お腹が張る、便が硬くて出にくい、肌荒れがする、ムカムカする……便秘になると、さまざまな症状に悩まされます。この記事では、便秘の原因や具体的な症状、そして今すぐに始められる対策と治し方について、現役薬剤師が解説します。便秘を早く治したい方、便秘対策をしたい方はぜひ参考にしてください。

便秘とは?

便秘とは、体外に排出されるべき便が十分に出なかったり、便が硬くて少量しか出ず、残便感があったりする状態のことをいいます。

便秘になると便が出ないだけでなく、体の働きにさまざまな影響を及ぼします。便が硬くなることで起こる切れ痔、腹部膨満感や食欲不振あるいは増加、肥満傾向、アレルギー症状、肌荒れや口内炎、イライラや睡眠障害など、全身に影響が出てきてしまう可能性があります。

放置すると体調の悪化に繋がりやすくなるため、ご自身の便秘の原因を知り、適切に対処する必要があります。

便秘の原因はなに?

便秘は大きく分けて2つのタイプに分かれます。ひとつは日頃のストレスや睡眠不足、生理前のホルモンバランスの乱れ、運動不足や食生活の偏りなどにより、腸の働きが落ちることで起こる「機能性便秘」、もうひとつは大腸炎やポリープなどによって便の通りが妨げられることで起こる「器質性便秘」です。

機能性便秘は生活習慣を見直すことで改善していくことが可能ですが、器質性便秘の場合は原因となっている病気の治療が必要です。生活習慣に変化がないにも関わらず突然便秘になったり、激しい腹痛や嘔吐を伴ったりする場合は、自己判断せず消化器内科などの病院を受診するようにしましょう。

参照:国立がん研究センター「便秘~がんの治療を始めた人に、始める人に~」,日本臨床内科医会「便秘」

今日からできる!便秘解消のために取り入れたいこと

便秘がなくなると肌が綺麗になり、血色も良くなると言われています。また、日頃のストレス症状が軽減されたり、太りにくい体づくりにつながったりもします。

生活習慣の乱れが原因の便秘は、日頃のちょっとした行動で改善させることが可能です。次に紹介するような方法を試し、自身の身体に合った改善方法を見つけてみてください。

1. 便秘に効くマッサージ・運動を取り入れてみる

便秘の時は、お腹の働きが正常な時よりも悪く滞っています。手で硬い所をほぐしたり、運動で腸周りの筋肉を動かしたりすることで、腸の流れを良くするための手助けをしましょう。体は血流や働きが弱っていると冷たくなるため、温めて流れを良くしてあげることでも便秘改善につながりますよ。

ここでは、特別な道具なしで気軽に行えるものを2つ紹介します。

【マッサージ】おへその周りを揉みほぐす

おへその周りを揉んでほぐしてあげましょう。またおへそを中心として「の」の字を書くようにさすってみてください。入浴中やお風呂あがりにクリームを塗ってマッサージをするとやりやすいですよ。お腹を触ってみて冷たい所があれば、手や温かいホカロン、タオルなどで温めるのも有効です。

【運動】腰を回す

立ってフラフープを実際にやっているように腰を回してみてください。おへそを中心に回してみるとやりやすいですよ。

2. 便秘に効くお茶・食べ物・サプリメントを活用する

便秘改善にいいとされる食べ物やサプリメントは世の中にたくさんありますが、ここでは現役薬剤師の筆者が、改善に役立つお茶・食べ物・サプリメントについてお話します。

お茶

まずは便秘に良いとされるお茶の種類に加え、注意しなければならないお茶の成分について解説します。

・ハトムギ茶
ほかのお茶と比べて不溶性食物繊維が豊富なため、便の量を増やして腸を刺激することで便秘改善効果が期待できます。ハトムギ茶には肌や内臓の炎症を抑え、免疫力を上げる効果もあるので、腸を整えるだけでなく美肌効果も期待できます。

・生姜茶
生姜は体を温める作用があり、お腹周りを温めてくれるのでおすすめです。便秘は腸の働きが落ちているだけでなく、気付いていない「冷え」も原因の一つです。寝る前に取り入れると体が温まってリラックスできるため、睡眠導入にも良いですよ。

・水溶性食物繊維が入ったお茶
水溶性食物繊維は水に溶けやすく、ゼリー状になるため分解されにくい特性があります。大腸まで届きやすく、発酵・分解されるとビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなります。また余分なものの吸収を妨げ排出してくれるので、血糖値、コレステロールの上昇、高血圧を予防する効果もあります。

水溶性食物繊維が含まれているお茶かどうかを判断できないときは、イヌリンという水溶性食物繊維の成分名の表示を参考にしてください。「機能性表示食品」とされている商品から選べば、成分含有量が表示されていて安心です。野菜不足で食物繊維を十分に摂取できていない方は、このようなお茶を生活に取り入れると便秘改善につながります。

・アロエ、センナ、ケツメイシが含まれるお茶には注意が必要
アロエ、センナ、ケツメイシが含まれているお茶には、アントラキノンという成分が含まれています。この成分は大腸を刺激して排便を促しますが、頻繁に摂取していると体が慣れて、便秘をしやすい体になってしまう可能性があります。これらが含まれているお茶は便秘が酷い時だけ飲むようにし、常用するのは避けた方がいいでしょう。

