しています。
路線バスではなく、観光バスのような仕様になっていて、快適に乗れます。
ほかに、福井駅から えちぜん鉄道 で「永平寺口」まで行き、路線バスに乗り換えて行くという方法もあります。時間はかかりますが、のどかな田園風景を一両で走るローカル路線として有名なえちぜん鉄道には、車やバスとはまたひと味違った魅力があります。
特急バスの永平寺ライナーとえちぜん鉄道で行きと帰りを変えてみるのもおススメです。
https://bus.keifuku.co.jp/hw/eiheiji.shtml
永平寺の敷地は広く、入り口で拝観料を払ってからいったん社務所のような会館に入り、迷路のような廊下を進みます。山の斜面の勾配に沿って多数の建物がつながっているため、全体を見渡すことはできません。初めて見る、独特なスタイルです。
山の斜面の高い方から、若い僧侶が説法を受け修行する法堂、仏さまの釈迦如来がいる仏殿、そして山門があり、両サイドに庫裏や僧堂が並びます。これらをぐるっと回廊を回ることができます。
この配置自体は京都の建仁寺や円覚寺に近いものですが、山の斜面の勾配なりに経っているのははじめて見るものです。
永平寺に入った若い修行僧たちは、座禅はもちろん、 一切の生活を800年前に道元が定めた規則に従って送ることになります 。食事も排泄も就寝も掃除も修行です。
もちろん、スマホもテレビもありません。何年もそういう生活を続けるのです。
平日に永平寺へ行くと、廊下などを掃除中の若い僧に出くわすこともあります。
私たち一般客に出くわすと、どういうわけか自然な動きで物陰に隠れます。うまく言えませんが、 気配を消す習慣 になっているようです。
おそらく、普通の若者がやるような遊びを捨て、ストイックに一本の道を求め、自らの意思でここへやってきた気持ちの強さがその表情に表れているのかもしれません。
永平寺の修行僧、雲水たちの朝は早く、3時か4時に起床、コップ1杯の水で顔を洗い、口をすすぎます。
それからは座禅、勤行、お経、「作務」と呼ばれる掃除、草刈り、冬は除雪もあります。
食事は麦ご飯とお吸い物、たくあんなど漬物のおかずが1品です。お吸い物の水分とたくあん1片を器用に使って茶碗を洗いながら食べ終わります。
無駄なおしゃべりなどは一切ありません。
毎日、毎年同じことの繰り返し、 日々の生活を研ぎ澄ませる ことでしか、結局人間は悟りの境地に達することはない。800年前の道元から何ひとつ変わっていません。
座禅は、精神集中のひとつとして国内だけでなく世界中の著名人も取り組んでいます。スティーブ・ジョブズ、先般亡くなられた京セラの創業者でありJALの再建を担った稲盛和夫さん、格闘家でヨガトレーニングを取り入れていたヒクソン・グレイシーなども、生活のルーティンや修行に取り入れていました。
余計な情報や雑念ばかりに左右されがちな現代生活で、ただ座って頭をからっぽにすることの効用が見直されています。
https://daihonzan-eiheiji.com
越前かには全国的に有名ですが、永平寺の門前町では、名物の「ごま豆腐」をはじめ、おろし越前そば、大きい油揚げなどの名産品がいただけます。
それらも含めて永平寺には丸1日かける価値があります。
余暇プランナー
仏像と歴史好きな、社寺建築の仕事をしていたおじさんです。全国の社寺、仏像を見て回り、古代から戦国の時代を空想しています。 空想しすぎて小説を書き、文学賞もらっちゃいました。旅ライターと小説家の2刀流おじさんです。