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健康に良いイメージのある納豆。でもいくら身体に良いとはいえ、納豆を食べすぎると影響があるのでは?と心配になる方もいるかもしれません。今回は、納豆の食べすぎによるデメリットや、適切な量を管理栄養士が解説します。健康づくりに役立つ納豆を、適切に取り入れましょう。
納豆は原料である大豆の栄養素を豊富に含み、また納豆菌によりさまざまな効能が期待されています。詳しくみると、以下の栄養素や成分などがあります。
・鉄…貧血の予防に
・カルシウム…骨の健康づくりに
・カリウム…むくみ解消や高血圧予防に
・納豆菌…腸内環境を整え便秘対策に
・ナットウキナーゼ…血液サラサラ効果を期待
また納豆などの発酵性大豆食品をよく食べる人は、発酵性大豆食品の摂取が少ない人に比べ、死亡リスクが低かったという研究報告もあります。(※)
このように納豆には、さまざまな面から健康づくりを支えてくれます。ぜひ、毎日でも取り入れたい食べ物です。
とはいえ、納豆の食べすぎは栄養素や成分の過剰摂取につながる恐れがあり、デメリットもあります。食べすぎに気をつけたい理由について、確認してみましょう。
納豆には大豆イソフラボンが含まれ、適量であれば骨粗しょう症予防、更年期障害の症状軽減などの働きが期待されています。
しかしイソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと同じ働きをすることから、乳がんや子宮筋腫のリスクを高める可能性があることも知られています。
だからといって大豆製品を完全に避ける必要はありませんが、納豆に限らず大豆製品を続けてたくさん食べることは控えましょう。
納豆のとりすぎにより、痛風のリスクとなることがあります。痛風とは、血液中の尿酸値の高値が続くことによって起こり、足の親指の付け根あたりに激痛を引き起こすものです。
納豆にはプリン体が含まれ、体内で尿酸に代謝されます。プリン体の1日の摂取量は400mgほどが推奨されており、納豆1パック(45g)には51.3mgのプリン体が含まれるため、8パック食べると超える計算です。
ほかの食べ物にもプリン体は含まれるため、納豆に限らず、同じ食べ物ばかりが続かないよう気をつけましょう。
納豆は1パック(45g)あたり86kcalほどで、たれも含めると100kcal近くあります。ヘルシーだからと食べすぎると、かえって太る心配があります。
たとえば毎食納豆を取り入れて1日3パック食べると、300kcalほどになる計算です。おにぎり2個分のカロリーとほぼ同等ですので、知らず知らずのうちにカロリーを摂りすぎる恐れがあります。
脳梗塞を予防する目的などで使われるワーファリンという薬を飲んでいる方は、納豆の量に関わらず、納豆の摂取をしてはいけません。
「少量なら?」「薬との間隔を空ければ?」と思うかもしれませんが、ワーファリンの作用を邪魔するビタミンKが豊富であることと、納豆菌が腸内でビタミンKを産生してしまうため、絶対にNGなのです。
該当の薬を処方されている場合は、すでに医師や薬剤師から説明があっているかと思いますが、薬との飲み合わせが心配であれば医師や薬剤師に必ず相談しましょう。
納豆ばかり食べることで食事が偏ると、栄養バランスが崩れて思わぬ不調を引き起こすことも考えられます。
納豆にはビタミンAやビタミンD、ビタミンB12、ビタミンCなどの栄養素がほとんど含まれず、ほかの肉や魚、野菜から摂る必要があります。さまざまな食べ物をまんべんなくとりましょう。
納豆菌は作用が強いため、とりすぎると腸内環境が乱れるのでは……と心配する方もいるかもしれません。ですが、これは心配する必要性が低いものです。
むしろ納豆菌は腸内細菌が増える手助けをしてくれ、便通をよくしてくれます。
極端な食べすぎにより、消化不良を起こしてお腹を壊すことは考えられるかもしれませんが、通常考えられる範囲では心配しなくて良いでしょう。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,農林水産省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」,日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版,独立行政法人医薬品医療機器総合機構「くすりQ&A 食品とくすり」
納豆の適量は、1日1パック程度を目安にすると良いでしょう。明確な決まりがあるわけではありませんが、この量であれば、毎日続けて食べても過剰摂取の心配が少ない量です。
たまに多く食べる分は心配ないと考えられますが、毎日のように続けてたくさん食べるのは控えましょう。
身体に良い納豆でも、食べすぎによりデメリットや身体の不調を引き起こすこともあります。1日1パックを目安に、正しく納豆を取り入れましょう。