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小麦アレルギーや卵アレルギーなど、世の中にはさまざまな食物アレルギーがあります。
数ある食物アレルギーの中でも「コーヒーアレルギー」については、あまり知られていないのではないでしょうか。
そこで本記事では「コーヒーアレルギーの症状や検査方法」をはじめ「カフェインによる体調不良とのちがい」について、管理栄養士が解説します。
コーヒーアレルギーは、食物アレルギーの一種です。
コーヒーを飲んだあとにアレルギー反応が起こり、湿疹やかゆみ、下痢などの症状があらわれます。
食物アレルギーは、症状があらわれるまでの時間によっておおきく2つに分けられます。
1つ目は、食後数分から2時間と早いタイミングで症状がみられる「即時型食物アレルギー」。多くの食物アレルギーがこちらに分類されます。
即時型アレルギーの反応には、原因となる食べ物に対して体内で作られるIgE抗体というたんぱく質がかかわっています。
2つ目は、発症までに数時間から数日かかる「非即時型(遅延型)食物アレルギー」とよばれるタイプのもの。コーヒーはこちらの原因食品になることがあります。
コーヒーアレルギーのおもな症状は、湿疹、かゆみなどの皮膚症状や、下痢などです。
前述の通り、発症まではコーヒーを飲んで2時間以上経ってから、中には数日かかることもあります。
ただし、症状が出るまでの時間や症状には個人差があります。
もしかしたらコーヒーアレルギーかも?と気になる方は自己判断するのではなく、医療機関で診てもらいましょう。
※参照:日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021 ダイジェスト版」, 独立行政法人環境再生保全機構「ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー基礎知識」
コーヒーアレルギーのような非即時型食物アレルギーは「食物除去試験」や「食物経口負荷試験」といった検査で診断します。
食物除去試験では、アレルギーの原因だと思われる食品を一定期間完全に控え、気になる症状が出ないかを調べます。
ここでおおよその見当がついたら、原因食品を確定させるために食物経口負荷試験がおこなわれます。
アレルギーを引き起こすと推定される食品を実際に摂取しておこなう診断が、食物経口負荷試験です。
コーヒーアレルギーが疑われる場合には、コーヒーの量を少しずつ増やしながら摂取し、本当にアレルギー症状が出るかどうかを確認します。
少しずつ摂取量を増やすことで「食べられる量」を決定し、原因食品を完全に禁止すべきなのか、少しなら食べてもよいのかなどを見極めます。
食物除去試験は実際に原因食品を食べるため、重度のアレルギー症状が起こるリスクもあります。
自己流でおこなわず、かならず医療機関を受診し、主治医と相談しながら慎重にすすめましょう。
非即時型食物アレルギーの検査の1つに「血中食物抗原特異的IgG抗体検査」という血液検査があります。
採血だけでおよそ90品目以上の食品を一度に検査できるため、興味のある方も多いように見受けられます。
しかし、日本アレルギー学会や日本小児アレルギー学会からは、「血中食物抗原特異的IgG抗体検査を推奨しない」という見解が発表されています。
食物アレルギーの原因食品を診断する目的で使うのにはおすすめしない、ということです。
「血中食物抗原特異的IgG抗体検査」で診断した原因食品を普段の食事から除去した場合、本当の原因ではない食品まで除去してしまう可能性があること。また、多くの食品を取り除くことで栄養がかたより、健康を損なうおそれがあることを理由としています。
現段階では、こちらの検査結果は参考程度にとらえておくのがよいでしょう。
※参照:独立行政法人完全再生保全機構「医療トピックス:知っておきたい 食物アレルギーの診断と検査の方法」, 独立行政法人環境再生保全機構「ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー基礎知識」, 日本アレルギー学会「血中食物抗原特異的 IgG 抗体検査(IgG4 などのサブクラス抗体を含む)に関する注意喚起」
コーヒーを飲み過ぎたとき、めまいや頭痛、胃痛、下痢、吐き気などの症状に悩んだことはありませんか?
これはカフェインの摂り過ぎによる体調不良かもしれません。
コーヒーアレルギーのような食物アレルギーは、ある特定の食品を異物だと身体が認識し、排除しようと過剰に免疫システムが働くことで起こります。
一方でカフェインによる体調不良は、牛乳を飲むと下痢を生じることがある「乳糖不耐症」と同じ「食物不耐症」の1つです。
体内の免疫システムがかかわっていない点がアレルギーと異なります。
カフェインの過剰摂取による症状は、基本的に摂取後数時間ほどであらわれます。
またカフェインが原因となるため、コーヒーだけでなくエナジードリンクや緑茶などを多量に飲んだときにも起こるおそれがあります。
カフェインの感受性が高い人だと、少量のコーヒーを飲んだだけで体調が悪くなることも。
カフェインの過剰摂取は最悪の場合死に至るケースもあるので、コーヒーの飲み過ぎには注意が必要です。
先に説明したように、食物アレルギーの発症にかかる時間や症状は人それぞれ異なります。
そのため、コーヒーを飲んだあとの体調不良が食物アレルギーによるものなのか、それともカフェインによるものなのか、判断するのはとても困難です。
迷ったらまずコーヒーの摂取を控え、食物アレルギーの診療を行っている医療機関を受診してみましょう。
※参照:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」, 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の素材情報データベース」. 食品安全委員会「ファクトシート 食品中のカフェイン」
今回の記事では「コーヒーアレルギーの症状や検査方法」をはじめ「カフェインによる体調不良とのちがい」について、管理栄養士が解説しました。
食物アレルギーを自分で判断することは難しいことです。
「コーヒーを飲んだあとに気になる症状が出る」とお悩みの方は、現状を把握するためにも医療機関を受診しましょう。
主治医に相談し、適切な治療を受けるようにしてくださいね。