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胡麻和えやお浸しなどでほうれん草をゆでたとき、ゆですぎて失敗してしまったことはありませんか?
ほうれん草のゆで時間は、思っているより「短く」するのがおいしくゆでるポイントです。今回は、ほうれん草の適切なゆで時間やおいしいゆで方をはじめ、ゆで時間による食感や味わいの違いについて、管理栄養士が解説します。
ほうれん草は火の通りが早いため、お湯でゆでる場合はとにかく短く。40秒ほどでOKです。
初めに茎の部分を30秒ゆで、葉を沈めてさらに10秒ゆでて水にさらします。ゆで時間が短いとアクが抜けにくく、えぐみが残ることがあるため、2~3分しっかりと水にさらすと良いでしょう。
電子レンジで加熱する場合は、600Wで1/2束1分、1束1分30秒~2分ほどが目安です。様子を見ながら加熱するようにしてください。
鍋でのゆで方、電子レンジでの加熱の仕方について、続けて詳しく紹介します。
まず、ほうれん草を水でよく洗います。根元に泥や土が残っていることがあるため、水を張ったボールなどに浸けてしっかりと洗いましょう。
ほうれん草の根元に十字に切り込みを入れます。こうすることで根元の火の通りがよくなり、ゆでムラができにくくなります。
鍋に湯を沸かし、塩を入れます。水1リットルに対し、小さじ2が目安です。葉の部分を持ち、茎の部分を湯につけます。そのまま30秒数えます。
葉の部分を箸などを使って沈め、10秒数えます。浅いフライパンなどでゆでる場合は、一度上下を返してください。
10秒経ったら取り出して、すぐに冷水に浸し、2~3分水にさらします。
水けをよく絞り、使いたい大きさに切ってください。
ほうれん草のベストなゆで時間は40秒とお伝えしましたが、長くゆでると食感や見た目はどう変わるのでしょうか?
・40秒(茎30秒+葉10秒)
・1分30秒(茎30秒+葉1分)
・3分(茎1分+葉2分)
この3パターンを比べてみましょう。
おすすめのゆで時間である40秒ゆでたほうれん草は、葉も茎の部分もシャキっとした食感があります。
見た目もきれいで、和え物やおひたし、炒め物、スープなど、さまざまな料理に使えるでしょう。
1分30秒ゆでたほうれん草は、40秒ゆでたものに比べるとやわらかいものの、シャキっとした食感も少し残っています。
長くゆでたためかほうれん草の甘みが引き出されており、おいしく食べられました。やわらかい食感が好きな方や、噛む力の弱い小さい子どもや高齢の方などはこのゆで時間でも良さそうです。
3分ゆでたほうれん草は、見た目がクタっとしています。食べてみるとシャキシャキ感はなく、とてもやわらかい噛みごたえ。大人が食べるとほとんどの人が「ゆですぎたかな?」と思うであろう食感です。
噛む力が弱い方には良いかもしれませんが、やはり3分はゆですぎかもしれません。
検証の結果、ゆで時間は好みにもよりますが、40秒~1分30秒の間でゆで上げるのがおいしく食べられるでしょう。ぜひ好みのゆで時間を見つけてみてください。
ほうれん草は電子レンジでも調理できます。手軽に調理できるのは魅力ですが、お湯でゆでる場合に比べアクが抜けにくくなります。アクが気になる場合は、加熱したあと水にさらす時間を長くすると良いでしょう。
ほうれん草はよく洗い、根元に十字に切り込みを入れます。水けは切らないままラップの上に互い違いに並べます。
ラップで包み、電子レンジ600Wで1分~2分ほど、様子を見ながら加熱します。
ラップごと冷水にとって水にさらします。
手で触れるくらいの熱さになったらラップを外します。水にしばらくさらしたあと、水けをよく絞って使いたい大きさに切ってください。
電子レンジの場合でも、加熱時間による食感や味わいの違いを検証してみました。
今回は1/2束(100g)のほうれん草を、以下の加熱時間(電子レンジ600W)で加熱しています。
・1分
・2分
・3分
この3パターンを食べ比べてみます。
電子レンジで1分加熱したほうれん草は、適度にシャキシャキ感が残り、鍋でほどよくゆでたものとほとんど同じ出来上がりになっています。どのような料理にも使いやすいでしょう。
電子レンジで2分加熱したほうれん草は、見た目も少々やわらかくなっています。食感もシャキシャキ感が少なく、噛み切りやすく感じました。
噛む力の弱い方や、やわらかい食感が好みの方には良さそうです。
電子レンジで3分加熱したほうれん草は、見た目がかなりクタっとしており、食べてみてもシャキシャキ感はなく、噛む力がいらないほどやわらかい状態でした。
先ほど検証した「3分ゆでたもの」よりやわらかい食感で、水っぽさも感じ、料理には少し使いにくいかもしれません。
電子レンジで加熱する場合は、好みにもよりますが1分、または2分以内に加熱するのが良さそうです。今回は1/2束の場合の加熱時間ですので、ほうれん草の量によって様子を見ながら加熱してくださいね。
ほうれん草には「シュウ酸」という成分が含まれ、他の野菜に比べ多く含まれています。
シュウ酸はアクの成分であり、シュウ酸が残ってしまうとえぐみを感じる原因となります。また尿路結石症の原因ともなるため、摂り過ぎは好ましくありません。
ほうれん草のシュウ酸を減らすポイントは以下の通りです。
シュウ酸は水に流れ出る性質があります。ゆでることで減りますが、その後水にさらすことでさらに減らすことができます。
とくに電子レンジ加熱の後は、必ず水にさらすようにしましょう。
シュウ酸が気になる方は、ゆで時間を長めにとりましょう。ゆですぎるとカリウムやビタミンCなどの水溶性の栄養素が損なわれやすいのですが、シュウ酸を減らすことができます。
ほうれん草を3分ゆでることで、シュウ酸の量を3~5割ほど減らせることがわかっています。長くゆでるとやわらかい食感になるものの、シュウ酸の心配を減らせるでしょう。
※参照:日本泌尿器科学会 日本泌尿器内視鏡学会 日本尿路結石症学会「尿路結石症診療ガイドライン2013年版」
今回の記事では、管理栄養士がほうれん草のベストなゆで時間について解説しました。
ほうれん草は長くゆでるとやわらかすぎる食感になってしまうため、ゆで時間を守ることがおいしく調理するコツ。おいしくゆでて、ほうれん草料理をたくさん楽しんでくださいね。