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カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、丈夫な骨づくりや、骨粗しょう症の予防として意識して取り入れたい栄養素です。
不足すると、骨の健康以外にもさまざまな影響を及ぼす可能性のあることが知られています。具体的にどのような食品に多いのか、また効率的に摂るポイントを知りましょう。
今回の記事では「ビタミンDを含む食品」について、管理栄養士が解説します。
ビタミンDは野菜や芋、果物、豆類、海藻類などには含まれず、魚介類やきのこ類に豊富に含まれます。
食品ジャンル別に、ビタミンDを含む食べ物を多い順にお伝えします。
もっともビタミンDを効率的に摂れるのが魚介類です。
1回に食べる量が多く、含有量も豊富であるため、ビタミンDをたっぷりと摂取できます。特に、イワシ、鮭、マグロなどに豊富です。
生の魚だけでなく、サンマやサバの缶詰などにも含まれています。缶詰は比較的安価で調理も簡単であるため、上手に取り入れるとよいでしょう。
きのこ類もビタミンDの補給にぴったりです。
きのこ類は日光にあてることでビタミンDが増えるため、日光にあてて作られる乾燥きくらげや干ししいたけに特に豊富に含まれています。
乾燥きくらげや干ししいたけは、日持ちしやすいため、ストックしておくと便利です。
また生のきのこでも、調理する前に少しでも日光にあてると、ビタミンDをより効率的に摂取できます。
魚介類に比べると多くありませんが、肉類からもビタミンDを補給できます。中でも、豚タン、豚レバーに多く含まれています。
肉類中心の食生活ではビタミンDを十分に摂れない可能性があるため、魚介類やきのこ類をしっかりとるようにしましょう。
完全食品ともいわれる卵は、ビタミンDも豊富です。毎日1個を取り入れるようにすると、不足しがちなビタミンDの補給に役立つでしょう。
生の卵を調理するのはもちろん、コンビニで手に入るゆで卵や温泉卵、卵を使った惣菜を取り入れる方法でもOKです。
牛乳やチーズなどの乳類にもビタミンDは含まれますが、魚介類やきのこ類ほど豊富には含まれません。
乳類にはカルシウムが豊富なため、吸収を助けるビタミンDが豊富な食べ物とセットでとるようにしましょう。
例えば、朝食にきのこたっぷりのみそ汁と牛乳をコップ1杯飲むようにしたり、鮭やきのことクリーム煮にしたりするのもよいでしょう。
ビタミンDの主な働きは、カルシウムの吸収を助けることです。腸内でカルシウムの吸収を促進し、骨を強くする働きがあります。
ほかにも、血中カルシウム濃度を正常に保つことで筋肉の収縮や神経の伝達を正常にしたり、免疫機能を維持したりする働きもあるなど、さまざまな役割を担っています。
食品に含まれるビタミンDは、植物由来の「ビタミンD2」と動物由来「ビタミンD3」の2種類がありますが、吸収率や効果の差は気にする必要がないといわれているため、どちらもバランスよく摂取するようにしましょう。
またビタミンDは食品から摂取するだけでなく、日光を浴びることで皮膚でも生成されるため、適度な日光浴も大切です。
日焼け止めや衣服などで紫外線対策をしていると、ビタミンDを十分に生成できないため、その場合は食品からしっかりと摂るようにしましょう。
ビタミンDの1日の摂取量の目安は、下記のとおりです。
この目安量に対し、ビタミンDの平均的な摂取量は、不足がちであることがわかっています。
目安量とは年齢の区分が違うため厳密な比較はできませんが、多くの年代で不足の可能性がある数字です。
特に、魚介類やきのこ類を食べる回数が少ない方は、不足の心配があります。先ほど紹介した食べ物を意識的に取り入れるようにしましょう。
ビタミンDが不足すると、骨の健康に影響を与えることが知られています。
