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ロンドンから南東に100kmほど離れたところに位置する カンタベリー(Canterbury)は、イギリス国教会の総本山「カンタベリー大聖堂」があることで有名な田舎街 です。その起原は6世紀まで遡り、石畳が敷かれた中世の建物が立ち並ぶ街並みからイギリスの歴史の流れが感じられます。特に、カンタベリー大聖堂・聖オーガスティン修道院・聖マーティン教会の3つの教会が世界遺産に認定されたこともあり、カンタベリーは常に世界中から多くの人々が訪れる人気の街です。
カンタベリーの 主要駅であるカンタベリー・ウエスト駅(Canterbury West)へは、鉄道のサウスイースタン(southeastern)を利用 します。ロンドンのセント・パンクラス駅(St Pancras International)から乗車でき、時間によっては乗り換えが必要となりますが、所要時間は約1時間。大体1時間に2本発着しているので比較的アクセスしやすく、ロンドンからの日帰り旅行にぴったりの街です。
カンタベリーで外せない観光スポットが「カンタベリー大聖堂(Canterbury Cathedral)」です。イギリス国教会の総本山であるため、歴史上のさまざまな事件の舞台にもなりました。 注目は、12世紀に聖職者の特権を巡って国王と争った大司教トーマス・ベケットが殺された3本の剣が飾られている部屋 です。死後にローマ教皇から聖人とされると、大聖堂を訪れた重病人や怪我人が治ったなどの奇跡が起こったことで、カンタベリーの巡礼地としての名を高めるきっかけとなった場所でもあります。
建物は、1070年代に小さな教会の遺跡の上に礼拝堂が最初に建てられたのが始まりです。時代の移ろいとともにゴシック様式やロマネスク様式によるアーチなどへの再構築も行われてきました。 ステンドグラスの窓は約150枚あり、1011年のデンマーク人によるカンタベリー包囲戦やエドワード4世の肖像画などが色鮮やかに描かれている ので、ぜひじっくりと眺めてみてください。
https://www.canterbury-cathedral.org/
「聖オーガスティン修道院(St Augustine's Abbey)」は、カンタベリー大聖堂から城壁を越え徒歩約5分のところにある修道院 です。598年にアングロサクソン人をキリスト教へ改宗させる使命を帯びた聖オーガスティンにより設立され、その布教活動は100年以内にイングランド全土に及びました。イギリスにキリスト教布教において重要な役割を果たしていたのです。
何世紀にも渡ってヨーロッパでも壮大かつ影響力を誇った修道院は、 16世紀のヘンリー8世による弾圧により破壊され、現在はそのほとんどが廃墟 となってしまっています。入口のビジターセンターでは、日本語の音声ガイド付きでこの地で発掘されたサクソン人やノルマン人、修道院の歴史に関する展示を見学できます。綺麗に整備された敷地内の散策道を歩くと、かつての石造りの基礎からその風格が垣間見えるでしょう。
https://www.english-heritage.org.uk/visit/places/st-augustines-abbey/
聖オーガスティン修道院からさらに5分ほど歩くと、石造りでできた「聖マーティン教会(St Martin's Church)」にたどり着きます。 イギリス国内において現役の教会の中では最古 を誇り、6世紀に聖オーガスティンが布教活動の起点として利用した場所でもあります。
聖マーティン教会は、元々ローマ占領時代が終わった4世紀半ばにケント王妃の私的な礼拝堂として建てられた歴史的にも価値の高い建物です。建物自体はローマ建築ではないものの、基礎部分のレンガや壁のタイルなど、古代ローマ時代の素材が随所に見られます。 数世紀もの歴史がある真鍮の遺物や洗礼盤を眺められ、聖オーガスティンの生涯を描いたステンドグラスもカラフルで見応え充分です。
ひっそりと佇む小さい教会ですが、随所に古い歴史を感じられる温かみのある教会です。
「ウエストゲート・タワー(Westgate Towers)」は、外敵からの侵入を防ぐため百年戦争中に建設された門 です。かつては両側に城壁も設置されていましたが、 イギリス国内に現存する中世の門の中では最大 で、高さは18mもあります。時を経て軍事的な脅威が弱まり、市の刑務所となったウエストゲート・タワー。しかし、第一次・第二次世界大戦の際に再び防衛施設として利用され、カンタベリーの防空面において重要な役割を果たしました。
現在のウエストゲート・タワーは、 街の西の玄関口であるとともに、展望台から街が見渡せる博物館 として機能しています。博物館ではタワーの歴史に関する展示が行われ、復元した刑務所の部屋を使ったリアル脱出ゲームもプレイできる人気の高いスポットです。バーやリバーサイドテラスでゆったり飲食も楽しめます。
https://www.onepoundlane.co.uk/westgate-towers
カンタベリーは、主要な観光スポットがウエストゲート・タワーから東側のバスステーションをまでの通りの近くに集中しており、半日あれば充分な散策ができます。そこで、 歩き疲れた時の休憩場所におすすめなのが「ウエストゲート・ガーデンズ(Westgate Gardens)」 です。
グレート・ストア川沿いに手入れの行き届いた芝生や花壇があり、街の中心地であることを忘れてしまいそうなほど静かで穏やかな時間が流れています。腰掛けて季節の植物や周囲の可愛らしい街並みをのんびりと眺め、小川のせせらぎに耳を澄ませるのも乙なものです。
川を気持ちよさそうに泳ぐカモの姿を見かけることもあります。また、 側にあるウエストゲート・ブリッジからはパント船のツアーが催行 しています。船上から川沿いのの景色を楽しみながら足を休めるのもいいでしょう。
カンタベリーは巡礼の街として発展し、イギリスの歴史や文化に触れられるおすすめの街です。街の中心を通る目抜き通りにはショッピングも楽しめ、ゆったりとした観光にはうってつけと言えます。
ぜひイギリスを訪れる際には、カンタベリーにも足を運んでみてください。
https://www.veltra.com/jp/europe/uk/ctg/2024:2024/?sid=1554
出典・参考
余暇プランナー
1987年生まれの和歌山県在住のフリーライター、C.Wakisakaと申します。季節の風景・歴史・スイーツが好きで、カメラを持ってよくおでかけしています。関西を中心に一人旅や家族で日帰り旅行をするのが大抵ですが、時には夜行バスを使っての東京への弾丸日帰り旅行も。海外旅行はマカオ・パリ・南ドイツ周遊の経験があり、特にドラクエの雰囲気やメルヘンらしさを感じられるドイツを愛しています。「行ってみたい!」と思える情報を発信できればと思っています。
イギリスのキリスト教の中心地「カンタベリー」を紹介!チューダー朝の面影が残る巡礼の街