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「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほど、栄養価の高いトマトから作られるトマトジュース。
トマトジュースを飲むことで得られる効果には、どのようなものがあるのでしょうか?
また、選び方や効果的な飲み方を知って、上手に取り入れましょう。
今回の記事では「トマトジュースの効果」について、管理栄養士が解説します。
トマトジュースを飲むことで、美肌や健康作り、ダイエット、むくみ解消、便秘予防など、さまざまな効果が期待できます。
トマトジュースには下記の栄養素が含まれ、生のトマトに比べてカリウムや鉄の含有量が優れています。
成分表には記載されていませんが、トマトジュースは生のトマトに比べ、リコピンの含有量が豊富なことが知られています。
具体的には、生のトマトの2倍ほどといわれており、リコピンの高い抗酸化作用によるさまざまな効果が期待されます。
さらに詳しく、トマトジュースの効果について解説します。
トマトジュースには、抗酸化作用を持つβ-カロテン、ビタミンC、リコピンが含まれており、美肌作りに役立ちます。
抗酸化作用とは、細胞を傷つけ肌の老化を引き起こす活性酸素の働きを抑える、いわゆるアンチエイジング作用を指します。
特にリコピンはβ-カロテンやビタミンEに比べ抗酸化力が高いといわれるため、肌を若々しく保ちたい場合によいでしょう。
トマトジュースにはGABA(ギャバ)が含まれ、高めの血圧を下げる効果が期待されています。
GABAはアミノ酸の一種で、交感神経の働きを抑えて血管をゆるめて、血圧を下げる働きがあると考えられています。
実際にGABAの摂取により、血圧の低下がみられたという報告が多数あります。
トマトジュースに含まれるリコピンには、悪玉コレステロール値を低下させる効果も注目されています。
またリコピンの抗酸化作用により、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を防ぐ働きも期待されます。
トマトジュースはほかのジュースに比べて糖質やカロリーの量が少ないため、ダイエットに役立ちます。
また、食物繊維を含み腹持ちがよいことから、間食や食事の前にトマトジュースを飲むことで、満腹感を得られやすくなり、食べすぎを防ぐ効果も期待できるでしょう。
トマトジュースはカリウムが豊富なため、むくみ解消・予防に役立ちます。
むくみの原因のひとつに塩分(ナトリウム)の摂りすぎがあり、カリウムは塩分と一緒に水分を排出してくれる働きがあります。
塩分の多いメニュー(麺類や外食、コンビニ食など)を利用するときに、むくみ対策としてトマトジュースを添えるのもよいでしょう。
トマトジュースには食物繊維が含まれ、便秘の予防にも役立ちます。食物繊維は便の材料となり、腸を刺激して排便をスムーズにしてくれます。
トマトジュースには貧血予防に欠かせない鉄が含まれます。
1本あたりの鉄分は0.6mgと、豊富といえる量ではありませんが、不足しがちな鉄の補給に役立つでしょう。
鉄はビタミンCと組み合わせることで吸収率が高まるため、どちらも含むトマトジュースは、効率的に鉄を摂取できます。
「トマトジュースは日焼け止めの効果がある」と聞いたことがあるかもしれません。
確かに、トマトジュースに含まれるビタミンCは、紫外線によるメラニン色素の生成を抑える働きが期待されているため、日焼け対策に向いているといえます。
またリコピンは紫外線ダメージにより発生する活性酸素の働きを抑えてくれるため、シワやたるみの予防にも役立ちます。
このため、どちらかというと「日焼け止め」よりは「日焼け後のケア」という方が合っているかもしれません。
なお、トマトジュースだけで日焼け対策ができるわけではありませんので、帽子や日傘、日焼け止めを使用するなど、基本的な対策は欠かさないようにしてくださいね。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
さまざまな効果が期待されるトマトジュースですが、期待したい効果によって選び方が変わります。
目的に合わせて上手にトマトジュースを選んでみましょう。
トマトジュースの中には飲みやすくするために糖分が添加されているものがありますが、美肌、ダイエット、健康作りにはなるべく避けるようにしましょう。
糖質やカロリーの摂りすぎになりやすく、ダイエットや健康作りを妨げてしまいます。