ビタミンDが欠乏した状態では、小腸や腎臓でのカルシウムの吸収率が低下し、小児ではくる病、成人では骨軟化症、高齢者では骨粗しょう症性骨折のリスクとなります。
・くる病…骨が変形する病気で、発育・発達の遅れにつながることがある
・骨軟化症…骨が弱くなる病気で、骨の変形や痛みなどの原因となる
・骨粗しょう症性骨折…骨粗しょう症(骨量が減った状態)により起きる骨折
ほかにもビタミンD不足により、免疫機能の低下、がん・心臓の病気、うつ病との関連がある可能性もわかってきており、さまざまな影響が知られてきています。
のちほど効率よく摂るポイントを紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
日光によって必要以上にビタミンDは産生されないものの、食品・健康食品・サプリメントから過剰摂取を続けると、健康に影響を及ぼすことがあります。
具体的には高カルシウム血症による吐き気、おう吐、筋力低下、食欲不振などや、腎障害などが挙げられます。ビタミンDは過剰摂取を避けるために「耐容上限量」が定められており、成人男女で100μgまでが基準です。
食品では過剰摂取の心配が少ない数字ですが、健康食品やサプリメントの摂りすぎにより、ビタミンDが過剰とならないように注意しましょう。
不足によりさまざまな影響が知られるビタミンDは、効率的に摂るために下記のポイントを実践してみましょう。
ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、脂質と一緒に摂ることで吸収がよくなります。
魚はビタミンDと脂質を両方含むため、効率的にビタミンDを摂取できるといえます。きのこ類には脂質が含まれないため、油を使って調理するか、油を使ったメニューと組み合わせるようにしましょう。
きのこをバターやごま油で炒めたり、きのこのスープにごま油やオリーブオイルを垂らしたりしてみてください。
ビタミンDは皮膚でも作られるため、適度な日光浴をすることも大切です。
5.5μgのビタミンDを産生するために必要な日光浴の時間は、地域や時間帯により異なりますが、正午の時間帯は、夏では3~5分、冬では7~77分となっています。(※)
ガラス越しの紫外線ではビタミンDが産生されず、日焼け止めや衣類により紫外線を遮っている場合もビタミンDの産生量が少なくなります。
室内にいることが多い方や、紫外線対策をしている方はビタミンD不足のリスクがあるため、食品から積極的に摂ることを心がけましょう。
今回の記事では「ビタミンDを含む食品」について、管理栄養士が解説しました。
ビタミンDは不足しがちな栄養素であるため、意識して取り入れることが大切です。
特に野菜や果物には含まれないため、魚介類やきのこ類をしっかりとりましょう。また、適度な日光浴も忘れずに行い、ビタミンD不足の対策を行ってくださいね。
ビタミンDをたっぷり摂れて、簡単に作れるレシピ3つを紹介します。
ビタミンDが豊富な鮭ときのこをたっぷり食べられるレシピです。バターが入っているため、ビタミンDの吸収を助けてくれます。
鮭ときのこのバター醤油
生鮭切り身、舞茸、小ねぎ(あれば)、○しょうゆ、○酒、○みりん、○バター、塩、こしょう、サラダ油
調理時間:15分
ビタミンDをたっぷり摂れるマグロ。たたきにすると香ばしく、食欲をそそります。オリーブオイルでビタミンDを効率的に摂れるのもうれしいポイントです。
まぐろのたたきピリ辛サラダ
まぐろ(刺身用)、豆苗、塩・こしょう、○ポン酢、○ごま油、○豆板醤、オリーブオイル、大葉(あれば)
調理時間:10分
たっぷりのきのこを使ったシーフードソテー。ビタミンDをたっぷり摂れ、作り置きにもおすすめです。
きのことシーフードのソテー
エリンギ、シーフードミックス、バター、塩・こしょう、○洋風スープの素(顆粒)、○酒、○にんにくチューブ
調理時間:15分