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ついうっかり、白シャツにボールペンの染みを付けてしまい、洗濯しても落ちない……
そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
実は、ボールペンのインク染みは、インクの種類が分かればお家で落とせる場合もあることをご存じですか?お気に入りのシャツについたボールペンの染み、まだ諦めないでください!
今回の記事では、クリーニングのプロが「衣類についたボールペンの汚れや染み抜き方法」を解説します。
メイク落としシートや除菌剤など身近なものを活用した「ボールペンインクの種類別染み抜き方法」を見ていきましょう!
ボールペンのインク染みは、洗濯に入れて洗っただけでは取れないものがほとんどです。
しかし、洗濯機で洗う前に適切な処置をすることで、ボールペンの染みは意外と簡単に落とせる場合があります。
ボールペンのインクの種類は大きく分けて4つに分類されます。そして、インクのタイプによりシミ抜きの方法が違います。最初に間違った対処をするとより強固な染みとなり、落とすことが難しくなっていきます。そのため、大切なのはインクのタイプにマッチした方法を選ぶことです。
まずはボールペンのインクタイプを見分けていきましょう。
現在ボールペンに使われているインクは、次の4つのタイプに分類されます。
・油性
・水性(今の水性ボールペンはほぼジェルタイプ)
・エマルジョン
・フリクション(摩擦でインクが消えるタイプ)
それぞれの特徴は、次の通りです。
以前であれば、水を付けるとインクがにじむことで水性と油性を判別できましたが、現在は耐水性を上げたジェル(ゲル)インクが使用されているため、見分けることが難しくなっています。
例えば、ペットボトルなどのプラスチック素材に試し書きをし、こすっても落ちないようであれば油性の可能性が高まりますが、確実というわけではありません。
ボールペンのインクの種類を見分けるには、商品名でネット検索することが一番簡単かつ確実です。
ほとんどのボールペンは、ボディに商品名が書かれています。スマホなどで商品名を検索すると商品詳細が検索結果に現れるので、そこでインクのタイプを確認しましょう。
ボディに商品名がない場合は、芯にメーカー型番が記されています。
この場合は「ZEBRA NC0.5」と検索するとボールペン芯の詳細を調べることができます。
残念ながらインクのタイプが判別できない場合、またはウールやシルクといったデリケート衣類に付いてしまった場合は、自宅で染み抜きするのは難しいでしょう。
そのような場合は、無理にご自身で対応しようとせず、クリーニング店に任せてください。
それでは、それぞれのインクタイプの特徴と染み抜きの方法を見ていきます。
・水だけで洗う
・弱アルカリ性の洗濯洗剤
・メイク落しシート
・無水エタノール
・除光液
・消しゴム
・ウタマロ石けん
・漂白剤
・重曹
上記の9通りの方法を試してみました。結果は次の通りです。
使用した素材は、汚れがもっとも落としにくい綿100%の布です。
1つの方法にかける時間は最長2分とし、ボールペンの染み抜き結果は上記画像の通りとなりました。
上記の結果を踏まえ、「油性」「水性」「エマルジョン」「フリクション(消せるインク)」の4タイプのインクにはそれぞれどんな染み抜き方法が適しているか、見ていきましょう。
油性インクに効く方法は、洗濯用の粉末洗剤、ウタマロ石けん、無水エタノールの3つの方法です。
順番に説明します。
洗浄力の強い粉末洗剤であれば、洗濯機で洗っただけでもある程度キレイにインク染みを落とすことができます。
ただし、粉末洗剤を使用する際の注意点として、蛍光剤が入っているものは生成りの衣服には使えません。
蛍光剤は、紫外線が当たると白く見えるように衣類をコーティングする成分です。
黄ばみを打ち消す効果があるため、生成りなど黄色基調の衣類に使用すると色が抜けたようになってしまいます。
粉末洗剤を使う場合は、製品の注意書きをチェックしてご使用ください。
ウタマロ石けんは、ドラッグストアなどで100円前後で販売されている衣類用の石けんです。
インクのタイプに関係なく、ボールペンの染み抜きに有効でした。