また糖質の摂りすぎにより体の「糖化」を引き起こしやすくなるといわれ、肌の老化の原因を作ることが知られています。
選ぶ際は原材料名を見て、糖分が入っていないかチェックしてみましょう。
むくみ対策としてトマトジュースを取り入れるなら、食塩無添加のものを選びましょう。
塩分の摂りすぎがむくみの一因となるため、トマトジュースの効果を期待しづらくなります。
食塩の入っていないトマトジュースは塩分0gですが、食塩の入っているトマトジュースは1本あたり塩分0.6gであり、みそ汁半分ほどの塩分量です。
食塩が入っていないものは、パッケージに「食塩無添加」と記載されているため、確認して選んでみましょう。
リコピンによる美肌やコレステロール対策を期待するなら、リコピンの含有量の多いものを選びましょう。
トマトジュースに使われるトマトの種類により、リコピンの含有量が異なります。
栄養成分表示にリコピン含有量が記載されていることが多いため、見比べてみましょう。
トマトジュースには「ストレート」と「濃縮還元」の2タイプありますが、どちらを選んでもOKです。
・ストレート…果汁をそのまま容器に詰めたもの
・濃縮還元…濃縮させた果汁に水分を加え元の濃度に戻したもの
トマトジュースは製造コストなどの理由から、濃縮還元のものが多くなっています。
現時点では栄養成分値の違いが成分表に記載されていないため、どちらが優れているか比較できません。
どちらも加工の段階でビタミンCや食物繊維が減ってしまうことを考えると、気にしすぎる必要性は低いといえます。
手に入りやすいものやお好みで選ぶようにしてよいでしょう。
トマトジュースを毎日飲むなら、1日あたり1本(200ml)ほどを目安にするとよいでしょう。
特に決まった目安があるわけではないのですが、バランスのよい食事の内容がわかる「食事バランスガイド」では、トマトジュース200mlは副菜1皿分にあたるとされています。
副菜は1日5〜6皿分必要とされ、さまざまな種類をまんべんなくとることが大切です。
トマトジュースばかりでは、野菜の摂取不足や栄養バランスの偏りや、カロリーや糖質の摂りすぎも心配です。
栄養バランスを整える意味でも、トマトジュースは1本程度にしておきましょう。
トマトジュースの効果を高めるには、次の飲み方を試してみましょう。
トマトジュースを取り入れるタイミングは、朝がよいでしょう。
一部の研究で、朝にトマトジュースを飲む方がリコピンの吸収率が高くなる可能性があるとされています。
また朝は、食べ物や飲み物により腸が刺激されるため、排便習慣をつけやすい時間帯です。
リコピンや便秘への効果を期待したい方は、朝食のお供にトマトジュースを取り入れるようにしてみましょう。
トマトジュースは「ちょい足し」することで栄養価がアップします。
オリーブオイル、レモン、牛乳などのちょい足しアイテムによる効果と分量を下記にまとめました。
オリーブオイルや牛乳などの脂質を含むものは、脂溶性であるリコピンやβ-カロテンの吸収を助けます。
またレモンはトマトジュースのビタミンCを強化できるため、たっぷりビタミンCを摂りたいときにおすすめです。
トマトジュースは料理に使ってもOKです。
ミネストローネ、トマトソース、トマト煮、カレーなど、さまざまな料理に活用できます。脂質と組み合わせる料理は、リコピンやβ-カロテンを効率的に摂れるのもうれしいポイントです。
トマトジュースが苦手な方や、そのまま飲むのに飽きた方は試してみてください。
トマトジュースは体によいからといって、たくさん飲むのはNGです。
飲みすぎによりカロリーや糖質を摂りすぎたり、栄養バランスが偏ったりすることが考えられます。
例えばトマトジュースを1L(1kg)飲んだとすると、カロリーは180kcalとなり、おにぎり1個分(約156kcal)以上となります。
また野菜を食べるのがおろそかになってしまうのも問題です。
野菜を食べることで、噛む回数が増えて食べすぎを防ぐメリットや、ジュースでは不足する食物繊維やビタミンCなどの栄養素もたっぷり摂れるなどのメリットがあります。
トマトジュースは1日1本(200ml)程度に留め、野菜たっぷりの食事を心がけるようにしましょう。
今回の記事では「トマトジュースの効果」について、管理栄養士が解説しました。
トマトジュースはリコピンやGABAなどの成分や、ビタミン、ミネラルを含むため、美容や健康作りなどのさまざまな効果が注目されています。
たくさん飲むのは勧められませんが、1日1本(200ml)ほどを目安にして、上手に取り入れてくださいね。