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下着からコートまで、あらゆる衣類に使われるポリエステル。
ウールのように縮んだりせず、シワにもなりにくいポリエステルは、おしゃれ着でも自宅で洗う方が多いのではないでしょうか?
ホリエステルは、ほんのちょっとしたコツでキレイに洗えるようになります。一方で、間違った洗濯方法で洗うと黒ずみが出てしまうことも。
今回の記事では、クリーニングのプロが「ポリエステル素材の洗い方と正しい保存方法」について解説します。
ポリエステルは、綿や麻といった天然繊維に似せて人工的に作られた化学繊維です。
原料はポリエチレンテレフタレートという樹脂を糸状にしたもので、実はペットボトルと同じ素材でできています。
衣類に加工しやすい原料なので、大量生産に向いています。私たち消費者からしても、色鮮やかなデザインが多く安価でしわになりにくく、便利な素材ですよね。
とても身近な素材なので、クローゼットにポリエステルの衣類が1枚も入っていないご家庭は少ないのではないでしょうか。
【ポリエステルの特徴】
・シワが付きにくい
・素材として強い
・色鮮やかに染まる
・安価である
【ポリエステルの注意点】
・毛玉が発生しやすい
・静電気が起きやすい
・再汚染しやすい
ポリエステルの衣類は水や洗剤に強く、ウールやシルクのように縮んだりしないので、多くの場合は自宅で洗えます。
シワがつきにくく、脱水時間を短くするだけでアイロンも必要ありません。
そんな便利なポリエステルですが、注意点もあります。
「洗うたびに黒ずんできた」
「ちゃんと洗濯したのに臭いが落ちない」
ポリエステル素材にこのような悩みを感じたことはありませんか?
実はポリエステルは、汚れや臭いを吸着しやすい素材なのです。汚れた衣類と一緒に洗うと、汚れを吸着してすぐに黒ずんでしまいます。
ポリエステルの素材を洗う場合は、「汚れた衣類と一緒に洗わない」というのが鉄則です。
そして、ポリエステル素材で特に注意したいことが「臭い」です。
汗をかいてもすぐに乾くポリエステル素材を使った「機能性インナー」というものが増えてきました。
その機能性インナーは、臭いがつきやすく落としにくい衣類なのです。
機能性インナーはとても薄い素材ですが複雑な構造になっています。
肌に近い場所の繊維は太く、外側にいくに従って繊維が細くなる多重構造になっています。
太い繊維から細い繊維に水分を吸い上げることで「毛細血管現象」が起こり、汗を素早く繊維の外に発散させることができるんです。
そんな機能性インナーは、汚れや臭いを吸着しやすいポリエステルを使っている上に、多重構造になっているため、水分が蒸発したあとの脂分がべったりと繊維にこびりつき、しつこい臭いとなって残ります。これが本当に厄介で、一度ついてしまうとなかなか取れません。
そのため、ポリエステル素材は着用したらできるだけ早く洗うことが大切です。
ポリエステルは、薄手の衣類から厚手のニットまで幅広いタイプの衣類に使われている素材です。
しかし、ポリエステルであれば全てお家で洗濯できるかというと、そうでない衣類もあります。
基準になるのは洗濯表示マークです。
水洗いできる表示があれば、自宅で洗えます。
洗濯表示に中性洗剤の指定がなければ、洗剤は弱アルカリ性のものを使いましょう。
中性洗剤よりも弱アルカリ性の洗剤のほうが洗浄力が高いためです。
また、ポリエステルは発色がキレイなものが多いので、弱アルカリ性の洗剤の中でも蛍光剤が配合されていない洗剤を選ぶようにしてください。
蛍光剤は白く見える塗料を衣類の上に塗るようなものなので、色柄ものに使うと色褪せたように見えてしまうことがあります。そのため、色鮮やかなポリエステルには使えません。
また、ポリエステルは毛玉ができやすいので、洗濯ネットは必須です。
①シミぬき
目立つ汚れがあるようなら、事前に洗剤をつけて優しくもみ洗いします
②洗濯ネットに入れる
毛玉を避けるために洗濯ネットに入れて洗います。
③蛍光剤の入っていない弱アルカリ性の洗剤を使う
洗う衣類が白物なら蛍光剤は入っていても大丈夫です。
④すすぎは2回
洗濯洗剤が衣類に残ると黒ずみになるので、すすぎ1回の洗剤を使っていてもポリエステルの場合は2回すすぐことをおすすめします。
⑤静電気が気になる場合は柔軟剤を使う