衣類にボールペンのシミをよくつけてしまうという方は、常備しておくと便利でしょう。シャツの黄ばみもしっかりおとしてくれます。ただし、ウタマロ石けんも蛍光剤入りのため、生成りの衣服には使えません。
無水エタノールとは、純度が99.5%以上のアルコールです。
ドラッグストアで500ml入りが1000円前後で販売されています。
アルコール除菌剤として常備されているご家庭も多いのではないでしょうか。
無水エタノールは消毒だけでなく、油性の溶剤を分解するので油性マジックや油性ボールペンの汚れを落とすことができます。
汚れのついた衣類の下に汚れてもいいタオルを敷き、無水エタノールの原液をつけた綿棒でシミを叩き落としていきます。ある程度インク染みが取れたら洗濯機で洗います。
素材によっては色落ちしてしまうこともあるため、目立たない場所で試してから使用してください。
水性インクに効く方法は、ウタマロ石けん、メイク落としシートの2つの方法です。
順番に説明します。
油性ボールペンと同様に、水につけた衣服にウタマロ石けんをこすりつけてからこすり洗いしてください。蛍光剤入りなので、生成りの服には使えません。
ジェル系のアイライナーやアイシャドウも落とせるメイク落としシートは、ボールペンのジェル(ゲル)インクの染みも落としてくれます。
メイク落としシートをインクがついた衣服によく染みこませてから、インク汚れを摘むように取り除きます。
ある程度インク染みが目立たなくなったら洗濯機で洗ってください。
人間の肌に使えるものなので刺激性は低めですが、色落ちの可能性はゼロではありません。念のため、目立たないところで試してから使用することをおすすめします。
エマルジョンインクとは、ゼブラが開発した油性と水性の特徴を持つインクです。
油性と水性の特徴を持っているため、何段階かにわけて染み抜きする必要があります。
そのため、衣類のダメージを考えるとプロに頼んだほうがより確実でしょう。
お家で落としたい場合は、ウタマロ石けんが有効です。同じく、蛍光剤が入っているので生成りなど黄色味のある衣類には使えません。
フリクションインクは、インク染みの中では落しやすい汚れです。付いてすぐなら水でこすり洗いするだけでも落ちます。
60度以上の温度でインクが透明になる性質があるため、アイロンを使う方法が紹介されている場合があります。
しかし、アイロンの熱を当てるだけでインク染みは見えなくなりますが、消えてるわけではありません。
熱で見えなくなってもインク染みが消えたわけではなく、温度が下がると色が復活する場合があります。
右端がアイロンで透明化したフリクションインクです。
冷凍庫に入れて冷やしたところ、色が戻ってしまいました。
そのため、フリクションインクの染みを完全に落したい場合は、洗った方が確実です。
ボールペンの汚れが付着すると、つい慌てて水でこすってしまったり、洗ってしまったりすることもあるでしょう。
しかし、インクの種類によっては、水でこすることで汚れが滲んで広がってしまうことがあります。
また、一度洗って乾かすことでインクが素材に定着してしまい、より頑固になりとりにくくなってしまいます。
まずは慌てずにインクの種類を特定してください。その後、適切な方法で染み抜きを行うようにしましょう。
大切な衣類であったり、インクの種類が分からない場合は、ご自身で無理して染み抜きをしようとせず、クリーニング店にお任せすることをおすすめします。
今回の記事では、クリーニングのプロが「衣類についたボールペンの汚れや染み抜き方法」を解説しました。
ボールペンの染みはインクの種類によって落し方が変わります。
最初に間違った対処をしてしまうと、より強固で落としにくい汚れに変わるので注意が必要です。
・油性:アルカリ系洗剤かアルコール
・水性:メイク落としシートかウタマロ石けん
・エマルジョン:ウタマロ石けん
・フリクション:水洗いでOK
基本的な染み抜き方法として、上記を覚えておきましょう。
衣類の種類によっては蛍光剤入りの洗剤は使えないため、注意してください。
また、インクのボタ落ちなど大量のインクがついた場合は自宅で染み抜きするのは難しくなりますので、難しいなと思ったらクリーニング店などのプロを頼ってください。