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6月頃から出回りはじめ、夏から秋にかけて旬を迎えるぶどう。ぶどうは栄養豊富ともいいますが、実際どのような栄養や効能があるのでしょうか?また皮ごと食べた方が良いのか、ブルーベリーなどと比べると栄養豊富なのかどうかも気になりますよね。今回はぶどうの栄養について、管理栄養士が解説します。
ぶどうの栄養は実の部分はもちろん、皮にも摂りたい栄養が詰まっています。皮ごと食べられる品種であれば、ぜひ皮ごと食べるのがおすすめです。
皮つきで食べた場合、具体的にどの程度違うのか、100gあたりの含有量を比較してみましょう。
どの栄養素も、皮つきの方が優れていることがわかります。ポリフェノールは皮の部分に多く含まれるため、皮つきのぶどうのみ測定されています。
皮ごと食べられるぶどう以外のぶどうの皮も、食べても問題はありませんが、渋みや硬さが気になる場合もあります。皮に栄養が含まれているのは事実ですが、実にも栄養は詰まっていますので、どちらでもお好みで食べると良いでしょう。
先ほど比較した栄養素や成分について、働きや期待される効能を紹介します。
ぶどうに含まれるポリフェノールは、老化や免疫機能低下に関わる活性酸素の発生を抑えたり、取り除いてくれたりする働きがあります。
ぶどうの皮の部分に主に含まれますが、実の部分にも含まれることがわかっています。
カリウムはむくみ解消に役立ちます。カリウムには余分なナトリウムを排出する働きがあるため、ナトリウムの摂りすぎが原因となるむくみをすっきりさせてくれる、というわけです。
ほかにも、高血圧の予防効果も期待されているなど、カリウムは不足することなく摂りたい栄養素です。
食物繊維は便の材料となるほか、腸内で善玉菌が増えるのを助けてくれるため、便秘対策に欠かせません。
ほかにも、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えたりコレステロール値を下げたりと、健康づくりにも役立ちます。
β-カロテンは体内でビタミンAとして働き、目や皮膚を正常に保ってくれる働きがあります。不足すると、粘膜の乾燥や免疫機能低下に関わることもわかっています。
※参照:文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ぶどうと似た果物にブルーベリーがありますが、どちらが栄養豊富なのでしょうか?
100gあたりの含有量の違いは以下の通りです。なお、ブルーベリーは皮つきのまま食べるため、ぶどうも皮つきのものと比較しています。
カリウムはぶどうの方が豊富ですが、食物繊維とβ-カロテンはブルーベリーの方が多く含まれています。
またブルーベリーのポリフェノール含有量は日本食品標準成分表には記載がありませんが、ある資料によると、ポリフェノールの一種であるアントシアニンの含有量は100~180mgとなっています。
ぶどうのポリフェノール量と一概に比較できませんが、どちらもポリフェノールの良い供給源となると言えます。
どちらが栄養豊富とは言いにくい結果なのですが、食物繊維をたっぷり摂りたいときはブルーベリー、カリウムを補給したいときはぶどう、と目的に合わせて選ぶのも良いでしょう。
※参照:農林水産省「主な果物の健康機能性」,文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
ぶどうには、大粒ぶどうである巨峰やピオーネ、小粒ぶどうであるデラウェア、また黄緑色のマスカットなどさまざまな種類がありますが、品種による栄養成分値の明らかな違いはないとされています。(※)
栄養を摂るためにはとくにどの品種が良い、ということはありませんので、お好みのぶどうを選んで良いでしょう。
※参照:文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
ぶどうを皮ごと食べるときに知っておきたい注意点をお伝えします。
ぶどうの皮に農薬がついているのでは、と心配があるかもしれません。ですが農薬には使用基準が設けられており、食品に残る農薬はほとんどないか、健康に影響しない量に抑えられているため、心配は不要です。
一般的には水洗いすることで残留農薬を減らせることがわかっているため、気になる場合はしっかり洗い流しましょう。
※参照:農林水産省「野菜や果物を洗ったり皮をむいたりする必要はあるの?」
ぶどうやミニトマトなどの球状のつるつるした食べ物は、子どもは噛み切れずに丸のみしてしまう場合があり、窒息のリスクがあります。
子どもにあげるときは、皮を剥き、4等分など食べやすい大きさに切るようにしましょう。
※参照:消費者庁「Vol.549 ミニトマトや大粒のブドウは4等分しましょう!」
ぶどうにはさまざまな栄養素が含まれ、期待される効能もたくさんあります。皮ごと食べられるものはぜひ皮ごと食べ、豊富な栄養を逃さず食べてくださいね。