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辛いものを食べるとお腹を壊してしまったり、その後の予定に影響が出てしまうことがありますよね。
なぜ、辛いものを食べると腹痛が起こるのでしょうか。
今回の記事では、「辛いものを安心して食べるための工夫」「辛いものを食べてお腹が痛くなった時の対策」について、現役薬剤師が解説します。
辛いものを食べて腹痛が起こる理由は、辛味成分が関係しています。
辛味に含まれているカプサイシンなどの成分が、胃粘膜上の熱や辛味に反応する受容体に付き、痛みを引き起こしてます。
また、胃酸を過剰に分泌し、胃粘膜を荒らしてしまうことが原因です。
胃の負担を増加させ消化不良になったり、腸の働きを促し下痢や嘔気などにつながります。
辛い食べ物には様々な種類があります。
唐辛子やハバネロ、胡椒、山椒、わさび、からし(マスタード)生姜等が挙げられます。
基本的に、これらの香辛料が多く使われることで、スパイシーで刺激的な「辛い食べ物」となる場合が多くあります。
辛い食べ物は、全て腹痛につながるというわけではありません。
腹痛になりやすい辛い食べ物と、その辛さの成分は次の通りです。
唐辛子やハバネロには「カプサイシン」が含まれています。
カプサイシンは粘膜を傷つけやすく、胃粘膜が傷つくことで胃痛を感じやすくなります。
胡椒・山椒・生姜に含まれる成分は次の通りです。
・胡椒:ピペリン
・山椒:サンショオール
・生姜:ショウガオール、ジンゲロール
これらの成分は胃を温め、古くから消化不良や腹部膨満感、胃炎などに用いられてきました。
しかし、過剰に摂取すると、胃粘膜の熱の受容体に反応し痛みを発症させてしまうことがあります。
適量を摂るようにしましょう。
わさびやからし(マスタード)には「アリルイソチオシアネート」という成分が含まれます。
アリルイソチオシアネートは知覚神経を刺激し、神経原性の炎症を引き起こします。
それにより胃粘膜の血流を増やし、胃粘膜に炎症が起こり胃痛になります。
麻酔下ラットにおけるワサビ辛味成分アリルイソチオシアネートによる胃粘膜炎症 胃運動減弱を導く神経原性炎症の発生機序解析 潰瘍(2189-7956)48巻 Page43-47(2021.09)
辛いものがお好きな方は、なるべく腹痛を起こさずに料理を楽しみたいですよね。
実は、食べる前後にちょっとした対策をすることで、腹痛を起こす可能性を下げることができるのです。
前述の通り、辛い食べ物には腹痛を引き起こしやすい成分があります。
その成分を吸収しにくくするために、刺激の少ないものや油分が多いもの、乳製品などを先に食べるようにしましょう。
水分をよく摂り、胃の粘膜に辛味成分が触れている時間が長くならないようにしましょう。
また、生野菜には消化酵素が多く含まれているので、辛味成分の刺激から胃を守ってくれます。
辛いものを食べた後は、生野菜を意識的に摂取するとよいでしょう。
気を付けていても、体調やコンディションによっては辛いものを食べて腹痛が起こってしまうこともあるでしょう。
そんなときは、胃に優しく消化に良いものを食べましょう。おかゆやスープなど温かいものも胃痛に良いです。
腹痛がつらいときは、お薬を服用することも効果的です。
制酸薬や胃粘膜を保護してくれる胃薬がおすすめです。
もし腹痛が起こったとき、知っておくと安心なポイントは次の通りです。
腹痛症状には個人差があります。
軽い症状であれば30分以内に消失しますが、胃粘膜を強く傷つけてしまった場合は2、3日症状が残ることもあります。
辛いものに対するバリア機能は個人差が大きく、遺伝も影響しています。
また、育ってきた食生活によっても変わります。
普段から胃や腸が弱い方は、辛いものを食べる時に注意してください。
経験したことのないようなお腹の痛み、下痢が止まらず顔面蒼白、気が遠くなる、痙攣するなど、通常ではない症状があれば医師の受診をするようにしてください。
今回の記事では、「辛いものを安心して食べるための工夫」「辛いものを食べてお腹が痛くなった時の対策」について、現役薬剤師が解説しました。
辛い食べ物を摂るとなぜ胃痛や下痢になってしまうのか分かりましたね。
辛い食べ物を食べる時は適量を心がけ、対策をしっかりしてから摂りましょう。