- 週間ランキング
イカの切り方をマスターすれば、イカを丸ごと購入しても困ることはありません。とくに下処理が難しく感じるかもしれませんが、一度やり方を覚えてしまえば思いのほか簡単に扱うことができるのです。そこで今回は、イカの下処理の仕方と数種類の切り方を写真付きで解説します。
イカは複雑な構造をしているため、さばきにくそうなイメージがあるかもしれません。しかし、実際は思ったよりも簡単です。
イカの下処理は大きく分けて、「胴と足(ゲソ)を引き離す」「エンペラ(胴についている三角形の部分)と胴を離す」「皮をはがす」「足の下処理をする」の4ステップで終わります。
ここから、ひとつずつ写真に撮りながら解説していきます。なお、今回はスーパーで購入したスルメイカを使いました。
イカの足の付け根側から胴の中に手を入れて、内臓とのつなぎ目を探します。イカの目の上の方にあります。
見つかったら、つなぎ目を指で引き離します。
エンペラと足の付け根をそれぞれ手で持ち、ひねりながらゆっくりと足を引き抜きましょう。
続いて、軟骨も手で引っ張って取り除きます。
胴の外側と内側を水で洗い、ペーパータオルで水気を拭き取ります。内側にも手を入れ、取り切れなかった内臓も洗い流しましょう。
エンペラと胴のつなぎ目に指を入れ、筋に沿って動かし、胴とエンペラをはがしましょう。
片手で胴をおさえながら、もう片方の手でエンペラの先端部分を持ち、足があった方向に引っ張ります。エンペラを皮ごと胴からはがしていきましょう。
胴体に残った皮をはがしていきます。キッチンペーパーやふきんなどで皮をつまむようにしてむくと、滑りにくく、作業しやすくなります。
エンペラの皮も同じようにはがしていきましょう。
目の下に包丁を入れ、足と内臓を切り離します。
足の付け根の中央にある、かたい部分(くちばし)を探しましょう。くちばしを手や包丁で取り除きます。くちばしを取り除いたら、足を水で洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取ってください。
足は筒状になっているので、付け根に切り込みを入れ、平らになるように開きます。
長く飛び出た足は、ほかの短い足の長さに合わせて切りそろえましょう。切り離した部分は料理には向かないので除いておきます。
短い足の先端も少し切り落としておきましょう。
吸盤は包丁でしごくようにして取り除くと、料理の口当たりがよくなります。
これで下処理は完了です!
イカ墨を料理で使うときは、墨袋を内臓から分けておきます。膜が破れないように、ゆっくりと指でつまみ取りましょう。
まずは、ワタの両端についている部分を切り落とします。
内臓にくっついている、細長い袋がイカ墨の入っている墨袋です。
手で薄皮ごと墨袋をつまみ、ゆっくりとはがしていきます。
残ったワタも、濃厚で独特な風味を活かし、炒め物などに使うことができます。ワタから切り落とした両端の部分は料理には向かないので、除いておきましょう。
ここから、下処理を済ませたイカのさまざまな切り方を紹介します。
新鮮なイカは刺身にぴったりです。イカの胴は繊維が強靭で、身がかたいため、生で食べるときは細長く切った「イカそうめん」にするのがよいでしょう。
イカは胴を取り巻くように繊維が走っており、切り方によって食感が変わります。ここで紹介するイカそうめんは、繊維を断つように切るため、やわらかい食感が楽しめます。
軟骨のあった部分が利き手側に来るようにまな板に置きます。軟骨のあった部分に沿って包丁を入れ、胴を開きます。
形を整えるために、両端を切り落としましょう。
胴の内側をキッチンペーパーなどで拭き、薄皮を取り除きます。
胴を横に長くなる向きでまな板に置き、5cmほどの幅に切っていきます。
この工程で、イカの身を縦に長くなるようにまな板に置き、イカそうめんを作っていくと、よりコリコリした食感になります。
