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比較的安く手に入り、さまざまな料理に使えるあさり。
どのような栄養があるのか、ご存じですか?
しじみなどの似た貝に比べ、優秀なのかどうかも気になりますよね。
今回の記事では「あさりの栄養」や「おすすめの食べ方」について管理栄養士が解説します。
あさりはたんぱく質、カルシウム、鉄、亜鉛などの栄養素を含み、健康づくりを支えてくれる食べ物です。
とくに鉄が豊富であり、貧血の対策に有効です。
ほかにも体づくりや骨の健康維持など、さまざまな働きをしてくれます。
あさりはさまざまな栄養素を含みますが、実はほかの貝類と比較すると、ずば抜けて優秀とはいえません。
実際に、100gあたりの含有量の違いを見てみましょう。
たんぱく質、カルシウム、亜鉛の含有量は、ほかの貝の方より少なくなっています。
しかし、鉄はしじみに続く多さで、不足しがちな鉄の補給に役立つでしょう。
注目すべきはカロリーの低さです。
ほかの貝よりカロリーが低いため、カロリーを抑えながら栄養補給したいときに役立ちます。
また、あさりは貝の中でも比較的安く、手に入れやすいのも魅力です。
日常的な栄養補給にあさりがぴったりでしょう。
「冷凍のものは栄養がないのでは?」と思うかもしれませんが、その心配は必要ありません。
冷凍食品は急速冷凍されており、栄養素の損失が少なくなるように工夫されているのです。
一方、缶詰はどうでしょうか?
「日本食品標準成分表」には冷凍のあさりの栄養成分値は掲載されていないのですが、缶詰のあさりは掲載されています。
100gあたりの違いを確認してみると、以下の通りです。
生に比べると、缶詰の方が含有量が多くなっています。
鉄に関しては約7.9倍もの量で、鉄を豊富に含む食べ物の代表ともいえる、レバーよりも優れた含有量です。
生と缶詰のもので含有量が違う理由は、以下が考えられます。
・缶詰は加工の段階で水分が減っているため、見かけ上多いように見える
・分析されたあさりの産地などが異なる
あさりは缶詰になることでずば抜けて栄養豊富になるというわけではありません。
水分の差や、個体による差があると考えられるため、生でも缶詰でも、どちらも上手に活用したいものです。
あさりの旨味がたっぷり詰まった生のあさり、また手軽に使えるのがうれしい冷凍や缶詰のあさりは、目的や取り入れやすい方法で選ぶと良いでしょう。
具体的に、あさりに含まれる栄養素にはどのような効能が期待できるのでしょうか。
健康づくりを支えてくれる理由をお伝えします。
良質なたんぱく質とは、体内で合成されないアミノ酸がバランスよく含まれたたんぱく質のことであり、身体の中で効率的に使われます。
たんぱく質の不足は、筋肉量の低下や、体力、免疫機能の低下につながります。
毎食欠かさず取り入れましょう。
貧血になると、酸素を全身に運搬しにくくなり、疲れやすさや息切れ、頭痛などの症状が表れることがあります。
またスポーツをしている方は、貧血になることで運動機能の低下につながることも知られているため、とくに意識して摂取してください。
あさりにはカルシウムが含まれ、骨の健康づくりに欠かせません。
カルシウム摂取量が不足すると、血液中のカルシウム濃度を維持するために、骨からカルシウムが取り出され、スカスカになる原因となります。
日本人はカルシウム摂取量が不足気味のため、さまざまな食べ物から取り入れることが大切です。
亜鉛はたんぱく質の合成など成長に欠かせない役割や、免疫機能を調整する役割があります。
不足により、味覚障害、食欲不振、皮膚炎などが起こることが知られています。
また、子どもが不足した場合は成長障害がみられることもあり、成長期はとくに意識して摂りたい栄養素です。
コレステロール値の低下や、肝臓の解毒機能の強化など、さまざまな機能が期待されており、栄養ドリンクの成分として使われることもあります。
ほかにも血圧や血糖値へも有効性が期待されており、生活習慣病が気になる方にも良いでしょう。
※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」
あさりの栄養素は、ちょっとした工夫で効率良く摂取できるようになります。
食べ方のポイントを紹介します。
あさりはビタミンCとあわせて摂り、鉄の吸収率を高めましょう。
あさりは動物食品ではありますが、「非ヘム鉄」という植物性食品に含まれる鉄が多く含まれることがわかっています。
動物性食品に含まれるヘム鉄に比べ、非ヘム鉄は吸収率が低くなります。
ビタミンCとあわせて摂ることで非ヘム鉄の吸収を良くしてくれるため、ビタミンCを含むブロッコリー、ほうれん草、レモンなどと組み合わせると良いでしょう。
あさりに含まれる水溶性の栄養素は、調理の際に水に流れ出てしまうことがあります。
これをムダにしないためには、スープや煮物など、煮汁ごと食べられるメニューがおすすめです。
あさりから流れ出た栄養素はもちろん、溶けだしたうまみも余すことなく楽しめますよ。
あさりに含まれるカルシウムは、ビタミンDが吸収を助けてくれます。
あさりにはビタミンDが含まれないため、組み合わせて摂りましょう。
ビタミンDはきくらげや舞茸などのきのこ類、鮭やかつおなどの魚類に含まれます。
今回の記事では「あさりの栄養」や「あさりの食べ方」について管理栄養士が解説しました。
あさりはほかの貝に比べ栄養がずば抜けて豊富とはいえませんが、不足しがちな栄養素をさまざま摂ることができます。
おすすめの食べ方を実践して、あさりの栄養素をムダなく摂りましょう。
最後に、あさりの栄養素をムダなくたっぷり摂れるレシピをご紹介します。
手間がかかりそうに見えるアクアパッツァですが、切り身の魚を使えば簡単に作れます。
ビタミンDが豊富な鮭とあわせて、あさりのカルシウムの吸収を高めます。
鮭とあさりのアクアパッツア
生鮭、あさり、ミニトマト、いんげん、○白ワイン(もしくは酒)、○にんにくチューブ、塩・こしょう、オリーブオイル
調理時間:10分
あさりの旨味が溶けだした味噌汁は、豆乳がまろやかなコクを与えてくれます。
流れ出た栄養素もムダなく摂れますよ。
あさりの豆乳味噌汁
あさり(砂抜き済み)、無調整豆乳、小ねぎ(あれば)、味噌
調理時間:10分
あさりと菜の花で作るシンプルな味付けがおいしいレシピ。
菜の花の豊富なビタミンCが、あさりの鉄の吸収を助けます。
あさりと菜の花のシンプル酒蒸し
**菜の花、**あさり(砂抜きしたもの)、日本酒
調理時間:10分