身近な野菜である玉ねぎには、血液サラサラや高血圧の予防が期待できる栄養素や栄養成分などが含まれています。
加熱による変化や、栄養を逃さない食べ方のポイントを知り、栄養をムダなく摂りましょう。

今回の記事では「玉ねぎの栄養」について、管理栄養士が解説します。

玉ねぎの栄養と期待できる効能

玉ねぎは食物繊維やカリウムをはじめとする栄養素や、硫化アリルやケルセチン、オリゴ糖などの特有の栄養成分を含みます。
血液サラサラ、高血圧予防、腸活にもぴったりな野菜で、以下のような効能が期待されています。

具体的に、玉ねぎに含まれる栄養成分値を見てみましょう。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

玉ねぎ1玉は約200gで、可食部が188gです。1玉食べても62kcalほどですが、さまざまな栄養素や栄養成分をたっぷりと補給できます。

続けて詳しく、具体的な効能を紹介します。

血液サラサラを期待「硫化アリル」

玉ねぎには硫化アリルが含まれ、血液サラサラ効果(抗血栓作用)が期待されています。

血圧、血糖値、血中コレステロール値の高い方は血栓が作られやすいリスクがあるため、より食生活に気を配る必要があります。

食べ物に薬のような効果を期待するのは禁物ですが、健康づくりに野菜の摂取は欠かせないため、玉ねぎを上手に活用するとよいでしょう。

抗酸化作用を持つ「ケルセチン」

玉ねぎに含まれるケルセチンは、ポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。

抗酸化作用とは、細胞を傷つけて健康に影響を与える活性酸素を除去する働きのことです。
ケルセチンの抗酸化力は強いといわれており、長期的な摂取により、さらに効果を発揮すると考えられています。

腸活に役立つ「オリゴ糖」

玉ねぎはオリゴ糖を含み、腸内環境を整えるのに役立ちます。玉ねぎは、野菜の中でもオリゴ糖が特に豊富です。

オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を効率よく増やしてくれる働きがあります。

腸内環境を整えることで、便秘解消に役立つだけでなく、肌のコンディションを整えたり、免疫機能を高めたりするのにも役立ちます。

糖や脂質の吸収を抑える「食物繊維」

食物繊維は糖や脂質の吸収を抑えてくれる働きがあります。

食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、血中コレステロール値を低下させたりなど、健康づくりに欠かせません。

食事が偏りがちな方や肥満気味の方は意識して取り入れましょう。

高血圧を防ぐ「カリウム」

玉ねぎはカリウムを含み、高血圧を防ぐ働きが期待されます。

カリウムは余分なナトリウムとともに水分を排出する作用があるため、血圧を下げてくれるのです。

野菜不足の方や、塩分の摂りすぎの傾向のある方は、積極的に摂りたい栄養素です。

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

玉ねぎの栄養を逃さない食べ方のポイント

玉ねぎはさまざまな栄養素や栄養成分を豊富に含むことがわかりましたが、これらを効率的に摂るには、どのような食べ方がよいのでしょうか。

血液サラサラを期待するなら生で食べる

血液サラサラ効果が期待されている硫化アリルは、加熱に弱い成分です。
硫化アリルをムダなく摂るなら、生で食べましょう。

スライスしてサラダに、みじん切りにしてドレッシングに活用するなどがよいでしょう。

腸活をするなら加熱してたっぷり食べる

腸活目的で玉ねぎを取り入れるなら、加熱して食べるのがおすすめです。
加熱することでカサが減り、たっぷり食べられるようになります。

またヨーグルトなどの乳酸菌を含む食べ物を組み合わせてとるようにすると、より腸内環境が整いやすくなりますよ。

皮の近くも活用する

抗酸化作用が期待されるケルセチンは、玉ねぎの皮の近くに多く含まれることが知られています。
皮を剥きすぎず、皮の近くも活用しましょう。

硬さが気になる場合は、薄く切るなどの工夫をしてみてくださいね。

玉ねぎの栄養成分は調理法でどう変わる?

玉ねぎは調理によって栄養成分がどう変化するのでしょうか?

炒める・煮るなどの加熱すると?

玉ねぎに含まれる硫化アリルは熱に弱いため、炒めたり煮たりするなどの加熱により減ってしまうことがあります。

しかし、ケルセチンは熱に強いことが知られているため、心配は不要です。
またほかの栄養成分も、加熱したからといってすべてなくなってしまうわけではありません。

目的にあわせて調理法を決めるとよいでしょう。

辛み抜きで水にさらすと?

玉ねぎの辛味を抜くために水にさらすと、硫化アリル、カリウム、ビタミンCなどの水溶性の成分が減ってしまう恐れがあります。

水につける時間が長くなるほど流出しやすくなるため、ムダなく摂りたい場合は水につける時間を最小限にしてみましょう。

酢玉ねぎにすると?

