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バナナといえば糖質やカロリー(エネルギー)の多さに注目が集まりがちですが、実はカリウムもたっぷり含まれています。カリウムとはいったいどのように働く栄養素なのでしょうか。また「摂りすぎは身体によくないのか?」という点も気になるところですよね。そこで今回は、バナナの代表的な栄養素「カリウム」について管理栄養士が解説します。
バナナ100gあたり、1本(約200g)あたりのカリウムの量は、それぞれ以下の通りです。
バナナの廃棄部位は皮と柄の部分で、廃棄率は40%です。皮を取り除くと、食べられる部分は1本あたり120gとなり、カリウムの量は432mgとなります。
バナナのカリウム量について、よく食卓に並ぶ果物(りんご・みかん・いちご・キウイフルーツ)それぞれ100gあたりと比較したものが以下の表です。
バナナのカリウム量は、100gあたり120mgであるりんごのおよそ3倍。また100gあたり150mgのみかん、170mgのいちごと比較しても2倍以上も多いことがわかります。さらに、比較的カリウムが多く含まれるキウイフルーツよりも60mg上回る量です。
バナナはあらゆる果物の中でも、カリウム補給にピッタリだといえるでしょう。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
ミネラルの一種である「カリウム」は、私たちの身体の中でどのように働くのでしょうか?期待できる効果をいくつか紹介します。
カリウムは、過剰なナトリウム(塩分)の排泄を促してくれる働きがあります。ナトリウムの摂りすぎは高血圧の原因となるため、カリウムを摂ることは高血圧の予防・改善に役立ちます。
塩分量の多い濃い味付けの食事を摂ったあとには、カリウムを積極的に摂るよう意識してみましょう。
カリウムはむくみを予防したり、改善したりする効果も期待できます。
カリウムは体内でナトリウムとうまくバランスを取りながら、身体の水分調整をしています。もしも体内でナトリウムが増えすぎると、身体に水分がため込まれやすくなり、むくみを引き起こす原因に。
カリウムはナトリウムの排泄を促し、水分量のバランスを正常に保つ働きがあるため、むくみの予防・解消に役立つというわけです。
カリウムの1日の目標量(生活習慣病を予防するために推奨されている量)は、15歳以上の女性で2600mg以上です。
カリウムはバナナだけでなく、あらゆる食品に含まれるため、健康な方であれば不足を心配する必要はないと考えられます。
バナナはカリウム補給にはうってつけな食材だといえるでしょう。しかしバナナをたくさん食べる生活が続くと、カロリーや糖質の摂りすぎなど、栄養のかたよりが心配です。目安としては、1日1本程度に留めるのがおすすめです。
カリウムはバナナ以外にも、野菜やいも類、海藻類などにも豊富に含まれます。バナナばかりにかたよらず、普段からさまざまな食材を取り入れるようにしましょう。
なお、カリウムは水に溶けやすい性質があります。生のまま食べたり、茹で汁ごと食べられるスープなどにして食べたりすると、効率よく摂ることができますよ。
一般的な食生活であれば、カリウムを摂りすぎによる過剰症のリスクは低いと考えられます。そのため、「バナナをよく食べるから、カリウムの摂りすぎが心配……」と、気に病む必要はないでしょう。
ただし腎機能が低下している方などは、治療の一環としてカリウム制限をしなければいけない場合もあります。かならず主治医の指示に従いましょう。
また、食事以外にもカリウムのサプリメントなどを摂っている場合には要注意。カリウムの摂りすぎから「高カリウム血症」になることも考えられます。
高カリウム血症になると、手足のしびれや吐き気が生じたり、悪化すると不整脈、心停止などがみられたりするようになります。サプリメントは、補助的な位置づけで活用するようにしましょう。
バナナに豊富なカリウムは、健康や美容に役立つ栄養素。バナナの摂りすぎによるカリウムの過剰摂取を必要以上に心配しなくてもよいでしょう。ただし栄養のかたよりなどを防止するためにも、バナナは1日1本程度をじっくり楽しみましょう。