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やさしい甘みがクセになる柿。旬の季節を迎えると食べる機会が多くなりますが、1日にどのくらいの量を食べるのがよいのでしょうか。もしも柿を大量に食べすぎてしまうと、「身体に不調をきたしてしまうのでは?」と心配する方もいるかもしれません。そこで今回は、柿を食べすぎることで起こりうる身体への影響と、1日の摂取量の目安を解説します。
実は柿を食べすぎることによって、お腹に不調を感じたり、身体が冷えたりするといわれています。これらの現象についてくわしく解説します。
消化しきれなかった食べ物などが胃の中で固まってしまったものを「胃石」といいます。
胃石にはさまざまな種類があり、中でも日本で頻繁にみられるのが柿の食べすぎが原因の「柿胃石」です。柿胃石は、柿に含まれる「タンニン」の主成分「シブオール」が胃酸と反応することなどにより発生すると考えられています(※1)。
柿胃石ができると、腹痛・吐き気・食欲不振などの症状が生じたり、悪化すると胃潰瘍や腸閉塞を引き起こしたりすることも(※2)。そのため柿を大量に食べる習慣がある方は、量や頻度を控えることが大切です。
参照:※1 駒田尚直,中川学ほか(1987).「柿胃石による小腸閉塞症の1例」『日本消化器外科学会雑誌』20(8),1988-1991 ※2 山本果奈,岸野真衣子ほか(2015).「当院で経験した胃石5例の検討」『Progress of Digestive Endoscopy』87(1),104-105
「柿は身体を冷やす」と聞いたことはないでしょうか。東洋医学において、昔から柿は身体を冷やす食べ物として伝えられてきました。
実際に、柿を食べると手足の皮膚温度が下がることが示唆される研究結果も報告されています(※)。冷えが気になる方はとくに柿の食べすぎには注意しましょう。
食べすぎは腹痛や腸閉塞、冷えなどの原因になりえるとはいえ、柿を食べること自体にデメリットがあるとはいえません。
たとえば、柿には健やかな肌作りには欠かせないビタミンCが豊富に含まれます。その量は甘がき100gあたり70mg。ビタミンCが多いイメージの「みかん」と比べ、2倍以上の量をほこります。
また二日酔いに効果的といわれる「タンニン」や、むくみの改善に役立つ「カリウム」などが摂れることもメリットのひとつです。
美肌や二日酔い解消にも!秋の味覚・柿の栄養成分を管理栄養士が解説
秋の味覚の1つである柿。カットしてそのまま食べるのはもちろん、サラダやシャーベット、干し柿にしてもおいしく、案外アレンジの幅が広いフルーツです。そんな柿はビタミンやミネラルがたっぷり!美肌づくりや二日酔いの解消にも効果が期待できるといわれています。そこで今回は、魅力たっぷりな柿の栄養成分を、管理栄養士が紹介します。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
柿の摂取量の目安は「1日およそ1個(約200g)」です。ここまで紹介したように柿の食べすぎにはたしかに注意が必要ですが、適量を守って食べることでビタミンやミネラルを効率的に摂ることができます。柿には魅力的な栄養成分がたっぷりなので、この目安量を意識して上手に食事に取り入れてみましょう。
また柿は果物であるため、糖質も多く含みます。柿100gあたりの糖質の量は14.3gで、ほかの果物100gあたりと比較すると以下のようになります。
果物の中でも糖質の量がトップクラスのバナナよりは、糖質の量は少ないことがわかります。しかし全体的にみてみると、柿はやや糖質の量が多い果物であるといえるでしょう。
糖質の摂りすぎは中性脂肪の増加につながったり、カロリーオーバーから体重が増えたりすることも。ダイエットなどの観点からも、「1日200g程度」の目安量を守ることがおすすめです。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
柿の食べすぎはダイエットの妨げになるだけでなく、身体の不調を引き起こす可能性もあります。たとえば日本で報告されている「胃石」の原因のほとんどは、柿の食べすぎによるものです。しかし柿にはビタミンCやタンニンなど健康や美容にうれしい栄養素も含まれます。1日1個を目安に、適量を守って楽しみましょう。