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身近な果物であるりんご。りんごは栄養豊富といいますが、実際どのような栄養があるのでしょうか?
また「皮ごと食べたほうがよい?」「水につけないほうがよい?」なども気になりますよね。
今回の記事では「りんごの栄養」や「りんごにまつわる疑問」、また「おすすめの食べ方」について、管理栄養士が解説します。
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」というように、りんごには優れた栄養素がさまざま含まれています。
とくに注目すべきは「プロシアニジン類」をはじめとするポリフェノールで、抗酸化作用による健康づくりに役立つ効果が期待されています。
さらに詳しく、りんごに含まれている栄養素や栄養成分、期待される効能を確認してみましょう。
りんごにはプロシアニジン類などのポリフェノールが含まれており、さまざまな機能性があることがわかっています。
りんごのポリフェノールには、脂肪燃焼を促進させ体脂肪を減少させる作用や、血糖値の上昇を防ぐ作用がある可能性があるとされており、健康によい働きが期待されます。
またポリフェノールの抗酸化作用により動脈硬化を防ぐ作用もあり、肥満や生活習慣病が気になる方は積極的に取り入れたい果物です。
りんごには食物繊維が含まれ、整腸作用が期待されます。
中でも水溶性食物繊維であるペクチンは、腸内の善玉菌の増加を助けてくれ、腸内環境を整えてくれます。
ビタミンCは抗酸化作用があり、酸化によるダメージから肌を守り、肌を若々しく保つ手助けをしてくれます。
また日焼けによるメラニン色素の生成を防ぐ働きも期待されているなど、シミが気になる方も積極的に取り入れたい栄養素です。
カリウムはむくみや高血圧を防ぐ働きがあります。
むくみや高血圧の原因のひとつとなるのが塩分(ナトリウム)の摂りすぎです。
カリウムは余分なナトリウムを排出する働きがあるため、むくみや高血圧を防いでくれる、というわけです。
カリウムは野菜や果物をあまり食べない方は不足しやすい栄養素ですので、手軽に食べられるりんごのような果物からぜひ取り入れましょう。
※参照:文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
さまざまな栄養素が含まれるりんごですが「皮は食べたほうがよい?」「品種による違いは?」など、食べ方について疑問点も多いのではないでしょうか。
よくある疑問7つについてお答えしていきます。
りんごは皮ごと食べるほうがさまざまな栄養素を摂れます。
100gあたりの栄養成分値の違いを見てみましょう。
カリウムの量はどちらも変わりませんが、食物繊維やビタミンCは皮つきの方が優れています。
また果皮にはアントシアニンというポリフェノールが含まれ、果肉にはさほど含まれません。アントシアニンも抗酸化作用などの身体にうれしい機能をさまざま持っています。
りんごの栄養素をムダなく摂りたい場合は、皮ごと食べるほうがよいでしょう。
りんごの変色予防として、塩水につけることがありますが、ポリフェノールやビタミンC、カリウムなどの成分が溶け出てしまうことがあります。
そもそもりんごが変色するのは、ポリフェノールが空気に触れて酸化してしまうから。
身体に問題のある成分ではありませんので、すぐに食べるときは塩水につけず、そのまま食べましょう。
りんごには、ふじ、ジョナゴールド、紅玉、王林などさまざまな品種がありますが、日本食品標準成分表には品種による栄養成分値の違いは記載されていません。
平均的な栄養成分値の参考で問題ありませんが、品種によって考えられる差は以下のようなものがあります。
・糖度の高い甘い品種であればカロリーが高くなる可能性がある
・果皮の赤みが濃い品種であればポリフェノールの一種であるアントシアニンの含有量が高い可能性がある
そのほかのプロシアニジン類などのポリフェノール、食物繊維やビタミンCなどの栄養素はどのりんごにも共通して含まれる成分です。
品種による違いはそれほど気にしすぎる必要性は低いでしょう。
りんごは毎日食べても心配のない果物です。1/3個(約100g)あたりのカロリーは56kcalと、カロリーの心配も少なくなっています。
りんごは毎日続けて食べることで、さまざまな効能を得られやすくなります。
毎日の果物のレパートリーとして、ぜひりんごを取り入れてくださいね。
りんごは身体によいとはいえ、極端にたくさん食べるのはおすすめしません。
たとえば毎日りんご3玉を食べると、カロリーは540kcal、食物繊維は18gほどになります。
これは1食分のカロリーに相当し、食物繊維は1日分の目標量をほぼ満たす量です。
カロリーの摂りすぎは太る原因になり、食物繊維の摂りすぎはお腹の調子を崩したりほかの栄養素の吸収を妨げたりすることもあります。
りんごをたくさん貰ったり箱で買ったりした場合でも、りんごは続けて食べすぎないようにしましょう。
りんごの栄養素をムダなく摂るなら生で食べるほうがおすすめです。
りんごはジャムやコンポート、お菓子づくりなど加熱して使うことがありますが、ポリフェノールやビタミン、ミネラルの中には加熱することで壊れてしまったり、水に流れ出たりすることがあります。
ただし、加熱したからといって栄養素がすべてなくなってしまうわけではありませんので、たくさんある場合などは加熱調理してさまざまな楽しみ方をするのもよいでしょう。
りんごジュースでもりんごの効能が期待できる場合もありますが、ジュース類は嗜好品となるため、積極的に飲むのはおすすめできません。
ジュースになることで食物繊維がゼロになってしまうほか、咀嚼することがないため満足感を得られにくくなることや、糖質の摂りすぎにもつながってしまいます。
もし飲みたい場合は、ほかの甘いジュースを控え、飲みすぎないように量に気を付けるようにしましょう。
※参照:文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
りんごの適量や栄養素をムダなく摂る食べ方など、管理栄養士がおすすめする食べ方を紹介します。
りんごを毎日食べるなら、2/3個(約200g)を目安に取り入れましょう。
バランスのよい食事の組み合わせを示す食事バランスガイドによると、果物は毎日200gが目安とされています。
ほかにも果物を食べたい場合は、あわせて200gになるように調節しましょう。
先ほど伝えた通り、皮ごと食べるのがおすすめです。
食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれますので、栄養素をたっぷりと摂れます。
「皮は農薬がついているのでは?」と皮ごと食べることに不安を感じる方もいるかもしれません。
ですが残留農薬について、農作物を食べた人の健康に影響がないよう、食品衛生法により基準が定められていますので、安心して食べて問題ありません。
よく水洗いすることで残留農薬を減らせることと、汚れなどを落とすことができるため、よく洗って食べるとよいでしょう。
今回の記事では「りんごの栄養」について管理栄養士が解説しました。
身近な果物の代表ともいえるりんごですが、優れた栄養素や成分がさまざま含まれていることがわかりました。
甘酸っぱくてジューシーなりんごを、今年もたくさん楽しんでくださいね。