※参照:新潟県厚生連医誌 22巻1号 Page25-29(2013.03)「高齢者における食物繊維を用いた排便コントロール(原著論文)」,内科 (0022-1961)126巻6号 Page1085-1089(2020.12)「予防医療-包括的な提供を目指して」,国際統合医学会誌 (1883-7336)2巻1号 Page112-118(2010.07)「ハトムギ酵素分解物摂取による肌及び全身の健康状態に対する改善効果(原著論文)」,臨床外科 (0386-9857)76巻1号 Page108-114(2021.01)「慢性便秘症の最近の治療(解説)」,岡山医学会雑誌 129 巻 1号 (2017)「アントラキノンの長期連用,及び摂取中止が大腸粘膜に与える影響」

食べ物

続いて、腸の働きを促す食べ物をいくつか紹介します。

・オリゴ糖
オリゴ糖は消化酵素で分解されず腸まで届きます。その結果、腸内細菌を増やし腸の働きを整えてくれます。ハチミツにも多く含まれているので、ハチミツでも代用できますよ。一般的な砂糖よりも低カロリーなので、ダイエットをしている方にもおすすめです。

・牛乳
牛乳は「朝、家を出る前に飲んだら下してしまった」という経験のある方もいるのではないでしょうか。牛乳に含まれている乳糖は分解されにくく腸まで届くので、腸内細菌を増やしたり腸の活動を促したりする作用があります。

・ヨーグルト

ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌など、腸内環境を整える善玉菌が多く含まれています。毎日少しずつでも食べ続けることで便通が良くなりますよ。ヨーグルトのほか、身近な商品だとヤクルト®でもこれらの善玉菌を効率的に摂取できます。ヤクルトは添加物の甘味料に安全なステビアやスクラロースを使っている商品もあり、安心して続けやすいのもポイントです。

・食物繊維の多い食材
食物繊維が多く含まれる食材には、ごぼう、山芋、さつまいも、玄米、にんにく、きのこ類、バナナなどがあります。なかでもにんにくは食物繊維だけでなく、アリシンと呼ばれる香りの成分が腸の働きを促し、炎症を抑える作用があるので美肌効果も期待できます。最近便秘になりやすいと感じる方は、これらの食材を料理に積極的に加えてみましょう。

・水
意外と水分不足で便秘になってしまう方も少なくありません。特に子どもや高齢者で便秘体質の方は、水分摂取を意識するだけで改善する可能性があります。

サプリメント

サプリメントを取り入れるなら、「食物繊維」や「乳酸菌」が含まれているものがおすすめです。たくさんの種類があるので、毎日続けられるかどうかを基準に選んでください。錠剤や粉といった薬のタイプ、味、価格、持ち運びやすさなど、さまざまなニーズに合わせた商品があります。便秘を改善するためには、続けることが大切です。

参考:生物工学会誌 (0919-3758)99巻8号 Page438(2021.08)「バイオミディア ヒト腸内優勢菌バクテロイデス属細菌の類稀なるオリゴ糖資化能」

便秘を即効解消する方法はある?

つらい便秘を今日中にどうにかしたい!といった場合は、腸の働きを促す便秘薬を服用するのが有効です。市販の便秘薬ですと大きく以下の2つに分かれます。

・浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなど)
・刺激性下剤(センノシド、センナ、ピコスルファートナトリウム、アロエ、ビサコジルなど)

浸透圧性下剤は腸に水分を集めて便を柔らかくしてくれる薬なので、体に比較的優しく子どもから大人まで幅広く使われています。便秘になった時は、まずこちらのタイプの薬から飲まれることをおすすめします。普段排便があっても、便がコロコロとしている方にもおすすめです。

刺激性下剤は大腸を動かし排便を促すお薬です。お腹の働きが弱く力が入りにくい方におすすめです。こちらは毎日飲むと体が慣れてしまい、元々の大腸の働きが弱くなってしまったり、お腹が痛くなる・効果が強すぎて下痢になってしまうなどの副作用が出たりする方もいます。そのため常用は避け、頓用(ひどい便秘の症状がある時のみ)で使うことをおすすめします。普段から食事や運動、サプリメント、漢方薬などで管理をしていきましょう。

こんな時どうすればいい?便秘症状で困ったときの対処法

ここまで、日常生活の中でできる便秘改善方法についてお伝えしてきましたが、紹介した内容を試しても改善できない方もいると思います。最後に、便秘症状でよくある悩みに対する対処方法をお伝えします。

薬を服用しても便秘が治らないとき

使用している便秘薬が浸透圧性(便を柔らかくするタイプ)の場合は、腸に届く水分が少ないのかもしれません。水分摂取を少し増やしてみましょう。刺激性(腸の働きを促進するタイプ)の薬を使用している場合は、効果が出るまでに少なくとも5~6時間程必要になります。1日経って排便が見られない場合も2~3日は続けてみましょう。急に下痢をしてしまうこともあるので、むやみに薬の量を増やしたりせず、用法用量を守ってください。

使っている薬の種類が分からない時は、薬局の薬剤師に聞いてみてくださいね。また上記を試しても排便がみられず効果を感じられない時は、消化器内科を受診しましょう。

子供が便秘になったとき

まずはお腹を触ってあげましょう。一緒にマッサージをしてお腹を動かしてあげると調子が良くなることがあります。また、最近ストレスを抱えていないかゆっくりおしゃべりするのも大切です。これらに加えて食事改善や水分摂取を行っても解決できない場合は、かかりつけ医を受診するようにしましょう。

便秘症状を感じたら、できることから改善を

便秘というと軽くとらえがちですが、放置すると全身にさまざまな悪影響を与えてしまう可能性があります。日々の心がけで改善できることも多いので、便秘に悩んでいる方はこの記事で紹介した方法をぜひ試してみてください。それでも改善しない場合は自己判断せず、消化器内科などの専門医を受診するようにしてくださいね。

情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 【薬剤師が解説】便秘解消のためにできること|おすすめの食べ物やマッサージも紹介