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毎日の献立に大活躍するトマト。栄養が豊富で小さなお子さんにも好まれやすく、冷蔵庫に常備してあるご家庭も多いのではないでしょうか。しかし一方で、トマトの食べ過ぎには注意すべき点もあります。今回はトマトを食べすぎるとどんな影響があるのか、1日の適正量などを解説します。
トマトにはさまざまな栄養が含まれており、身体にいい効果・効能が期待できます。
トマトには、βカロテンやリコピンなどの天然色素カロテノイドが豊富に含まれています。
βカロテンやリコピンには活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があり、動脈硬化予防やがん予防の効果が期待できます。特にリコピンの抗酸化作用は、カロテンの2倍、ビタミンEの100倍といわれているほど優れています。
また、リコピンが豊富に含まれるトマトジュースを飲み続けることで、糖尿病の合併症予防の効果が期待できるという研究報告もあります。糖尿病では過剰に糖が増えることで活性酸素が発生し、血管が傷つくことで様々な合併症につながるといわれています。このことからも、リコピンには高い抗酸化作用があることがわかります。
さらに、リコピンを効果的に摂取するには、トマトをすり潰したりミキサーにかけたり、加熱調理したりするのがおすすめです。細胞壁が壊れやすくなり、体内に吸収されやすくなります。
ビタミンCはトマト100gあたりに15g、ミニトマトには32g含まれています。他の野菜と比較して特別多いとは言えませんが、ビタミンCは水に溶けやすい性質があるため、生で食べることが多いトマトは食材内に含まれるビタミンCを無駄なく摂ることができます。
ビタミンCには美肌効果や抗酸化作用があり、体にとっても重要な栄養素の一つです。不足すると疲労感を感じやすくなったり、出血しやすくなったりします。また、タバコを吸う方やストレス過多の方はビタミンCが消費されやすくなるため、積極的に摂取する必要があります。
カリウムはトマト100gあたり210mgと、比較的多く含まれています。腎臓でのナトリウムの排泄を促すため、高血圧予防の効果が期待できる栄養素です。カリウムもビタミンC同様に水溶性のため、煮たり茹でたりすると栄養素を逃してしまいます。サラダなど生で食べると効果的に摂取できるでしょう。
栄養豊富なトマトですが、食べ過ぎると身体に次のような悪影響を及ぼす場合があります。
東洋医学では、トマトは体を冷やす食べ物に分類されています。体に熱のこもる夏場には嬉しい特徴ですが、冷やしすぎは胃腸の働きを鈍くするなど体に良くないこともあるため、気を付けましょう。
また、冷たいものを食べ過ぎると一時的に腸が刺激され、水分が吸収されずに下痢を起こすこともあります。冷たい生のトマトは、一度に大量に食べすぎないように注意しましょう。
トマトの皮は消化吸収されない食物繊維で主に構成されています。トマトを食べた翌日に、便に赤いものが混ざっていた、という経験のある方はいませんか?適量であれば問題ありませんが、食べ過ぎると便秘や下痢などになる可能性もあります。そのため、皮を剥いたり、加熱調理で皮を柔らかくしてから食べるといいでしょう。
皮を剥く方法は、湯むきやコンロであぶる方法が一般的ですが、ミニトマトであれば冷凍しておき、使うときに冷水につけると簡単に剥けます。さらに冷凍することで栄養価をキープでき、うまみ成分が出やすくなるというメリットもあるのでおすすめです。
トマトの冷凍保存について気になる方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
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トマトは、胆石や尿路結石ができてしまうリスクのあるシュウ酸を含んでいます。シュウ酸を多く含むホウレンソウやコーヒーなどと比べると少量ですが、食べ過ぎには注意が必要です。
シュウ酸は水溶性のため、茹でると減らすことができます。また、カルシウムと一緒に摂ることで、吸収を減らすことができると言われています。
参考文献:公益財団法人日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリー」
トマトには前述のとおり、カロテノイドの一種であるカロテンが含まれています。よくみかんの食べ過ぎで手や足の裏が黄色くなると言われていますが、それはカロテンの過剰摂取が原因の「柑皮症」といわれるものです。みかんに限らずカロテンを多く含む食材でもおこるので、トマトも例外ではありません。気になる人は、食べ過ぎに注意が必要です。
参考文献:清水 宏『あたらしい皮膚科学』(中山書店)
トマトに含まれるアセチルコリンという物質が原因で、身体にかゆみやじんましんなどの症状がでることがあります。
これは免疫の過剰反応でおこる食物アレルギーと異なり、「仮性アレルゲン」といって、トマトに含まれるアセチルコリンが直接作用してアレルギーのような症状を引き起こすものです。
食物アレルギーと違って毎回症状が出るわけではありませんが、食べたときに違和感を感じる場合は注意が必要です。気になるときは自己判断はせず、医師の診断を受けるようにしましょう。
参考:葛西内科皮膚科クリニック「仮性アレルゲンとは」
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リコピンの1日当たりの摂取目安量は15〜20mgなので、それを基準に考えると、生トマト2個、ミニトマト10〜15個が理想と考えられます。トマトジュースでは約1杯、ケチャップで大さじ4杯程度の量となります(含有量は商品によって異なります)。トマトジュースやケチャップ、トマト缶などになるとぎゅっと栄養素が凝縮されているため、意外とすんなり目安量が摂取できてしまうのです。
明確な量が決まってはいませんが、ビタミンAの上限量を基準に考えた場合、1日にトマトジュース5~6杯、生トマト3~4個以上になると摂りすぎの可能性があります。とはいえ、ビタミンAの元となるトマトに含まれるβカロテンは、必要量以外は基本的には排泄されるため、厳格に制限はしなくて大丈夫でしょう。
また、カリウムの目安量から考えても生トマト6~7個程度となります。カリウムも医師から制限されている人やサプリメントでの過剰摂取以外は上限量が決められていないので、極端な食べ方をしなければ特に問題はないといわれています。
今回はトマトを紹介しましたが、体にいいからといって同じものを食べ過ぎるのはよくないことがご理解いただけたでしょうか。ひとつの食材に偏らず、いろんな食材を組み合わせて食べて、健康的な体を手にいれましょう。
参考文献:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、板木利隆『からだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)』、中村 丁次『栄養の基本がわかる図解辞典(成美堂出版)』、名古屋文理大学紀要「2型糖尿病患者の健康管理」