酢とはちみつ、生の玉ねぎなどを漬け込んだ「酢玉ねぎ」は、酢やはちみつの効能もあわせて取り入れられます。
酢は血圧への効果、はちみつは殺菌作用などが期待されているため、健康づくりに役立ってくれるでしょう。

しかし注意したいのは、糖質の摂りすぎです。
酢をまろやかにするためにはちみつ(または砂糖など)がたくさん使われていることもあるため、くれぐれも食べすぎには注意しましょう。

みじん切りにすると?

硫化アリルは細胞が壊れることで発生するため、玉ねぎをみじん切りにすることで、硫化アリルがより発生します。

みじん切りにした玉ねぎは、ドレッシングやソースに活用するとよいでしょう。

冷凍すると?

玉ねぎを冷凍することで、硫化アリルの量が減ってしまう場合があります。
硫化アリルの効果を期待したい場合は、冷凍しない方がよいでしょう。

しかし、ほかの栄養素は大きく減る心配はありません。
玉ねぎを長持ちさせるよい保存方法であるため、上手に活用しましょう。

玉ねぎの種類による栄養成分の違い

玉ねぎは「新玉ねぎ」と「紫(赤)玉ねぎ」がありますが、普通の玉ねぎと同じような効果が期待できるのでしょうか?
種類による違いを確認してみましょう。

新玉ねぎ

新玉ねぎでも、普通の玉ねぎと同様の効果が期待されます。
また栄養成分値の違いも特にありません。

生で食べやすい種類であるため、ぜひ生でたっぷり食べましょう。

紫(赤)玉ねぎ

紫(赤)玉ねぎも、普通の玉ねぎと大きな栄養成分値の違いはありません。

大きく違うのは、紫玉ねぎは色素成分であるアントシアニンというポリフェノールを含む点です。
普通の玉ねぎには含まれない成分であり、ケルセチンと同じ抗酸化作用のある成分です。

紫玉ねぎにもケルセチンが含まれるため、ダブルの効果が期待でき、健康づくりに役立ってくれるでしょう。

栄養豊富な玉ねぎを取り入れる際の注意点

玉ねぎを健康づくりに取り入れる際は、知っておいてほしい注意点があります。

食べすぎに注意

玉ねぎは食べすぎに注意が必要です。

特に生の玉ねぎをたくさん食べることで、硫化アリルが胃腸に刺激を与え、胃腸の不調を引き起こす可能性があります。

毎日食べるなら70gを目安にする

玉ねぎの目安量は、はっきりとした基準があるわけではありませんが、1日70gをひとつの目安にすると良いでしょう。
70gとは、およそ1/3玉の量です。

これは、バランスのよい食事の選び方がわかる「食事バランスガイド」の副菜1皿分の量を参考にしています。

健康づくりのためには、玉ねぎ以外にもさまざまな野菜を取り入れることが大切です。
玉ねぎばかり食べるのは控え、バランスよく食べましょう。

ほかの食事もバランスよくする

玉ねぎにはさまざまな健康効果が期待されていますが、玉ねぎを食べるだけで健康になれるわけではありません。

健康づくりや生活習慣病対策には、バランスのよい食事が大切です。

玉ねぎを取り入れる以外にも、野菜たっぷりで脂質を控えた、ヘルシーな食事を意識するようにしましょう。

※参照:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」

玉ねぎは栄養たっぷり!健康づくりに役立てよう

今回の記事では「玉ねぎの栄養」について、管理栄養士が解説しました。

玉ねぎはさまざまな栄養素や栄養成分を含み、健康づくりや生活習慣病対策に役立ちます。
また玉ねぎはいろいろな料理に使え、比較的安価なのも魅力です。

ぜひ玉ねぎを毎日の食事に取り入れて、健康づくりに役立てましょう。

玉ねぎの栄養をたっぷり摂れるレシピ

最後に玉ねぎの栄養をたっぷり摂れるレシピ3つをご紹介します。

さばの南蛮漬け

生の玉ねぎをたっぷりと使った南蛮漬けです。
調味液に漬け込むことで、玉ねぎの辛みが気になりにくくなります。

さばの南蛮漬け

生さば(切り身)、玉ねぎ、塩、片栗粉、○しょうゆ、○すし酢、○みりん、○赤唐辛子(輪切り)、サラダ油

調理時間:20分

甘辛玉ねぎのくるくる肉巻きソテー

玉ねぎを豚肉で巻けば、ボリュームたっぷりのメインおかずになります。
お肉が少なくても満足できるので、カロリーを控えたいときにもおすすめです。

甘辛玉ねぎのくるくる肉巻きソテー

豚バラ薄切り肉、玉ねぎ、薄力粉、焼肉のタレ、サラダ油

調理時間:15分

新玉ねぎのシャキシャキサラダ

生の玉ねぎと相性のよいツナをあわせたサラダです。
簡単にできるため、時間がないときにもおすすめのレシピです。

新玉ねぎのシャキシャキサラダ

ツナ缶詰(油漬け)、新玉ねぎ、○しょうゆ、○酢、○砂糖、○梅干し、○炒りごま(白)

調理時間:10分

情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 実はすごい【玉ねぎの栄養】期待できる効果効能や加熱による変化・食べ方のポイントを管理栄養士が解説!