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「風邪にはネギ」と昔からいうように、ネギにはさまざまな効能が期待されています。
ほかにも意外と知られていない効能があることをご存じですか?
また、白ネギと青ネギとの違いや、効能を得る食べ方のポイントも知っておきましょう。
今回の記事では「ネギの栄養」について、管理栄養士が解説します。
昔からネギは、漢方として風邪の引きはじめの治療や予防として用いられることがあるなど、さまざまな効能が期待されている食べ物です。
具体的にどのような効能が期待されるのか、含まれる栄養素や成分とともに見てみましょう。
ネギが風邪によいといわれるのは、辛み成分であるアリシンの殺菌作用や血行促進作用によるものが理由のひとつとして考えられます。
アリシンは病原菌のタンパク質と結合することで殺菌作用を示すと考えられており、カビやピロリ菌、細菌などの繁殖を防ぐのに役立ちます。
また、血管を拡張させ血流を促すことで、体を温めてくれる作用も期待されます。
体温が下がることで免疫機能が低下することが知られているため、寒い時期は体を温かく保つよう心がけたいものです。
ネギにはビタミンAとビタミンCが含まれ、どちらも免疫機能の維持に関わる栄養素です。
ビタミンAは不足することで、粘膜の乾燥により感染症にかかりやすくなることが知られています。
またビタミンCはリンパ球や好中球などの免疫細胞内に存在し、免疫機能が正常に作用するような役割も担っています。
感染症にかかったりストレスがあったりするとビタミンCが消費されてしまうため、意識的に摂取する必要があると考えられています。
ネギは両方の栄養素を含むため、とくに感染症の流行する時期は積極的に取り入れるとよいでしょう。
貧血予防に大切な鉄は、ネギにも含まれています。
鉄が不足することで起きる貧血の症状として、疲れやすさやめまい、頭痛などが知られており、思わぬ不調を生むことがあります。
鉄はネギの青い部分にとくに多く含まれるため、捨てることなくぜひ活用しましょう。
ネギに含まれるカリウムは、高血圧の予防に役立ちます。
高血圧の原因となるのが塩分の摂りすぎです。カリウムは塩分の摂りすぎを調節する働きがあり、血圧を下げる働きをしてくれます。
血圧が気になる方は、ネギのようなカリウムを含む野菜をたっぷり取り入れましょう。
ネギから食物繊維を摂ることにより、整腸作用が期待できます。
食物繊維は便の材料となり、腸を刺激して排便をスムーズにしてくれます。
また、腸内で善玉菌が増えるのを助けてくれるため、腸内環境も整えます。
骨の健康を保つのに欠かせないカルシウムは、意外にもネギにも豊富に含まれています。
とくに青い部分に多く含まれており、カルシウム豊富な牛乳に劣らない含有量です。
<100gあたりのカルシウム含有量>
・葉ネギ:80mg
・小ネギ:100mg
・牛乳:110mg
葉ネギや小ネギを100g食べることはあまりないかと思いますが、毎日意識的に取り入れることで、カルシウムを効率的に補えるでしょう。
白ネギと青ネギでは、栄養成分の含有量が異なります。
日本食品標準成分表に掲載されているネギは「根深(ねぶか)ネギ」「葉ネギ」「小ネギ」の3種類です。
それぞれの栄養成分値の違いを見てみましょう。
比較するとわかるように、青い部分を食べる青ネギ(葉ネギ・小ネギ)のほうが栄養価が優れている傾向があることがわかります。
根深ネギの青い部分の栄養成分値は掲載されていないためわかりませんが、葉ネギと小ネギのように、白い部分に比べると栄養豊富なのではないかと推測できます。
白ネギ(根深ネギ)は栄養価が低く見えるかもしれませんが、たっぷり食べられる点では優秀です。
アリシンや食物繊維をしっかり補給できるため、健康づくりに役立つでしょう。
選び方に迷ったら、以下を参考にしてみましょう。
・白ネギ:たっぷり食べてネギの効能を得たいときに
・青ネギ:少量で栄養補給できるため効率よく栄養摂取したいときに
ぜひどちらのネギも、上手に活用してくださいね。
ネギの効能を効果的に得るためには、どのように食べるとよいのでしょうか?