静電気対策に柔軟剤の使用が有効ですが、柔軟剤が向かない衣類もあるので注意しましょう。
いわゆる「速乾インナー」など肌に直接触れるものは、表面を油分でコーティングする柔軟剤を使うと汗の蒸発を阻害する場合があります。
⑥脱水は1〜2分
乾きやすいポリエステルは部屋干しでも脱水は短くても大丈夫です。
脱水時間が短いほうがシワもつかず、アイロンがけが必要なくなります。
①30度くらいのぬるま湯におしゃれ着用洗剤をよくとかします
容器の大きさは洗いたい衣類がつかる程度です。
②おしゃれ着用洗剤でつけ置き
ポリエステル衣類の場合は2時間くらいのつけ置きがベストです。
③軽く押し洗い
ポリエステルは摩擦により毛玉ができやすいので、強く擦ったりせずに優しく押し洗いします。
④すすぎはしっかり
洗剤が残ると黒ずみの原因になってしまうので、泡が完全に出なくなるまで水を何度か入れかえてしっかりすすぎます。
柔軟剤を使う場合は最後に規定量を入れて5分ほどおいて脱水。
⑤脱水
タイマー1分で洗濯機の脱水機を使用すると楽です。
型崩れが心配な場合は、洗濯機は使わずにバスタオルタオルに衣類を挟んでタオルドライします。
臭いがついてしまったポリエステルは、通常の洗濯洗剤ではなかなか臭いが取れません。
その場合は、逆性石けんで消臭すると、ポリエステルに染み込んだ嫌な臭いもすっきり解消します。
逆性石けん液は、医療や介護の現場でよく使われる除菌(殺菌)液です。「石けん」という名前ですが、洗浄力はなく菌だけを殺菌する効果があります。
逆性石けんを500倍に薄めて臭いが気になるポリエステル衣類をつけ込みます。
①逆性石けんを500倍に薄めて衣類をつけ置き
臭いが取れやすい綿や麻なら2時間で消臭できますが、ポリエステルは6時間くらいかかるので、夜寝る前につけ置きして、朝に洗濯機で洗濯というタイムテーブルがおすすめです。
②逆性石けんはすすいでから洗濯機で洗濯
逆性石けんは洗剤の洗浄力を弱めてしまうので、必ずすすいでから洗います。
③洗濯
逆性石けんがすすげたら、洗剤を使って洗濯機で普段通りに洗濯。
これで、ポリエステルに付いたしつこい臭いもスッキリ落とすことができます。
逆性石けんは500gで500円ほどでドラッグストアで購入できます。臭いで悩んでいる方は試してみてください。
ポリエステル素材の衣類は、基本的にはハンガーにかけて陰干しします。
紫外線に当てると光脱色や光変色を起こしやすい素材なので、直射日光は避けて裏返しにして陰干しすると安心です。
また、ポリエステルのニットはヨレやすいので、ハンガーにはかけずに平干しします。
ポリエステルはヨレたり伸びたりしてしまうと絶対に元には戻りませんので、干す際は無理にひっぱらないないように気をつけます。
ポリエステル素材はなんとなく乾燥機にかけない方がよいイメージがありますが、家庭用乾燥機であればご使用いただいて問題ありません。
化学繊維の中では熱に強いポリエステルの耐熱温度は238~240℃ほど。
家庭用の乾燥機は80度くらいなので、使用しても大丈夫でしょう。
※衣類の表示をしっかりご確認ください
しかし、洗濯表示にタンブル(タンブラー)乾燥の禁止マークがついている場合は使えません。
洗濯表示マークに従ってください。
ポリエステルは天然素材のウールやカシミヤと違い、虫食いの心配がほとんどありません。
しかし、紫外線による色の変色が起こりやすい素材です。
蛍光灯も太陽光ほどではないですが、紫外線を発しています。
そのため、ポリエステルの色鮮やかさを保つためには、蛍光灯の光が届かないようにカバーをかけたり、光の通しにくい袋に入れるなどの工夫が必要です。
今回の記事では、クリーニングのプロが「ポリエステル素材の洗い方と正しい保存方法」について解説しました。
・洗浄力の強い弱アルカリ性の洗剤を使う
・汚れたものと一緒に洗わない
・光脱色しやすいので日光に当てすぎない
ポリエステルは水に強い素材なので、自宅で洗う機会も多いでしょう。
しかし、汚れや臭いを吸収しやすいので、日々の洗濯には洗浄力の強い弱アルカリ性の洗剤で洗うことをおすすめします。
長期保存するときは、なるべく光を当てないように気をつけることで、いつまでも美しい発色を維持することができます。
ちょっとした手間でポリエステルは見違えるようにキレイに洗えるので、ぜひお試しください。