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飲みかけのペットボトルの水やコップに注いだ水は「いつまで飲んで大丈夫なのか?」と考えたことはありませんか?
安全に水を飲むためにも、水が腐る原因や腐ったサインを知り、正しく水を保存しましょう。
今回の記事では「水が腐る原因」「腐ったサイン」「腐るまでの日数」「腐った水を飲んだら」などについて、管理栄養士が解説します。
「水が腐る」とは水自体が腐るのではなく、水に溶け込んだ栄養分が腐った状態を指し、正確には「腐ったように見える」状態です。
そもそも腐敗とは、タンパク質などの栄養分をエサとして、細菌や酵母、カビなどの微生物が増殖して、食べられなくなった状態を指します。
水そのものは、栄養分(有機物)を含まない無機物であるため腐りません。
しかし、水には不純物や、空気中の細菌、容器に付着した汚れなどがどうしても混じり込んでしまいます。そのため時間の経過により、色やにおい、ぬめりなどが出てきてしまい「水が腐った(腐敗した)状態」になるのです。
水はどのような状況だと腐りやすくなるのでしょうか?腐った状態を作る原因を詳しく見てみましょう。
ペットボトルに入った水は殺菌されているため腐る心配が少ないのですが、開封すると腐るリスクが高まります。
これは開封することにより、空気中の雑菌が入りやすいためです。開封したらなるべく早く飲み切るようにしましょう。
ペットボトルやコップの水などに直接口をつけて飲むと、口の雑菌や栄養分が水に入ってしまうため、腐りやすくなります。
口をつけた水は早めに飲み切るようにするか、口をつけずにコップに移す方が腐りにくいでしょう。
開封したり口をつけたりした水を常温放置すると、より腐りやすくなる恐れがあります。
多くの細菌は20~50度の温度帯で増殖しやすいため、常温では増殖のスピードが速くなってしまうのです。
特に夏は室温が高くなるため、より水が腐りやすいといえる時期です。
10度以下では細菌の増殖がゆっくりになり腐りにくくなるため、開封したら冷蔵庫で保存し、早めに飲み切るようにしましょう。
水道水は塩素が入っているため細菌などの増殖を抑えることができますが、浄水やミネラルウォーターには塩素がほとんど含まれないため、腐りやすくなっています。
同じ条件に置いた場合でも、浄水やミネラルウォーターの方が早く腐る可能性があるため、特に早く飲み切る必要があることを覚えておきましょう。
一概に「水が腐る日数」をお伝えするのは難しいのですが、例えば水道水の日持ちについて、東京都水道局のWEBサイトでは下記のとおり目安が示されています。
・常温保存の場合…3日程度(直射日光を避ける)
・冷蔵保存の場合…10日程度
またペットボトルの水の日持ちは、サントリーのWEBサイトを参考にすると下記のとおりです。
・1~2Lなどの大容量の場合…開封後2~3日(開封後は冷蔵保存)
・500mlの場合(口をつけた場合)…開封当日
上記は正しく保存した場合の目安で、直射日光のあたる場所や高温になる場所で保存した場合などは、もっと早く傷んでしまう場合もあります。
「なるべく早めに飲み切る」を心がけるようにすると安心でしょう。
※参照:東京都水道局「くみ置く際の留意事項」,サントリーお客様センター「ミネラルウォーターは、開封後どのくらいの期間で飲めばいいのですか?」
水は腐ると、色、においなどに変化が見られます。
・色…白やピンクのようなにごりが見られる
・におい…腐敗臭やかびのようなにおいがする
これらの特徴が見られる場合は、明らかに腐っていると考えられるため、絶対に飲むのは控えましょう。
また飲んで味に違和感を覚えたり、ぬめりを感じたりする場合も、飲むのを避けた方が安心です。
腐った水を飲んでしまうと、下痢や腹痛、おう吐などの症状があらわれることがありますが、必ずしも起こるとは限りません。
腐敗によって増殖した細菌が人間にとって有害でない場合は、症状を起こさない場合もあるのです。
一方で、細菌の中でも食中毒菌が増殖している場合は、下痢・腹痛・おう吐・発熱などの症状があらわれることがあります。
症状があらわれる時間は食中毒菌によって異なり、早いものでは飲んだ直後から、遅いものでは1週間以上経ってから症状があらわれることもあります。
食中毒の症状が出た場合、自己判断で下痢止めなどの薬を使うと、原因となる細菌を体外に出すのを邪魔してしまうかもしれません。
激しい下痢やおう吐が続く場合や、水分摂取ができない場合、そのほか重い症状が見られる場合は医療機関を受診しましょう。
※参照:一般財団法人食品分析開発センターSUNATEC「腐敗と発酵、腐敗と食中毒はどう違うのか?」
ペットボトルの水に賞味期限が書かれているのは、水が腐るからではなく、ペットボトルの性質に問題があるためです。
ペットボトルの容器は、液体は通りませんが、気体(空気)をわずかに通してしまう性質があります。
そのためペットボトルの中身の量が少しずつ減ったり、水に臭いが移ったりすることが考えられるため、賞味期限が定められているのです。
通常のペットボトルの水の賞味期限は2~3年のものが多いのですが、備蓄用の長期保存できるものは、厚いペットボトルを使っているため、賞味期限が長く設定されています。
また賞味期限は「おいしく食べられる」目安の期限であり、過ぎたからといってすぐに飲めなくなるわけではありません。賞味期限を大幅に過ぎたものは、洗濯や掃除に使うなどして、ムダなく活用しましょう。
水が腐らないようにするために、下記のポイントを実践してみましょう。
・飲み切れない大きなペットボトルは直接口をつけずにコップに注いで飲む
・水道からくんだ水や開封後の水は冷蔵保存する
このような対策を行うことで、水に雑菌などが入りにくくなり、また増殖も防げます。
また保存しておいた水を飲む前に、変わった様子がないかどうかをチェックするようにしましょう。
今回の記事では、水が腐る原因やサインなどについて、管理栄養士が解説しました。水そのものは腐らないものの、雑菌などが繁殖してしまうと腐った状態となります。
冷蔵保存をすることや、口をつけて飲まないことで水が腐るのを防げるため、適切に保存をして、安全に水を楽しみましょう。