手順3で切ったうちのひとつを、横に長くなるように90度向きを変え、まな板に置きます。そのまま、5mm幅の細切りにしましょう。残りもすべて、同じように細切りにしていきます。
輪切りは、イカリングや煮物などで使われる切り方です。レシピによっては、エンペラや皮をはがす必要もなく、とても簡単です。
内臓と足を抜き取った胴をきれいに洗います。水気を拭き取ったらまな板に置き、使いやすい厚さの輪切りにすれば、出来上がりです。
松かさ切りは、斜めの格子状に切り込みを入れる切り方です。中華料理や和食でよく用いられます。
火を通したときに格子の部分がフワッと広がるため、料理の見栄えが華やかになります。また、身に味がしみこみやすくなったり、食感がやわらかくなったりする点も、松かさ切りのメリットです。
軟骨のあった部分が利き手側に来るようにまな板に置き、軟骨の部分に沿って包丁を入れ、開きます。キッチンペーパーで内側をこすり、薄皮を取り除きましょう。
今回は、縦方向に3等分にしました。縦と横に1本ずつ切れ目を入れて4等分にしたり、横方向に3等分にしてもかまいません。
胴の外側を上にして切り込みを入れると、加熱後の形がきれいに仕上がります。
包丁を寝かせて、斜め下に向けて切り込みを入れます。イカに対して斜め方向に、約5mmの間隔で包丁を動かしていきましょう。
手順4と同じ切り方で、格子状になるように切れ目を入れていきます。手順4のイカを90度に回して同じように切っていくと簡単です。
かのこ切りは垂直に包丁を下ろし、格子状に切り込みを入れた切り方です。松かさ切りでは包丁を寝かせて切り込みを入れますが、かのこ切りでは身に対して垂直に切り込みを入れます。
かのこ切りや松かさ切りのように、イカの繊維を断ち切るように表面に細かな切れ目を入れる切り方をすると、火を通したときに身が丸まりにくくなります。
軟骨のあった部分が利き手側に来るようにまな板に置き、軟骨の部分に沿って包丁を入れ、開きます。キッチンペーパーで内側をこすり、薄皮を取り除きましょう。
今回は、縦方向に3等分にしました。縦と横に切れ目を入れて4等分にしたり、横方向に3等分にしてもいいです。
火を通したときにきれいに仕上がるよう、胴の外側を上にして切り込みを入れていきます。
イカに対して縦方向になるように、約5mm間隔の切り込みを入れます。
手順4のイカを90度回し、約5mm幅の切り込みを入れましょう。 今回は縦横の格子状に切り込みを入れましたが、松かさ切りのように、イカの身に対して斜めの格子状にしてもかまいません。
刺身や寿司など、イカを生で食べるときには「アニサキス」と呼ばれる寄生虫による食中毒に気をつけましょう。アニサキスはイカなどの魚介類に寄生していることがあり、生きたまま食べると激しい腹痛や嘔吐などを引き起こすおそれがあります。
アニサキスは白い糸のような見た目をしており、目で確認できる大きさです。下処理のタイミングで、身にアニサキスが付着していないかを目でよく確認し、見つけたらかならず取り除いてください。生食するイカは、新鮮なものを使うことも大切です。
また、アニサキスは、イカが死亡してから徐々に内臓から筋肉に移動する習性があるため、新鮮なうちにできるだけ早く内臓を取り除くようにしましょう。
確実なアニサキス対策としては、-20度以下で24時間以上冷凍することが挙げられます。イカを刺身や寿司にしたいときには、事前にしっかりと冷凍しておき、冷蔵庫で解凍してから食べるとよいでしょう。その際、自宅の冷蔵庫の設定温度が-20度以下になっているか確認すると安心です。
また、アニサキスは熱にも弱いため、十分に加熱調理する場合にはアニサキスによる食中毒を心配する必要はありません。
※参照:農林水産省「海の幸を安全に楽しむために~アニサキス症の予防~」,食品安全委員会「アニサキス症(概要)」
イカは1杯で買った方が安いことも多く、鮮度もバツグンです。下処理の方法や切り方をマスターして、自宅でもさまざまなイカ料理を楽しんでくださいね。