ネギの食べ方のポイントを解説します。
殺菌作用を持つアリシンは熱に弱いため、アリシンを効率よく摂取するなら生で食べるのがおすすめです。
薬味、和え物、ネギソースなどの食べ方をするとよいでしょう。
ネギに含まれる水溶性のビタミンCやカリウムなどの栄養素は、煮たり茹でたりすると流れ出る性質があります。
ネギをそのまま焼いて食べる焼きネギなら、栄養素の損失が少なく済みます。
焼いたネギにポン酢をかける、めんつゆで煮びたしにする、塩こしょうをふるなど、さまざまな楽しみ方ができます。
先ほどお伝えした通り、ネギは青い部分も栄養豊富です。
いつも捨てているという方は、ぜひ以下の活用法で、ネギを余すことなく使いましょう。
<青い部分の活用例>
・薬味に使う
・炒め物や鍋物の彩りに使う
・青い部分だけを使って炒め物やソースを作る
または特別な使い方をしなくても、白ネギを使うときに青い部分も一緒に使う方法でもOKです。
硬さが気になる場合は、細く切ったり小さく切ったりと、切り方を工夫しましょう。
ネギは体によいからといって、食べすぎには注意しましょう。
とくに生でたくさん食べると、アリシンの刺激により、下痢や腹痛などを引き起こすことがあります。
毎日食べる場合の基準はとくにありませんが、バランスのよい食事の例を示す「食事バランスガイド」を参考にすると、70g程度がおすすめです。
ネギばかりにならないよう、ほかの野菜も取り入れましょう。
70gとは、白ネギ1本が100gであるため、およそ2/3本の量となります。
ただし、この量をすべて生で食べると刺激になる恐れがあるため、加熱したり量を調節したりしてみましょう。
体によいネギを食べるなら、せっかくならおいしいものを選びたいですよね。選び方のコツを知り、おいしいネギを楽しみましょう。
<根深ネギ(白ネギ)の見分け方>
・白い部分が長い
・みずみずしく光沢がある
・青い部分と白い部分の境目がはっきりしている
・白い部分の巻きがしっかりしている(触ったときに弾力がある)
<葉ネギや小ネギの見分け方>
・葉先が枯れていない
・青(緑)色が濃い
・葉がまっすぐに伸びている
「ネギを首に巻くと風邪が治る」という話を聞いたことがありませんか?
これは、ネギに含まれるアリシンの殺菌作用や抗炎症作用からいわれるようになったようです。
アリシンは揮発性(空気中で気体になること)があるため、首に巻くことで鼻や口からアリシンを吸い込むことができます。
そうすることで、鼻や喉の粘膜に付着した風邪ウイルスを殺してくれたり、鼻の通りをよくしたり、喉の痛みや咳を抑えてくれたりするのではないか、と考えられています。
もし行う場合は、かぶれや食物アレルギー予防の観点から食べ物を皮膚に直接つけるのはすすめられないため、ネギをさらしに巻くなどの対策をするほうがよいでしょう。
風邪を引いたときは、栄養のあるものを食べ、よく休養することが大切です。
ネギを巻くなどの情報を過信しないようにし、症状が続く場合は医療機関の受診も検討し、適切な治療を受けましょう。
今回の記事では「ネギの栄養」について管理栄養士が解説しました。
栄養豊富なネギには、さまざまなよい働きが期待されます。とくに冬は積極的に取り入れたいものです。
ほかの食べ物もバランスよく取り入れながら、健康づくりに役立てましょう。
最後に、ネギの栄養をたっぷり摂れるレシピをご紹介します。
ネギにお肉を巻けば、ボリュームのあるおかずに変身します。ネギの栄養素が流れ出にくく、ムダなく摂ることができます。
長ネギの肉巻き
長ネギ(白い部分)、豚バラ肉(薄切り)、焼肉のタレ
調理時間:15分
塩サバとあわせて、簡単なペペロンチーノパスタに。ネギの青い部分も使えば、彩りもよくなり栄養もたっぷりとれますよ。
塩サバと長ねぎのペペロンチーノ
塩サバ切り身、長ねぎ、スパゲティ、にんにく、赤唐辛子、塩・こしょう、オリーブオイル
調理時間:20分
生のネギをたっぷりとれる香味だれを使ったレシピです。お好みでネギの量を倍にしてもよいですよ。
カツオと水菜のサラダ香味だれ
カツオのたたき、水菜、○長ねぎ、○しょうが、○にんにく、○しょうゆ、○酢、○砂糖、○ごま油
調理時間:10分